信長の野望20XXボスの強さレビュー

農協の課長に転生した儂がドロップ☆3の低火力スキルだったけど自己回復部分のおかげで半分鬼の美少女と能登無双な件 4

2020.09.12 10:41



信長の野望20XXの二次創作です。

「思ってた○○像と違う」あったらごめんなさい。

読みたい人だけどうぞ。





~~~能登進軍中~~~




翌朝。


「こほん。我々はこの山の中腹にある地点を目指す。」


豪姫はタブレットに表示された地図を皆に指し示す。


「天狗が現れたとの話じゃ。そやつを倒せば此度の任務は完了、暫しの休暇となる」


「さて、この天狗じゃが...時に小野寺殿」


豪姫がタブレットの表面を人差し指でぺんぺんぺんと突きながら言う。


「『でーた分析』によると天狗は、小野寺殿のような術使いに弱い...こちらから見ると相性が良いというわけじゃ」


豪姫、妙玖、そして橋姫の期待の視線が小野寺に注がれる。

昨日の今頃は「よくわからないおじさん」だった彼が、今や「頼れるおじさん」として認識されているのだ。


「やってくれるな」


「御大将殿の仰せとあらば」


「よし、本日の先駆けは小野寺殿とし、二陣を橋とする。橋はくれぐれも無茶せぬように。出陣!」









道中、四人は粛々と「仕事」をこなしていった。

橋姫は昨日と異なり、味方から突出することもいたずらに敵を嬲ることもなく、鬼も獣も屍も妖も淡々と狩っていく。

機構の秘蔵っ子と噂されるだけのことはあるのだろう。


「橋どの、その調子...やればできるではありませんか」


妙玖が褒めそやすと、橋姫は嬉しいのか妙玖にぎゅっと抱きつく。昨晩から懐いているのだろうか、母と娘の如しである。


「あらら、よしよし」


(...昨晩は、『またしてもおなごを泣かせてしもうたか』といったところであったが、儂にはまだまだ素っ気ないのう)


「こほん。戯れも程々に...そろそろ天狗のおるという地点に近づいてきたぞ...ん」


先程まで晴天であったのが急に曇りだし、ぽつりぽつり、と雨が降ってきた。


(...?鳥が飛ばぬ)


瞬く間に、ざあざあと強い雨に変わる。


「皆さん、雨合羽を」


四人は持参した機構特製のレインコートを羽織る。


(...雨の匂いがせぬ)


周囲に霧が立ち込める。種子島と異なり、現代兵器は降雨で使えなくなることはないが、小野寺の持つパニッシャーのような、重量級の兵器は扱いづらくなる。


(...よもや、これは何らかの術ではあるまいな)


その時、豪姫の持つセンサーが作動した。


「皆!...来るぞ!向こうから来おった!」






最初、霧中に立つ巨木にも見えたそれは...ばっさばっさと翼をはためかせ地より浮かび上がっていた。


天狗。一体は紅の袴、もう一体は白の袴。前衛に芋虫のようなものが3体。


「お目出度い成りをしおって。橋、まずは前衛を!」


豪姫の指示に応え、橋姫はすっと手をかざす。

紫色の毒霧が芋虫を覆うと、難なくそれらは動かなくなった。


しかし、紅白天狗に動ずる様子は見えない。何やらぎゃあぎゃあと紅白で相談しているような仕草だ。


小野寺はぐっと腕に力を込める。

外の国に転じた時より使えるようになった術。

敵の体力を奪い、己のものとする術である。


「...!」


念は当たっている。だが、巨大な天狗二体の体力を削りきる事ができない。


そのうちに、紅い天狗がふっと動き、扇を振りかぶる。


「皆さん、伏せて!.......」


妙玖が何事か念ずると、薄い結界のようなものが天狗と四人のあいだに張られる。

次の瞬間、天狗が扇を振りぬくと、石や木の枝を含む風、というよりは空気の塊のようなものがぶつけられる。


「ぐっ!」


間髪入れずに、白天狗が振りかぶったかと思うと、扇の先に雨の滴が集まる。

大きな水の塊となったそれを、扇を振りぬきぶちまけてくる。


「ぐうおっ?」


小野寺はこの二撃でかなりのダメージを受けている。次の一撃には耐えられないかもしれない。そもそも妙玖の結界がなければどうなっていたかわからない。


しかし、豪姫と妙玖、特に橋姫は、小野寺ほどのダメージを被っていないように見えた。


(「霊力」の差か...?)


小野寺と彼女たちを比較すると、肉体的に頑健なのは疑いようもなく小野寺である。しかし、「霊力」なる魔境におけるパラメータとなると全く別の話であり、彼女たちが戦場に立つ理由もそれであった。


(...機構の誘いなど、断ればよかったか)


その時、匍匐の体勢にあった豪姫が何かを天狗に向かって投げつけた。

それは一瞬閃光を放つと、二体の天狗の動きは途端に鈍く、ぎこちないものとなった。


「すたんぐれねーど。一時凌ぎじゃ」


豪姫は近くの岩陰に走り込み、他の三人に手招きする。






「小野寺殿、私の合図で飛び出し、次こそ天狗めにトドメを刺すのじゃ」


「...情けない話をするが、儂の術であれを倒せるのであろうか」


「小野寺殿?」


「...儂には、化け物を倒す才が無いのかもしれぬ」


昨日、そこな橋姫の前で格好つけて諭したのはなんだったのだろうか。


「...デラさん...そんな」


一同、つかの間の沈黙。


豪姫が小野寺の前に立ち、ずいっと顔を近づける。雨合羽の下、金に染めた髪から雨が滴っている。


ーーーーーだーっ!

ぱちん。


「な、なにをするか、小むす...御大将!」


その手の趣味でもなければ、いきなり頬を叩かれるのはたまったものではない。


「外の国の『闘魂入れ』じゃ!小野寺殿...」

「格好よいところを、また私たちに見せておくれ」


豪姫の真剣な眼差し。妙玖も橋姫も、深く頷いた。



...こうまで言われて、引き下がる筋合いは無い。

思えば、自分が機構に入ったのは息子たち...光道や義道に会えるやもしれぬと思ったからではないか。

こんなところで力尽きてなるものか。こんなところで格好悪い親父の姿を見せてなるものか。

豪姫に叩かれた頬から全身へ、不思議と力が漲る気がする。これならば闘える。


小野寺は岩陰を飛び出ると、麻痺状態から回復しつつあった天狗へ正面から駆け込んでゆく。



儂は誰か?最上でも戸沢でも安東でも無い。そやつらから領土を守り抜いた儂ではないか。

そう、我こそはーーーーー





『雄勝屋形(オガチヤカタ)』









一瞬の光の後、天狗は地へと撃ち落とされた。

雨はぴたりと止み、雲が動く。


「デラさん!」


近づいてくる橋姫の声がする。


息子たちに会えるのはまだ先の事かもしれない。だがそれまでの間、この部隊に居てもよいかもしれない。


やがて雲のあいだから陽が差し、野は雨の滴を輝かせていった。






~~~おわり~~~







以上、20XX二次創作の試みでした。

農協要素全然無くてすいません!