葡萄の様な ヨウシュヤマゴボウ
洋種山牛蒡(ようしゅやまごぼう)
北米原産で明治初期に日本に入ってきた帰化植物。なので、洋種のヤマゴボウ『洋種山牛蒡(ようしゅやまごぼう)』。
だけどこれは、根・茎・葉・花、全部に毒があるので食べてはいけない。
そもそも、その根を食べる山菜としての山ゴボウは、モリアザミ・オニアザミ・オヤマボクチ等の山等に咲くアザミの根のこと。スーパーや八百屋で売っている食用ゴボウも実はアザミの仲間で、ゴボウの花はアザミの花とそっくり。
じゃあ、どうしてアザミとはまるで異なるヨウシュヤマゴボウに「ヤマゴボウ」という名をつけた?…どうやらその根がゴボウに似ているから?らしいが…いやいや、まず地上に現れているその姿形が山ゴボウと全然違うでしょうに。ゴボウのような根を持つ草なら他にいくらでもありそうだと思うのだが…自分で山に入ってヤマゴボウを採取したことのない人が根っこだけを見比べて名付けたのか??…和名のネーミングが色々謎。"花の名付け学会(仮)"としてはちょっといただけない、大いに疑義ありだ。
7月頃からブドウの房のような花房の茎と花弁までが白から鮮やかなピンク色に染まっていき、花の真ん中にぷくっと膨らんだ緑色の果実をつける。秋になるとこれが膨らみ濃藍色に熟した実は、まるで葡萄かブルーベリーの様(でもこれはヤマブドウではなくヤマゴボウ)。この実を潰すと出る赤紫色の果汁(これも有毒)が衣服や皮膚に付くと赤紫に染まってなかなか落ちない。アメリカでは"ink berry"=インクの実、等と呼ばれているという。
かつては安い葡萄酒の色付けに使われていたこともあるという(現在では使用禁止)。アメリカ南部ではこれの若芽を茹でこぼして毒を抜いてから食用にするらしい。"Polk Salad Annie"-直訳すると「ヨウシュヤマゴボウのサラダのアニー(女性の名前)」-(作者:Tonny Joe White)というカントリーロックナンバーまである。
どんな曲か調べてみたら、去年2019年に上映された古い自動車レースを題材にしたアメリカ映画“Ford v Ferrari”に使われていた曲だった。映画には70年代にエルビス・プレスリーのバンドを支えた名ギタリスト、ジェームズ・バートンによるインストバージョンが使われている。この曲が収められたCD持ってるし…映画も観たし…
瓢箪から駒。まさか道草のヨウシュヤマゴボウから、ここまで話が繋がるとは思わなかった。