場がふるえる
先のブログにご紹介しました「一般社団法人 チャレキッズ」様のご依頼で、8/30に実施した自閉症の子どもたちとのセッションの様子です。中学2年生、高校2年生、特別支援学校3年生の子どもたち3名に実施し、保護者の方はそれぞれお子さんの近くで見守っていただきました。
はじめてのセッションでは、特に第一印象は大事にしています。最初に会った時、子どもたちが安心してくれるような雰囲気と笑顔を心がけるようにしています。ご挨拶の時、子どもたちの目を見つめると、とっても透明で美しい瞳をしていたのです。その瞬間「きっと、わたしがわたしであること、包み隠さずに素直でいること、対等に寄り添うこと、そうでないとこの子どもたちと一緒に表現の場にいてはいけない。」そう感じました。
実施したのは「いろいろな線と色であそぼう」です。このアートプログラムは大好きで、最初に私がよく実施する抽象画の一つです。
枠の中に描いていたものが、枠を飛び越える時、子どもたちの無限の世界がどんどん広がっていくようでした。「高速道路だよ。」「トラックが横転~」好きなことがどんどん浮かんできては、ストーリーが生まれたA君。
もちろん、目の前の画面に向き合い、どんどんと色が変わっていく様子を楽しむKちゃん、T君。じっくり見たり、どんどん混色をして削ったりと1時間ほとんど手が止まることはありませんでした。
自閉症という障がいにより、初めての人や事に対し、きっと抵抗があったことでしょう。でも、前向きに手を動かしてくれて、真っすぐに前に立つ私を見てくれました。思い思いの誰にも真似できない表現に入っていく姿、楽しんでいる姿に本当に感動しました。また、お母さんたちがあたたかい眼差しで子どもたちを見守り、臨床美術に興味を持ってくださったことで、よりよい場が生まれていたように思います。
最後は、お母さんたちにも入っていただき鑑賞会をしました。コメントがまた豊かで、「生き物がいるみたい」「見てると楽しくなる」「宇宙みたい」。。大人も子どもも対等に、自分が感じたことを言葉にして表現してくださいました。「場がふるえる」そんな臨床美術の原点を思い出す時間となりました。
実施後のアンケートには「絵を描こう!という意識は全くなく、気が付いたら素敵な作品が完成していてびっくりしました。」という感想もありました。目の前の色や形に自分が向き合った今の痕跡が作品であるので、先にゴールなどは必要ありません。だからこそ楽しいし、その子なりの表現が飛躍していくのだろうと私は思っています。
作品の外側も、1つの作品になっていて、2つの思いがけない作品が生まれました。写真にはありませんが、はがしたマスキングテープも大事に作品につけてくれていました。
A君が私に、外側の作品の白枠のところに、大好きなトラックを描いてプレゼントしてくれました。サプライズです。こんなに嬉しいことはありません。本当にありがとうございました。
9月末、またみんなで制作を楽しみましょう。会えるのをとても楽しみにしています。
みんなのファンになりました。^^