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Oimachi Act./おい街アクト

「十九歳の地図」が40年前の作品であろうと、そのままの日本が今も続いている。政治が国民に何をしたというのか?

2020.09.08 03:00

芥川賞受賞の文豪、中上健次の同名小説を

映画化しようと試みた監督が何人も途中で

放り出したと言われる「十九歳の地図」。


「さらば愛しき大地」などを手掛けた柳町光男監督が、ようやく映画化にこぎつけた。


この原作の持つ"毒性"の強さが、キャスティン

グを狭めてしまう。と映画を観てまず思った。


公開は1979年。


約40年前の映画ではあるが、十九歳の若者、

東京も下町、新聞配達という仕事、いろいろな群像が東京の下町で生活し、決して幸せでもなく不幸でもなく、それなりに生きている。そんな彼ら(群像)に新聞が何の役に立つのか(?)まるで理解出来ない。


地方から上京してきた19歳の主人公。

吉岡まさるは、新聞配達をしながら予備校に通う。

毎日300軒以上も配達する単調であるが、

決してやり甲斐がない。

集金に行けば、金を払う人の顔は様々。

それでも新聞をやめない。


なんたる、この東京の下町のまとまりのない群像集団の生活感や価値観。そこには国家と国民という絆などありゃしない。


19歳の少年は、そんな不条理が

"許せない"

"いたたまれない"。

一体、何なんだよ!

この東京という大都会の中に住む、個人主義、利己主義に色染まった貧しき人々は。


皆、故郷にいづらくなって東京に来たのか?

将来の為に東京にやってきた19歳の少年にとって、新聞配達は生活の手段ではあったが、次第に、そこに住む嫌いな人間の固まりに対して、ムカついてくる。


電話で嫌ごとを言ってウサを晴らす。


配達する地域の地図を描き、名前まで書き込んで嫌な奴には×をつけていく。

×が2つ3つ付く家もある。


知れば知るほど憎しみが増してくる。


人間嫌いにもなってくる。


新聞配達という仕事、行為から見えてくる落ちこぼれた人々。

何が平和な日本だ!


19歳の少年は、ただただ積もり積もるのは「鬱積」という不満。

40年前の作品であるが、今の日本も決して変わってはいない。


新聞配達という仕事は尻つぼみになったが、新聞の果たす役割とは?


「鬱積」したもののはけ口が犯罪となり、いじめとなり差別となり、つまり政治なんぞは社会の下層部の人たちに、なんの救いも恵みも与えもしないし。

40年前の下町で暮らす人々に進化、向上、生き甲斐、…こんなものは少しも変ってはいない。


『十九歳の地図』

監督・脚本/柳町光男

原作/中上健次

出演/本間優二、蟹江敬三、沖山秀子/他