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氷点

2016.07.14 01:00

店主です。

久しぶりにしっかりとした小説を読みました。

辻口病院長夫人・夏枝が青年医師・村井と逢い引きしている間に、3歳の娘ルリ子は殺害された。「汝の敵を愛せよ」という聖書の教えと妻への復讐心から、辻口は極秘に犯人の娘・陽子を養子に迎える。何も知らない夏枝と長男・徹に愛され、すくすくと育つ陽子。やがて、辻口の行いに気づくことになった夏枝は、激しい憎しみと苦しさから、陽子の喉に手をかけた―。

(amazon「BOOK」データベースより)


三浦綾子「氷点」。不朽の名作ですね。


三浦綾子さんの文章というのはとても読みやすく、物語の世界の中へすんなりと入り込むことができます。


これまでに何度も映画化、TVドラマ化されているようですが僕はどれも見たことがありません。見たことないからかもですが、登場人物の心情の変化を追うには小説が一番いいんじゃないか?と思いましたね。


特に啓造の心情の変化はあっちこっちに振り回されていて、そこまで一直線ではないところにリアルさを感じます。それゆえに彼自身も苦悶することになるのですが。。。


それぞれの苦悩から始まり、終盤はキリスト教的な「原罪」がテーマとなっていきます。最後には救いもありますが。。。

当時の読者の熱い要望もあり「続・氷点」も執筆されているのでまた少し経ったら読んでみようかなと思います。


ところでこの「氷点」は三浦綾子さんが朝日新聞の懸賞小説公募企画に投稿するために書き上げた作品で、それまではほぼ無名の作家だったそうです。

この時の懸賞は当時としては破格の1000万円だったのですが、ご主人の光世さんの強い意志により私的なことには一切使わず、残った分はすべて寄付したと言われています。ちなみに三浦夫婦は敬虔なクリスチャン。