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抗菌アロマテラピー研究会

肉食は虚血性心疾患、菜食は脳卒中のリスク増

2020.09.10 23:36

  世の中、食に関して色々な情報、意見があふれています。曰く、飽食の今こそ粗食、菜食にした方が健康でいられる。いやいや、菜食主義者は必ずしも健康ではない。曰く、長生きしたければカロリ-を控え、粗食がよい。いやいや、粗食では長生きできない、長寿の人は肉好きが多い。などなど、枚挙にいとまがない。一体、何が信頼性のある情報なのでしょうか?

  以前のコラム(ロ-カ-ボ対ハイカ-ボ論争に幕!:両者共に死亡率は増加する)でもご紹介しましたが、より正確な信頼性のある情報は、長い時間をかけた疫学調査、コホ-ト研究、さらにはメタ解析(複数の研究の結果を統合し、より高い見地から分析すること)の研究から得られます。今回は、18年間の追跡調査から、肉食者、魚食者、ベジタリアンの虚血性心疾患と脳卒中のリスクを調べた、英国オックスホ-ド大学を中心とする前向きコホ-ト研究の結果をご紹介します。

  英国前向きコホ-ト研究(EPIC-Oxford研究)として、1993年から2001年の間に英国で非肉食者の割合が高い参加者を募集し、虚血性心疾患、脳卒中、狭心症の病歴のない48,188名を対象として長期観察研究を行いました。参加者は、3つの食事グループに分類されました:肉を食べる人(魚、乳製品、卵を食べたかどうかに関係なく肉をよく食べる人; 24,428名)、魚を食べる人(魚を食べるが肉食はしない; 7,506名)、およびビーガンを含む菜食主義者(16,254名)。評価の一次アウトカムは、2016年までの虚血性心疾患または脳卒中の発生としました。

  その結果、2,820症例の虚血性心疾患および1,072症例の脳卒中(300名は出血性脳卒中)が記録されました。社会人口学的および生活習慣の交絡因子を調整した後、魚を食べる人は肉食の人より虚血性心疾患率が13%低い事が分かりました(ハザード比0.87、95%信頼区間0.77から0.99)。菜食者も肉食者より虚血性心疾患率が22%低くでました(ハザ-ド比0.78、95%信頼区間0.70から0.87)。やはり虚血性心疾患は、肉食による高脂質、高コレステロ-ル摂取が要因になっている可能性があります。

  一方、脳卒中の発生率をみると、菜食者は肉食者よりも脳卒中の総発生率が20%高くでました(ハザード比1.20、95%信頼区間1.02〜1.40)。かつての日本では脳卒中が多く、高塩分摂取と肉食が少ないのがその原因と考えられましが、やはり菜食主義者による蛋白不足は血管を脆弱にするのかも知れません。

  このように、18年にわたる英国の前向きコホ-ト研究(EPIC-Oxford研究)から、魚を食べる人と菜食者は肉を食べる人よりも虚血性心疾患の発生率は低かったが、菜食者は出血性を含む総脳卒中の発生率が高いことが明らかになりました。やはり、かたよらず色々な食材を食べるのが一番良いということでしょうか。(by Mashi)

参考文献:Tammy Y N Tong. et al., Risks of ischaemic heart disease and stroke in meat eaters, fish eaters, and vegetarians over 18 years of follow-up: results from the prospective EPIC-Oxford study. British Medical Journal (2019) 366:l4897 DOI: 10.1136/bmj.l4897