THでの譲渡、そこから派生する新たな問題
こんにちは!ドイツ仕込みの動物自然療法士・ティアハイルプラクティカーの野原です。
段々と秋めいてきましたね。
自分の誕生日も秋だからか、一年を通して秋が一番好きです^^
ドイツの秋は一瞬という感覚なんですが(夏終わったと思ったらすぐ冬みたく気温がぐっと下がります)、あの空気が凛とした感じがたまらなく好きでした。
紅葉もとても綺麗ですよ~✨
さて、本日は前回のつづき、ティアハイム(TH)ベルリンについて。
今回はここでの譲渡や、残念ですがそこから派生しているであろう問題をピックアップします。
まずはティアハイムベルリン(特に猫セクション)の大まかな譲渡の流れを説明します。
(※猫以外のセクション譲渡については実際に見ていないのであしからず)
最初に職員が里親希望者と話をし、どのような猫を探してるかを聞きます。
仔猫や疾病持ちであれば世話の手間もかかるため条件が厳しくなります。
次に、住んでいる家の情報(持ち家か借家か、何㎡か、何階か等)、家族構成(ペット含む)、外出頻度、金銭状況などを確認し、その住環境に適した猫を職員が紹介するというのが見学不可エリアSchillow Hausでの基本でした。
見学可能エリアだと、来場者は自由に施設内を行き来でき、気になる猫がいればそのボックスのカード(譲渡条件等が書かれている)を見て職員に声をかけます。
ここでも同じような質問をし、その家族と猫がマッチングしそうかどうかを検討します。
合わなそうであれば、別の合いそうな猫を紹介したりもするそうです。
要は、来場者が第一印象で”欲しい”猫を決めるのではなく、職員側がその家族に”合う”猫を探すのです。
その後実際に猫と触れ合うためにボックスに入り、職員がその仔の性格を説明します。
触れ合ってみてマッチングが成立すれば、里親希望者は別館の受付へ譲渡料の支払い等手続きに行き、戻ってきて猫を受け取ります。
もちろん持参キャリーもなく何気なくふらっと立ち寄った人間に譲渡はしません。
きちんと猫を飼うことを検討して準備ができている人にだけ譲渡します。
猫の場合は基本的にその日のうちに持参キャリーに入れてお渡しとなり、後日訪問もしくは電話にて状況確認、うまくいってるようであれば正式譲渡という流れになります(セクション、個体によって異なる)。
犬の場合はその日のうちにというよりも、何度も通ってもらって散歩やふれあいの時間で関係を密にしてからの譲渡という流れになるそうです。
肝心なのはその家族にマッチするか否か。
それが譲渡される仔の今後を左右するからです。
日本で特にその傾向がありますが、ドイツでもやはり仔犬仔猫は里親希望者が多いみたいです。
Schillow Hausの入口に母猫ハウスと書かれているため、仔猫希望者がよく質問に来ていました。
仔猫の審査は当然ながら成猫よりも厳しくなります。
仔猫や仔犬は世話に特に時間がかかるし、今からいろいろ教えていかねばならないのです。
できれば一匹だけでなく、兄弟で受け入れてもらって遊び相手がいた方が良いです。
もし条件に合った家族がいても、その仔猫たちがまだ幼齢であればしばらくは母猫と一緒に過ごさせ、乳離れしてからの譲渡となります。
ちなみに、譲渡条件もある程度その職員の裁量によるなぁという印象を私は感じました。
一定のルールはありますが、その職員が「この仔には広い空間が必要」と判断すれば、ルール上の広さを満たしていたとしても断ることがあったのです。
ドイツではどの分野でもそうだと思いますが、その担当者によって求めることが違ったりします。
仔犬仔猫の話に関して一言述べるとしたら、成犬成猫の方が性格が確率しているし、世話に手間がかからず迎え入れるのに難易度が低いのではないでしょうか。
もちろん人間の赤ん坊ほどまで手厚く世話せずとも育ちはしますが、その動物はいつかフラストレーションが溜まって人間にとって都合の悪い”問題”行動を起こすようになりかねません(それを問題と感じているのは人間だけかもしれませんが)。
少し話は逸れましたが、このようにティアハイムベルリンでは誰かれ構わず譲渡というわけではありません。
そうなると断られた里親希望者の中には不満を持つ人も出てきます。
私はドイツに住んでいた頃、ベルリン市内の非営利法人にて保護猫ボランティアもしていました。
そこには「ティアハイムでは猫を貰えなかった」と言ってやって来る人々もいました。
もちろんこの団体でも審査があり、明らかに不適合な人は里親になるのをお断りしていましたが、確かにティアハイムよりは条件が緩かったように思います。
逆にティアハイムではこの団体から貰った猫が問題行動ばかりするので手に負えず手放しに来る人もいたそうです。
いずれにせよ、ここから見えてくるのは、なぜ自分が断られたのかを理解していない人が次なる問題を生みかねないということです。
噂というのは一度発生するとものすごい速度で伝播していきますよね。
そのうえ質の悪いことに、伝播途中で情報がすり替わってしまうことも多いです。
ティアハイムとその保護団体は、その噂によって双方が不信感を抱いているようにすら感じました。
また、ドイツで貰えないのであれば外国(ドイツ近隣の東欧国中心)から買えばいいのだと、他の入手ルートを探す人たちもいます。
(実際ドイツ国内でもeBayというインターネットオークションで動物の売買はされています。)
そこに問題点を感じてなりません。
「自分は可哀想な動物を迎え入れようと思っているだけなのに否定された」と感じるのではなく、動物との暮らしにはある程度思い通りにはならないことが出てくるのだということを理解して頂きたいと、強く願います。
その条件を満たさないのであれば、今はただ動物と暮らすタイミングではないのです。
ティアハイムベルリンで勤務して、いかに多くの動物たちが様々な理由で飼い主に捨てられ心に深い傷を負っているのか、まざまざと体験しました。
人間はペットを捨てることを1つの過ちとしてリセットし、前を向いてやっていけるかもしれませんが、動物たちは人間がいなければ生きてはいけません。
たとえたどり着いた先が動物保護施設であろうと、大好きだった人のことを諦めて次の飼い主と生きていくのに相当な時間がかかるのです。
動物を飼うことは簡単なことではありません。
どうか、より多くの方に理解してほしいです。
(くれぐれもお願いしまっせ🐾)
本日はここまで。
次回はティアハイムベルリン勤務を通して見えた課題と退職するまでのことを振り返っていきます。
本日もご訪問頂き、ありがとうございました!