少年彩里水の不思議冒険譚 -不思議の国の入り口32-
32 だから、成功させよう
「そういえばさ、あの双子はこの国の人じゃないのかな?」
彩里水がキップとクップに尋ねる。
「あの双子とは、逸様と禅様のことでしょうかー?」
「あ、そう言えばお互いのことそんな風に呼び合ってたな。」
白兎は双子の会話を思い出しながら言った。
「逸様と禅様はとっても素敵な方です。我々のような下級従業員とも分け隔て無くお話ししてくださいます。」
キップは少し熱のこもった話し方で先程の2人のことを話す。
「ふーん。確かにアイツ庭園でも人気ありそうだったよなー。」
そう言いながらも、あの人気に違和感を覚えたことを白兎は思い出した。
「あの双子は王様に命令していたようだけど、王様がナンバー2なんだ?」
「少なくてもハートの女王様かそれ以上の権力をお持ちの方のようですが、あのお2人は尊すぎて僕たちにはよくわからないことだらけなのです。」
「ふーん。そうなのか。んで、それで自分たちは城の従業員だから下級って言ってんの?」
白兎はキップとクップが自分たちを“下級”と言っていることが気にかかっている。
「いえ、その中でも自然界同士のミックスほど階級が高く、人工物が多く混じったミックスは最下層なんです。純型で動けない花や木、それに人工物でも純型は特別。アンティークとして重宝されますが、自分で動けないミックスは最下層とされています。」
「でもー、僕たちは自分では多少動けますが動かせる自由度はかなり低く、最下層に近いんですー。それでもお城で働けているだけいい方なんですがー。」
「はい。でも、そんな僕らですからそもそもこの城の外に出る許可なんて下りるはずもなくて。それに・・・。」
キップは言いかけて止める。白兎はまた気になったが、そのままクップが続けたのでそこについては触れないでいた。
「そうなんですー。いつかいつかと夢見て、何度も許可を出してもらうようお願いしていたんですが、許可が下りることは一度もありませんでしたー。」
言いながらだんだん暗い顔になるクップを見て、彩里水は強い瞳でクップに語りかける。
「うん。今まではそうだったかもだけど、今回はオレたち絶対にここから出るし、必ずこの塔脱出作戦を成功させて外に出よう!」
彩里水の力強い励ましに、クップは元気を取り戻す。
「はい!」
つづく