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「風力発電問題」~真実はどこにある?

MBS「mint!(ミント)」憤懣本舗 新温泉風力発電計画 町長ら「反対」の理由は?

2019.04.29 08:50

先に収録したMBS(毎日放送)番組『Mint!(ミント)』の「憤懣本舗」が2019年4/30(火) 放送されました。 

 今、全国各地で問題になっている風力発電問題をいちはやく新温泉町の反対運動から取り上げて下さったことは、毎日放送さんの大英断であると言えるでしょう。 

 僭越ながら、我々いのちをつむぐ会は地元の声を代表して、テレビ出演させていただきました。


内容は、同日に配信の「yahooヘッドライントップニュース」にテキスト化されていたのでで転載します。



MBSニュース

 日本海に面する兵庫県の新温泉町では、大規模な風力発電所の建設計画が進められています。しかし、町長や住民からは建設による土砂災害や健康被害を心配する声が上がっています。


 

 山頂や尾根沿いに「巨大な風車」計画 

 兵庫県北部に位置する新温泉町。

人口は約1万3800人と県内で3番目に少ない町ですが、海の幸が豊富に獲れる自然豊かな町です。

この静かな町の風景が今後、大きく壊れてしまいかねないという懸念を西村銀三町長は抱いています。 

新温泉町の東部ではいま、大規模な風力発電施設を建設する計画が進められています。


計画しているのは東京都港区に本社がある「日本風力エネルギー」。

国内最大級の高さ約150メートル、出力も最大規模4500キロワット級の風車を21基建設し、総出力が最大で9万2000キロワットという国内最大級の発電施設をつくるというものです。

計画が認められれば、工事に伴う雇用や町の税収が増えるというメリットがあるにもかかわらず、町長がこの計画に反対している理由は… 


「山の頂上に150メートルですから、空に届く感じになりますね。メリットがあれば賛成という思いもあったんですけど、町の基本的なスタンスが自然環境、温泉を軸に海も山もすごくきれいですし。そういう意味で風力発電は似合わない」(新温泉町 西村銀三町長)

 計画では、山を切り開いて道路などを整備し、山頂や尾根沿いに巨大な風車を建てることになっているため、町長は大雨による土砂災害の危険性が増すのではないかと危惧しています。


 「山の形を見たらわかるんですけど、非常に急峻な地域で山の頂上に約5000平方メートルを平らにして設置すると聞いています。21基も作るとなると水が一気に流れていきますので、山崩れ・崖崩れの危険性を一番心配しています」(西村銀三町長) 



 「発電所が近い」「低く大きな音」「生態系が変わる」懸念 

 風車の設置が計画されている地域の1つ、熊谷地区。周囲を山に囲まれた集落で約150人の町民が暮らしています。

計画ではこの地区の周囲を発電所が取り囲む形となっていて、施設までの距離が約800メートルという民家もあります。

 

「地図を送ってもらったら、熊谷が取り囲まれているというか。今までにない巨大な風車が、場所によっては3方向から同じような距離で囲まれてしまうような」(熊谷地区の男性住民)


 「音もそうなんです。非常に低い音は山を乗り越えてくる。先日の説明会で音を聞かしてもらいました。ブオーンブオーンブオーンという音が恐らくもっと大きく聞こえると思います」(熊谷地区の男性住民) 


また、日本野鳥の会によると、計画地の周辺には絶滅が危ぶまれている「クマタカ」や「サシバ」などが生息していて、これら絶滅危惧種の生息環境が破壊される恐れがあると指摘します。

 「猛禽類は稜線の上昇気流を利用して行動するので、風力発電機のプロペラの影響がある。(発電機が)稜線沿いにあるので、猛禽類が一番心配ですね、その中に突っ込んでいく。もう1つは森林を切り開いていくことで、生態系がかなり変わってくるだろう」(日本野鳥の会・ひょうご 奥野俊博さん)



 “低周波”による健康被害に住民不安

 事業者側は3月、住民説明会を開いて事業の概要や現在行っている環境影響評価の途中経過などを報告しました。


出席した住民は… 「風車の低周波、超低周波の部分も含めてとてもリスクがある。『え?それで進めるの?』という不快感というか」(熊谷地区の男性住民)  


事業者側は騒音や低周波などについては国の基準以下で「影響はほとんどない」と説明していますが、他府県で既に設置されている風力発電では国の基準値以内でも被害を訴える周辺住民もいるため、「低周波」による健康被害が出るのではないかと不安を抱いています。


 「『因果関係が認められていない』と事業者も言うけど、睡眠障害だったりイライラしたり実際に被害の声が出ているのに、この事業を進めているのが不思議でたまらない」(地元住民)


風力発電施設の問題に詳しい武田恵世さんは…  

「人家にあまりにも近すぎます。計画の4分の1ぐらいの1000キロワット機の風車でも、深刻な健康被害が2~3キロメートルの範囲で出ています。この計画を見ますと、3キロメートル以内に人家が密集しています。一番近い民家は1キロメートルもないです。もし実現したら、大変な健康被害が出ると思います」 



 「日本風力エネルギー」の見解は?

 住民らが抱いている疑問について計画を進める「日本風力エネルギー」に聞いてみると… 

「風車からの離隔距離を十分に保つこと、そして地域の残留騒音を測定し、その結果に基づく評価を実施し、地域の皆様への透明性の高い説明の機会を設けていきたいと考えています。発電所の操業開始後、仮に想定外の騒音問題が生じた場合には、原因にかかわらず真摯な対応を約束します。事業の進捗に応じて新温泉町役場および地元住民の方々へ丁寧な説明を行っていく中で不安や誤解を払しょくし、理解を深めていただくよう尽力いたします」(日本風力エネルギーのコメント)


 町長は大規模な事業よりも小さな循環こそが町の持続的な繁栄につながるとして、計画を認めないよう最終的に建設の是非を決める経済産業省などに要望しています。  


「設置後、業者は20年間利用すると言っていますが、20年後どうなるのか。業者は電気売って儲かる一方、ここのメリットはほとんどない。全ての点で疑問符が付くと。そういう計画に思っていますので、断固反対と言わざるを得ない」(新温泉町 西村銀三町長)


 海沿いの小さな町に降って湧いた巨大な風車の建設計画。今後の動向に注目が集まります。


 

 (2019年4月29日放送 MBSテレビ「Newsミント!」内『特集』より)


 詳しくは『ミント』ホームページをご覧ください。 https://www.mbs.jp/mint/news/2019/04/30/069457.shtml