菊理姫
Facebook・矢加部 幸彦さん投稿記事
今日は重陽の節句。。ここ京都の上賀茂神社では、烏相撲と重陽神事が。。本殿には、菊の花が供えられ、延命長寿、災難除けが祈願されます。
そして、菊酒を飲んで邪気を祓う。。菊・・・菊理姫。。九九で、くくり・・・この目出度き、産霊(むすび)の日を、言祝ぎたいと思います。。
清水 友邦さん 投稿記事
9月9日はククリ姫の日です。
男性原理は分離敵対し女性原理は結びつけて融合します。
すべてのものを結びつける根源の力を愛といいます。
全てを結び、つなぎ、括る女神それがククリ姫です。
ククリヒメ(菊理媛)を祀る白山神社は2700社以上ありますが
古事記・日本書紀にククリヒメの神格の記述がなく謎の女神となっています。
唯一「日本書紀』の一書に
『黄泉の国から逃げた伊弉諾(いざなぎ)があの世とこの世の境である黄泉比良坂(よもつひらさか)で伊邪那美(いざなみ)に追いつかれて口論になったときに泉守道者(よもつちもりびと)とククリヒメ(菊理媛)が現れて何かを告げると伊奘諾尊はそれほめて帰って行った。』と出てきます。
しかしククリヒメが誰で何を言ったかは何も書かれていません。
ククリヒメが何者かがわかると体制側に都合が悪かったのかもしれません。
それでもわずかに残された日本書紀の記述からはククリヒメが国生みの神である伊邪那美(いざなみ)伊弉諾(いざなぎ)を仲裁した上位の女神のように思えます。
古代では、女性たちが戦いの中に分け入り、敵対する部族同士の間に講和条約を結ばせることがありました。
年長の女性は智慧を持っていると信じられ尊敬されていました。
結婚制度がなかった古代は女性が主導権を握っていました。
女性が男性を自分の部屋に入れなければ、それで男女の関係性は終わったのです。
2700社以上ある白山神社の総本社が加賀の国の一ノ宮「白山比咩神社(しらやまひめじんじゃ)」です。
白山比畔神社は伊弉諾(いざなぎ)・伊邪那美(いざなみ)とククリヒメが一緒に祀られていますが全国の白山神社はこの三柱が一緒に祀られているケースが多いのです。
ホツマツタエでは伊弉諾(いざなぎ)の兄弟姉妹のキクキリ姫と出て来ます。
新潟市沼垂の白山神社では「菊理媛命、天照皇大神」が一緒に祀られていました。
奈良市米谷町(まいたに)の白山比咩(しらやまひめ)神社は肝心の白山比咩(しらやまひめ)がなくかわりに天照皇大神(あまてらす)・伊邪那美命(いざなみ)・軻遇突智命(かぐつち)となっています。
ククリヒメは天照皇大神の別名のようです。
そして岩手県一関市の熊野白山滝神社の祭神は伊奘諾(いざなぎ)・伊邪那美(いざなみ)・瀬織津姫を祀っていました。
岩手県の早池峰神社の近くに白山杉がありますがそのご神体はおしら様です。
オシラサマは養蚕の神であり三河の養蚕の神は天白神として瀬織津姫の別名となっています。
オシラサマは「お知らせの神」とも伝えられています。
ククリヒメに謎の言葉をかけられた伊奘諾尊(いざなぎ)は黄泉の国を抜け出し穢祓(みそぎはらえ)をしました。
菊理媛は「お知らせの神」でもあり穢祓(みそぎはらえ)の神でもあります。
白山神社社家の伝承では白山神は穢れを禊ぐ神として伝えられていました。
白山比咩神社には泰澄作と伝えられる本尊を祀った「河濯(カハスソ)尊大権現堂」があります。
河濯(カハスソ)の神を祀る寺社は日本海側にいくつもあり、その多くは瀬織津姫として祀られています。
河濯・川濯は川で濯ぐ・川で禊ぎするといった意味があり川で身を清める祓いの水神として祀られていました。
白山信仰と河濯神と瀬織津姫は繋がりがあり、白山神社ではククリヒメと共に川濯明神・川濯神が祀られています。
白山を開山した泰澄(たいちょう)の夢の中に白山神が「天女」の姿となって現れ「吾ここにありて国中の水を守護す」と託宣する話が「白山妙理大権現縁起」に出て来ます。
泰澄は白山神を「河上大権現」として奉じたとあります。
神仏習合が行われたのです。
福井県永平寺町の明神社境内社・河濯神社の祭神は瀬織津姫となっています。
その分社の川上神社は美都波能売命(ミズハノメ)と瀬織津姫命を祀っています。
石川県金沢市の瀬織津姫社で祭礼時に掲げる幟に「川濯御神」とあるので美都波能売命と瀬織津姫とカハスソ(河濯・川濯)神は同神とされていたようです。
越前市の河濯山芳春寺は大日如来を本尊とする臨済宗大徳寺派の寺ですが通称「かわっさん」と呼ばれ、安産・病気快癒にご利益があるといわれ、お参りの人が絶えなかったようです。
ククリヒメと瀬織津姫は禊祓(みそぎはらえ)という共通の役割を持っていました。
そしてどちらも天照皇大神の別名として出てきます。
おしら様と白山のシラは太陽の光を表すもので、シラ=太陽とすればククリヒメとアマテラスは同質ということになります。
自然信仰の時代は自然界の精霊でしたが弥生になり祖霊信仰の時代になると水神は女神として瀬織津姫、美都波能売、白山比咩として信仰されるようになりました。
仏教の影響を受けると大権現として神仏習合のもとに祀られるようになり、その過程でアマテラスと競合する瀬織津姫とククリヒメの痕跡が消されてしまったのです。
ククリヒメ(菊理媛)のククルとはばらばらの物を一つにまとめる女性原理の働きであり、くぐるは「潜る」つまり「水の中にもぐる。通り抜ける。』の意になります。
つまり、ククリヒメ(菊理媛)はあの世とこの世を自由に通りぬけて、世界を一つにまとめる言霊をもった女神なのです。
その女神の力が解き放たれる時代が来ています。