【インタビュー】再春館製薬所:広報 江河真喜子
「一緒にできることからしていきたい、一緒に頑張りたいって思っているんです。」
熊本県・益城町で避難所となっている小学校や総合体育館等に繰り返し、足を運び続けている一人、江河。
「地震の後、はじめは、とにかく物資を届けることから始めていたんです。社員みんなでおにぎりを2,000個つくって持っていったり、パンを届けたり、お水を届けたり。
そうしながら、避難所も見て回ったのですが、まだ震災直後で本当にごちゃごちゃしていて。避難している部屋の中にも、みんな土足で入っていて、それに、そんな場所でご年配の方も、子供たちも寝ているんですよ。」
「当然、衛生状況も良くなくて。こんな環境だと、よけい気が滅入っちゃうだろうな。
少しでも平常にしていくためにもお掃除くらいなら自分たちでもできる、そこから始めてみようって、避難所になっている小学校や、体育館に通い始めたんです。
土足になっているところも、スリッパを持って行きました。
『土足でいいですよ』って言われたんですけど、掃除しながら、汚していたら駄目だと思ったので、そこはポリシーで(笑)」
「今では避難所も、土足厳禁になっているし、段ボールのベッドが入ったりして、直に寝なくてよい状態にもなって、お掃除もしやすくなってきたんですけど、当時は、掃除しても、掃除しても、芝生とか泥とか、小石とかきりがなくて、一緒に行っているメンバーからも、意味があるのかなって、声もあったほどなんです。
あと、女性の方にお声掛けをしながら、化粧品を使っていただいていたのですが、はじめのうちは『宣伝ですか?』と、言われたこともありました。」
「こんな大きな災害があって、みんな途方に暮れていたし。気持ちのやり場もない状況の中で、そう思われる方がいるのも、仕方がないことだと思います。
だけど、繰り返し通ううちに、はじめのうちは、話しかけても、『うん。うん。』ってうずかれるだけだった方々も、『今日も来てくれたね、お疲れさま。』って、来ることを心待ちにしてくださるようになったり、笑って、冗談も言ってくださるようになって、時には私のグチまで聞いてくださり、気持ちの変化が伝わってきました。」
「ついこの間は、『いつも、本当にありがとう」って言っていただいたんです。継続して、行き続けていくことは、本当に大切だなって実感しているんですよ。」
「私は、幸い働く場所もあるし、生活もできている。だから避難所で生活している方と、今の境遇は違うかもしれないですが、同じ体験をしたからこそ、同じ被災地にいるからこそ分かることがあると思うんです。だって、私も益城町の住人ですからね。
会社がいち早く復旧できているのも、みんながいたから。
今度は、地元のみなさんとも、一緒になって復旧していきたい。
『大丈夫だよ、一人じゃないから。』と元気を届け続けたいと思うんです。」