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経営層がターゲットの『オープン イノベーション白書』公開

2016.07.12 00:00

【ビジネス ニュース】 平成二十八年七月七日に経産省(大臣:林幹雄)とオープン イノベーション協議会(JOIC、会長:野路國夫)、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO、理事長:古川一夫)の三者は『オープン イノベーション白書(画像引用)』をまとめ、十一日に四十二頁の概要版を公表し、東京・霞ヶ関でセミナを行った。


本白書は、企業等におけるイノベーションの創出や競争力の強化に寄与する事を目的に、オープンイノベーションに関連する定量的なデータや一定の成果をあげた企業の推進事例等から見えた課題や成功要因等をまとめている。背景には「日本企業が自社製品や経営資源のみだけでは、新たな価値(イノベーション)を生み出せなくなってきている」とし、外部から技術やアイデアを取り込み新しい価値を創り出す「オープン イノベーション(OI)」を重要視。本白書によってOIの有効性が産業界へ浸透しOIが根付く事で、日本のイノベーション エコシステムの構築に繋がる事を期待している。




<国内外の事例十六社と都市事例>

 本白書はOIの推進を目指す、ないし既に取組み始めた企業の「経営層」等をターゲットに据えた。大企業や大学・公的機関等との外部連携に関する定量的なデータを時系列に整理。また、OIにより一定の成果をあげている製造業系の国内十一社と海外五社の事例や、OIを創出するエコシステムを構築する海外地域(シリコンバレー、イスラエル等)の事例から、OI推進の阻害要因・成功要因を考察する。

これらのデータや事例より、社内におけるOIの目的に対する理解や組織体制の整備等の壁を乗り越える為の知見を得られる内容だ。



オープンイノベーション白書初版の目次は、以下の通り(章別)。

  1. オープンイノベーションの定義と変遷
  2. データに見る国内のオープンイノベーションの現状
  3. 我が国のオープンイノベーションにおける課題・阻害要因
  4. オープンイノベーションを創出するエコシステムの国際比較
  5. オープンイノベーション推進事例
  6. 各主体の取組から見るオープンイノベーション成功要因の分析
  7. オープンイノベーション創出に向けた活動報告



=解説=

 そもそも「オープン イノベーション(OI)」とは、何だろうか。直訳すれば「開かれた革新」となる。一社ないし一グループ内だけは革新を起こし難く、他社・大学等との連携により革新を図るものだ。本白書では「自社のリソースのみでは、不可能だ。」と断言している。OIの定義は以下の通り。


組織内部のイノベーションを促進するために、意図的かつ積極的に内部と外部の技術やアイデアなどの資源の流出入を活用し、その結果組織内で創出したイノベーションを組織外に展開する市場機会を増やすことである




中小企業等が主体的に動くOI

 昨今のOIのトレンドとして、研究開発から新事業創出になり、アウトバウンド型や連携型が増え、複数の関係先が相互に混じり合う連携体制「エコシステム」の構築が特徴とされている。これは中小企業等が含まれている点がポイントであろう。大企業同士だけでなく、中小企業等が大企業や大学と提携・ベンチャ化する。


十年前と比べ、経営層のOIに対する意識は改善しているものの、課題・阻害要因は実行時のプロセスや課題が挙げられている。成功要因は、組織戦略・組織オペレーション・ソフト面に大別された。ビジネスユーザが一読すべき書類であろう。


尚、企業を含めた会員数が五百十一(七月一日現在)のJOICの幹事には、名だたる企業の取締役が並ぶ。