少年彩里水の不思議冒険譚 -不思議の国の入り口33-
33 この世界のコミュニケーション
「そんで、オレと彩里水はトランプの衛兵たちの様子を注意深く観察、できると思ったらなるべく早く縄を回収する。できなくても、見張り交代の時に隙が無いかとか、作戦が実行できそうになかったらどうするかとかを考えておく。」
「おっけー。」
「今は夜だから、縄さえゲットできれば作戦決行は明日の早朝、できるだけ人がいないことを確認できたらが1番いい。」
「そうだね。」
彩里水は作戦をしっかりと頭に入れなければと思いながら答える。
「そうそう、ちなみにもう1個確認したいんだけどさ、キップとクップ。」
彩里水からキップとクップに向き直し、白兎は言う。
「はい!なんでしょうかー?」
キップとクップは2人の役に少しでも立ちたいという気持ちを目一杯態度に出して返事をする。
「夜目が利く型の生き物にもし見られたとして、必ず報告されちゃうもの?つまりさ、例えば猫と花のミックスがいたら、人の言葉はわかんないじゃん?そういうのには見られても大丈夫?」
「んー、っと。そうですね・・・。その辺が少し複雑かもしれないんですが・・・。」
キップは少し考えた表情をしながら続ける。
「基本的に人型が入っていない生き物は城の従業員とはならないです。知性という点で人型は他の生物のトップにいますので、それがない生物は働くということをしないです。ペット的な役回りで、ということはありますけどね。なので、猫と花のミックスは誰か人型の方のペットとして城内にはいますが、だとしても言葉のようにかなり正確にコミュニケーションを取ることはできません。なので、そういった生物に見られた場合であれば気にすることはないと思います。」
「そうなんですー。そして、例えば今、塔を下りている姿を従業員棟で働く誰かが目撃してしまったとしたら城の上司等に報告する可能性はかなり高いんですー。城には地上は門番、空中は飛べる種族とミックスの人型が巡回して見張っていますー。ですがぁ、この見張りは主に城の外周を周りながら外を見張っているので、内部は気付きにくいとは思いますー。」
「はい、そして、城の関係者以外が城内の領土領空に入って来れることはありませんし、無許可で入れば侵入者です。ですので基本的には城の関係者で人型の者にだけ警戒すればいいかと。」
「なるほど。」
白兎はフムと考えるように返事をした。
「ただ、例えば猫と花のミックスが塔を下りているのを目撃したとして、人の言葉がわからないかと言えばそうですが、それを猫と人のミックスに報告することは可能です。猫としてコミュニケーションはとれます。」
「はいー。ですが、ペットとして飼われている生物が自ら何かを報告しようとは思わないと思いますー。ペットとして飼われているようなタイプの生物には使命感などない場合が多いんですー。」
「はい。ですので、その辺の危険は少ないと思います。その他にも、例えば人獣型が2人いたとして、人型が同じ国の言語を話す場合は言葉でのコミュニケーションが可能です。」
「ですがぁ、他国の人型同士だと言語でのコミュニケーションが取れませんがぁ、獣型がイルカだった場合イルカは言葉を交わさずコミュニケーションを取るのでぇ、どこの国とか地域で育ったというのはあまり関係なくコミュニケーションを取れる、ということも発生しますー。」
「そうなんです。ちょっと複雑ではありますが、わかりましたか?」
キップとクップは交互に説明をし終えると、自信なさげに白兎を見る。
「・・・うん。なんとなくわかった。要するに城の関係者以外はあまり気にすることはなくて、でもいろんなミックスがされてるから他の型から人型へのコミュニケーションの可能性はゼロではないってことだな!」
白兎は説明することを頭の中で反芻するように1個1個を確かめながらまとめてみる。
「そうそう、そうなんです!伝わって良かったです。」
キップはホッとした様子で白兎に言う。
つづく