「FCポルトの陰に隠れたもう一つのチーム」Boavista FC, Porto
偶然の出会いだった。
FCポルトの試合を見終わった後、何も食べていなかった僕は、貧乏の味方スーパーを探す旅に出た。ポルトという街は、生活感を出してこないことで有名で(僕の中で)、スーパーや、マクドナルドのようなチェーン店が極端に少ない。
加えてこの街は、坂道だらけだ。登ったり、下ったり、歩くだけで疲れきってしまう。他のヨーロッパの国には、スケートボードやら、ローラーブレードやら、キックボードやら、時にはセグウェイに乗っている人が多いけど、この街には自転車すら走っていない。
ヨーロッパの人は自分が便利ならなんでもする。だからデート中にローラーブレード(僕が小学生の時に流行ったやつ)を余裕で履くし、きっと恥ずかしいなんて1つも思っていない。もし同じことを日本でやったとしたら、デートの当日に彼女に振られ、彼女の友達に噂が広まり、しまいにはSNSでワロタとか言って拡散されるオチが待っているだろう。
だから僕も含めて日本人は、彼女とデートをする時に靴を履く。
そんな海外で便利なのがGoogle map様で、オフラインでも事前に地図を表示しておけばちゃんと機能してくれる。自他ともに認める方向音痴の僕でも、ネットがない海外生活で一回しか死にそうになっていない。マンチェスターで夜中にホテルが見つからなかった時は、死にかけた。
たまたま表示された
話を戻そう。Google mapを頼りに歩いていると、たまたま見えた「ボアビスタFC」の文字。僕はそのチームを知らない。しかも、まあまま遠い。歩いて30分。どうしよう。行ったところで何があるかもわからないし、そもそもサッカーのクラブなのかもわからない。坂道だらけのこの街で30分はかなり億劫だった。
しかし、僕は覚悟を決めた。スーパーでご褒美兼エネルギーとしてスニッカーズを買い、店員に「それだけ」という顔をされ、「それだけ」という顔をし、ボアビスタFCの書かれたその場所へ向かった。
僕は持っている
スニッカーズと、運を。
到着したと同時にホイッスルが鳴った。
人工芝のグランドで、おそらく20代くらいの選手たちが試合を行っていた。コーチが吠えている。レベルは、高いとも言えず、低いとも言えず…といった感じだろうか。
ギャラリーもまあまあいる。このおじさんが、ものすごくネットを引っ張るもんだから、もう既にネットは疲れ切っている。選手の年齢が聞きたくて話しかけたら、怒涛のポルトガル語が飛んできて、僕は終始笑顔を見せておいた。一ミリも聞き取れなかった。
メインのグランドに加え、もう一つ小さなグランドがあり、環境もそこそこいいこのチームは、後々調べてみるとしっかりポルトガル1部リーグに所属するチームだった。ユニフォームが黒と白のチェック柄で、ちょっとダサい。
過去に八百長で3部に降格させられたことがあるみたいだけど、現在は1部リーグで4位という高順位を維持している。八百長も、ちょっとダサい。
相手チーム
わからない。どこですか。あった。Googleすごい。
どうやらポルトガル2部に所属するチームみたいで、同じポルトにあるらしい。そうなると、おそらくサテライト同士の試合だったのかもしれない。
ホームスタジアム
グランドのすぐ隣には、スタジアムがある。大きなスタジアムの前には、特徴的なモニュメントがそびえ立つ。多分、この得体の知れない獣が、このチームの象徴なのだろう。
ポルトダービーは
きっとものすごく熱い。いつか必ず、このボアビスタFCと、FCポルトが戦う試合を生で見て、FCポルトを全力で応援したい。
ボアビスタには悪いけど、僕はもうFCポルトが大好きなんだ。スーパーを探しに出かけて、本当に良かった。
方向音痴で、本当に良かった。