バロックの時代13-ヴェラスケスの印象派絵画
2020.09.07 09:08
ルーベンスに放っとかれたヴェラスケスは単独で1529年10月にローマに行った。当時のローマは、30年戦争でのカトリックの勝利に酔い、バロックの花が開いていた。何よりも教皇ウルバヌス8世の寵愛を受けたベルニーニが劇的なバロック彫刻をつくり、有名なサン・ピエトロ大聖堂の天蓋を制作していた。
教皇は、カトリックの勝利にふさわしい都市にローマを大改造し、また教皇領を史上最大に拡大した。ヴェラスケスは教皇の甥枢機卿から便宜を図ってもらい、ミケランジェロやラファエロらルネサンス絵画を研究した。またローマ行きには英雄スピノラ将軍と同乗したことで、将軍が活躍した「ブレダの開城」を描くことになる。
ヴェラスケスは、ローマで注文にはよらない自分の絵画を描いた。「ヨセフの長衣を受けるヤコブ」「ウルカヌスの鍛冶場」は、ボデコンの現実と神話の融合をひきつぎながら、イタリア古典絵画の影響を受けている。
1830年夏、ヴェラスケスは暑さをしのぐため、高台にあるヴィラ・メディチに居を移した。そこで2点の全く革新的な絵画を描く。彼は戸外に出て、うつろいゆく光景を描いた,史上初の屋外制作絵画である。それも薄い色調の上に濃い色で物を描くという方式。大胆に細部はカットされ、300年後の印象派を先取りしたような絵画である。
下はヴィラ・メディチの庭園