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2020.09.13 08:29

https://kotobank.jp/word/%E6%B0%B4-138560    【水(読み)みず(英語表記)water】より

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

化学的には酸素と水素の化合物で,無色,無臭,無味の液体。天然には海水,湖水,河川水,井水,温泉水,雨,雪,氷,水蒸気などとして多量に存在する。融点0℃,沸点 100℃。化学式は H2O で表わされる。比重 1.000000 (4.08℃) 。融点,沸点,気化熱などの値は硫黄,セレンなど酸素の同族体の水素化合物に比し著しく大きい。比熱,潜熱も大きく,表面張力は水銀に次いで大きい。これらは水の分子が強い極性をもつので,分子間に強い水素結合が生じ,水分子の会合が起って擬結晶構造をとることが原因とされている。イオン性物質に対する良好な溶媒である。水は生命の維持に不可欠の物質であるが,間接的にも食糧 (農水産物) の生産,気候の調節,自然界における輪廻に基づくエネルギーの蓄積などを通して人間の生活を支えている。

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知恵蔵の解説

環境汚染や薬品公害などによって、水道水や井戸水をそのまま飲むことが健康に悪影響を及ぼしかねない状況があるなか、内外各地の天然水(銘水、伏流水、ミネラルウオーター、海洋深層水など)が市販されている。水道に取り付ける浄水器や活水器も各種開発され、蛇口に取り付けるタイプと、中・大型の電気機器(アルカリイオン水生成器など)がある。前者は天然石や活性炭、セラミック、フィルターなどで濾過し、後者は電気分解により水を浄化する。

(中島富美子 フード・ジャーナリスト / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

デジタル大辞泉の解説

1 水曜日。

2 砂糖・蜜(みつ)を入れただけの氷水。みぞれ。

3 仏教で、四大の一。みず。「地水火風」

4 五行(ごぎょう)の第五。方位では北、季節では冬、五星では水星、十干では壬(みずのえ)・癸(みずのと)に配する。

[音]スイ(呉)(漢) [訓]みず

[学習漢字]1年

〈スイ〉

1 みず。「水火・水害・水滴・水道・水分・水泡/汚水・温水・海水・給水・洪水(こうずい)・散水・浸水・薪水・断水・排水・噴水・防水・名水・用水・流水・霊水」

2 川・湖など、水のある場所。「水域・水運・水軍・水産・水陸/湖水・山水・治水・背水」

3 液体状のもの。「水銀/経水・香水・化粧水」

4 水素のこと。「水爆」

〈みず〉「水色/大水・塩水・泥水・生水・湯水・若水」

[名のり]たいら・な・なか・み・みな・ゆ・ゆく

[難読]水綿(あおみどろ)・水黽(あめんぼ)・水夫(かこ)・水鶏(くいな)・水母(くらげ)・水団(すいとん)・手水(ちょうず)・礬水(どうさ)・水脈(みお)・水翻(みずこぼし)・水準(みずばかり)・水上(みなかみ)・水無月(みなづき)・水泡(みなわ)・水松(みる)・水雲(もずく)

みず。他の語と複合した形で用いられる。「垂水(たるみ)」「水草」「水漬(づ)く」

1 水素と酸素との化合物。純粋なものは無色・無味・無臭で、常温で液体。1気圧ではセ氏零度で氷に、約100度(99.974度)の沸点で水蒸気になり、密度は4度で最大。他の物質に比べて比熱・融解熱・気化熱が大きく、さまざまな物質をよく溶かす。地球上に広く分布し、海洋・氷雪・湖沼・河川・地下水や大気中の水蒸気などとして存在し、自然界を循環する。動植物体の構成成分としても大きな割合を占め、生命に不可欠。化学式H2O

2 湯などと区別して、温度の高くないもの。「水を飲む」「水道の水」

3 洪水。大水。「水が出る」「水につかる」

4 液状のもの。「ひざに水がたまる」

5 相撲で力水(ちからみず)のこと。「水をつける」

6 勝負が長引いたとき、一時中止させること。水入り。「水が入る」

7 建築で、水平、または水平をあらわす線。

8 遣水(やりみず)。池の水。

「―の心ばへなどさる方にをかしくしなしたり」〈源・帚木〉

[補説]作品名別項。→水

[下接句]油に水・魚(うお)と水・蛙(かえる)の面(つら)に水・筐(かたみ)の水・君(きみ)は舟、臣は水・君子の交わりは淡きこと水の如(ごと)し・立て板に水・寝耳に水・焼け石に水

《椀(もい)に入れるものの意から》飲み水。飲料水。

「淡道島の寒泉(しみづ)をくみて、大御―献(たてまつ)りき」〈記・下〉

《原題、〈イタリア〉L'Acqua》アルチンボルドの絵画。板に油彩。縦67センチ、横51センチ。「四大元素」と総称される寄せ絵の連作の一。さまざまな魚介類で構成される。ウィーン、美術史美術館所蔵。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

百科事典マイペディアの解説

化学式はH2O。酸素と水素との化合物で,常温では無色無臭の液体。1気圧での融点0.00℃,沸点100.00℃。3.98℃で密度最大(0.999973g/cm3)。固体の水は氷,気体の水は水蒸気という。前7世紀にギリシアのタレスは万物の根源は水であるとし,以後長い間水は元素の一つであると考えられてきたが,1784年H.キャベンディシュが水素を空気中で爆発させると水ができることを発見,のちラボアジエによって水素と酸素の化合物であることが明らかにされた。水分子は二等辺三角形状の構造をもち,気体分子での酸素原子と水素原子の結合距離(O−H)は0.958オングストローム,結合角(∠HOH)は104°。比熱はあらゆる液体中液体水素に次いで大きい(水素結合の存在による)。きわめてよい溶媒で多くのものをよく溶かす。純粋な水では電導性はほとんどなく,わずかにH3O(+/)とOH(-/)に電離。アルカリ金属,アルカリ土類金属などと反応して水素を発生,ハロゲンと反応してそれぞれの酸となり,金属の酸化物,非金属の酸化物を溶かしてそれぞれ水酸化物,酸素酸をつくる。地球上に海水,河川水,湖沼水,地下水などのほか,極地や高山では大陸氷,大気中では水蒸気などの形で存在し,また岩石,鉱物,土壌,生物体などに結晶水その他の形で含まれる。これらの水は蒸発,蒸散,凝縮,流動などの過程を通して自然界を循環し,これらのうち約98%は海水で占められる。純粋な水を得るには蒸留法,イオン交換法などによるのが普通。→工業用水/硬水/重水/軟水/水資源

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占い用語集の解説

五行の一つ。水を象徴とし、陽の水「壬水」と陰の水「癸水」がある。水だけではなく、河川や海、雨、全ての液体を指す。季節では冬、方角では北をあらわす。

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世界大百科事典 第2版の解説

水はわれわれが目にする最もありふれた液体であるが,人間生活にとって欠くことのできない物質である。地球に生物が存在するのも水があるからで,今から46億年ほど前に地球が誕生し,内部から出てきたガスで大気が形成され,それに含まれていた水蒸気が冷却して水になったと考えられている。現在,地球上には海に大量の水があるが,地球の誕生後5億年ほどでそのほとんどの量が形成されたとする説と徐々に増加して現在の量になったとする説があり,前者が有力視されている。

中世の声楽の曲名。《綾小路俊量卿記(あやのこうじとしかずきようのき)》(永正11年(1514)奥書)に,〈水猿曲(みずのえんきよく) 或号水白拍子(みずのしらびようし)〉の題で曲譜が所収される。他本にはない唯一の曲で,今様(いまよう)から早歌(そうが)への過渡的声曲と思われる。上記の書は,1383年(永徳3)と1430年(永享2)の五節(ごせち)の式例を記すものだが,《梁塵秘抄口伝集》巻十四の仁安1年(1166)11月の六条天皇即位の記事の個所に,〈乱舞して水白拍子唱てかへりぬ〉とあることから,すでに院政期にも歌われていたことがわかる。

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大辞林 第三版の解説

①五行ごぎようの第五。季節では冬、方位では北、色では黒、十干では壬みずのえ・癸みずのと、五星では水星に当てる。

②七曜の一。「水曜」の略。

③漢方で、体内の水分のこと。気・血けつとならび、人体の働きを保つ三つの要素とされる。 → 気 ・血

④糖蜜とうみつだけを加えたかき氷。こおりみず。

みず。「汀みぎわ」「源みなもと」「垂水たるみ」など他の語と複合した形でみられる。

①水素と酸素とから成る化合物。化学式 H2O 常温で無色透明・無味無臭の液体で物をよく溶かす。融点摂氏0度。沸点摂氏100度。密度は摂氏4度で最大となり1g/cm3 比熱1cal/g・K 地球上に広く分布し、海・湖沼・河川・氷雪として地表面の約4分の3をおおい、太陽エネルギーと重力の作用を受けて気体(水蒸気)・液体・固体と状態を変えながら、気圏・水圏・岩石圏の三圏にわたって絶えず循環し、さまざまの気象を現し、地表の改変などを行う。また、生物体の構成成分として普通60~90パーセント(人体では体重の約70パーセント)を占め、細胞内では各種の生体物質の溶媒としてのみならず、反応物質として生体内の反応に直接かかわるなど、生命の維持に本質的に重要な役割を果たす。飲用のほか、溶解・洗浄・冷却・発電、あるいは、宗教上の儀礼など、人間の日常生活や産業などのあらゆる局面において利用される。 「 -を飲む」 「 -が流れる」 「 -を浴びる」 「 -をまく」

②特に、飲用水。

③液状のもの。 「関節に-がたまる」 「 -飴」

④(湯に対して)温度の高くない水。 「 -で冷やす」 「 -風呂」

⑤大水。出水。洪水。 「 -が出る」

⑥(相撲で)

㋐水入りのこと。

㋑力水ちからみずのこと。「 -をつける」

[句項目] 水到りて渠成る ・ 水が合わない ・ 水が漬く ・ 水が入る ・ 水が引く ・ 水涸る ・ 水清ければ魚棲まず ・ 水澄む ・ 水で割る ・ 水と油 ・ 水にする ・ 水に流す ・ 水になる ・ 水に馴れる ・ 水温む ・ 水の滴るよう ・ 水の流れと身のゆくえ ・ 水の低きに就く如し ・ 水は方円の器に随う ・ 水も漏らさぬ ・ 水をあける ・ 水を打ったよう ・ 水を得た魚のよう ・ 水を掛ける ・ 水をさす ・ 水を向ける

〔「 盌 もい 」に入れるものの意から〕

飲み水。飲料水。 「御み-も寒し御秣みまくさもよし/催馬楽」

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

水は純粋なものは無色、無味、無臭で、常温では液体である。天然には海水、湖沼水、河川水、地下水、氷雪および大気中の水蒸気などとして存在し、地球の表面近くにもっとも豊富に存在する物質である。地球上の水の起源は原始地球が形成されるとき、その原料であった含水鉱物からの衝突脱ガス中に含まれていた水蒸気と考えられ、地球上の生命を生んだ原始海洋はいまから35億年前に発生し、少なくとも20億年前には、現在のものと質量ともに同じ海水が存在していたと考えられている。[榧根 勇]

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水の量と分布

地球上の水は海水と陸水とに分けられ、ほかに少量の水が大気中に存在する。海水は地球表面の70.8%を覆い、地球上の水の総量の97.5%を占めている。海洋の平均水深は3795メートルで、総量を地球の表面積で割ると2647メートルになる。陸水のうちで、湖沼水や河川水などの地表水は陸地面積の3%を覆うにすぎない。しかし北極圏では蒸発が少ないうえに永久凍土で排水条件が悪く、淡水面積率が30%以上の地域もある。地表水の量は表1のように水の総量に比べると少ないが、循環速度が速く、水資源としてはもっとも重要である。

 氷河は陸地面積の11%を覆い、陸水の体積の70%を占めている。全氷河のうち89.7%は南極大陸に、また9.8%はグリーンランドと北極地域にある。近年の地球温暖化で氷河は縮小しつつある。地球上の水の総量は一定であるから、氷河の量が増えれば海面は低下する。いまから1万8000年前の最終氷期の最寒冷期には、氷河は現存量の約3倍もあり、地球の平均海面は約120メートル低かったと推定される。化石燃料の燃焼による大気中の二酸化炭素濃度の増加で気候が温暖化した結果、20世紀に地球の平均海面水位は0.1~0.2メートル上昇した。海面上昇は今後も続き、海岸の低地部に深刻な影響が現れると心配されている。

 地下水は陸水のうちで氷河に次いで量が多く、その分布範囲は陸地のほぼ全域に及ぶが、総量の正確な推定はきわめてむずかしい。表1の値は1951年にフォックスC. S. Foxが地下水の占める岩石の間隙(かんげき)率を、地表から深さ760メートルまでは4%、760~3750メートルは1%として推定した値であるが、深層について、当時、ソ連の学者の推定値はこれよりも1桁(けた)大きい。表1の土壌水の量は、植物に利用可能な有効水分の推定値である。ソ連のルボビチМ.И.Львович/M. I. L'vovichは1973年に土壌水の総量を8万3000立方キロメートルと推定している。生物体中の水の量は動物と植物あわせて1000立方キロメートル程度の推定値が多い。

 大気中の水蒸気をすべて凝結させた場合の水の量を可降水量という。全地球の平均可降水量は25ミリメートルにすぎない。可降水量の地理的分布は緯度すなわち気温と、水陸配置に支配され、湿潤な熱帯気団の卓越する地域では40ミリメートルを超えるが、乾燥した寒冷気団中では2ミリメートル以下にすぎない。[榧根 勇]

水循環の形態

このように水は地球上でさまざまな存在形態をとるが、それらは独立して存在するものではなく、地球上の水循環の一部として、相互に関連している。地球上の水の大部分を貯留している海からは、太陽エネルギーによって絶えず蒸発が行われる。低緯度地帯では太陽エネルギーが多く、海洋の面積も広いので、海面から蒸発する水の総量の80%弱は緯度40度よりも低緯度側の海域から蒸発する。蒸発した水蒸気は凝結して雲となり、さらに雨や雪となって、その90%近くは直接海上へ落下する。残りの水蒸気は風によって陸地に運ばれて地上に落下する。

 地上に落下した水の約65%は蒸発して大気中へ戻る。残りの一部は地中に浸透して地下水となり、地中をゆっくり流れて河川、湖沼、湿地を涵養(かんよう)するか、あるいは泉となって地表に現れる。また他の部分は地表を流れて直接河川へ入る。湿潤地域では、河川や湖沼は地下水により涵養されているのが普通であるが、扇状地や台地を流れる河川は逆に地下水を涵養していることが多い。また、池田湖(鹿児島県)や倶多楽湖(くったらこ)(北海道)のように、湿潤地域にあって流出河川をもたない湖の湖底からは、大量の湖水が地下水として流出している。乾燥地域では、河川は流下につれて蒸発や地中への浸透で水を失い、末無川(すえなしがわ)(水無川(みずなしがわ))になるものが多い。内部流域(内陸流域、降水量が少ないため外洋へ流出する河川をもたない大陸内部の流域)の湖沼は、降水量の変動に左右されて、季節的にも、時代的にも、湖の面積が大きく変化する。内部流域以外の地域の河川水はやがて海へ戻る。このように水循環は始めも終わりもない複雑な系をつくっている。

 地域と時間を決めて水の出入りを計算することを水(みず)収支という。ルボビチは大陸別の水収支を表2のようにまとめている。基底流出量は河川流量のうちで、主として地下水流出で養われている変動の少ない成分、直接流出量は降雨のあとすばやく流出する変動の大きい成分である。地下水は全流出量の約3分の1を養い、河川の流量を安定にしている。全湿潤量は土壌中を通過する水の量で、植物の生育に関与する生態系にとって重要な水である。[榧根 勇]

水循環の速さ

地球上の水循環は、海洋、河川、氷河、土壌水帯、地下水帯などの、水を貯留する能力をもつさまざまな水文システムが複雑に組み合わさった連続循環系と考えることができる。ある水文システムの貯留量をS、そのシステム中を単位時間に通過する水の量をQとしたとき、S/Qを、その水文システムの平均滞留時間という。例として大気システムを考えてみると、地球の年平均降水量は約1000ミリメートルで、大気中の水蒸気平均貯留量(可降水量)は25ミリメートルであるから、水蒸気の平均滞留時間は0.025年すなわち約9日になる。このような方法で概算したいろいろな水の平均滞留時間が表1に示してある。

 陸水の滞留時間は一般に、貯留量の大きいものほど長い。南極大陸の氷の収支から求めた大陸氷河の平均滞留時間は、約1万年である。しかし流域によって1000年から2万年までの違いがある。氷をつくっている水素や酸素の安定同位体組成は、降水が生じたときの温度によって異なる。この原理に基づいて氷河のボーリング・コアによる古気候の復元が行われている。

 地下水の滞留時間は平均すると800年程度であるが、地域や深度による差異が著しい。地下水の循環速度は、一般に浅層ほど活発で、滞留時間も短い。水素の放射性同位体である環境トリチウム(三重水素)をトレーサーtracer(追跡子)にした研究によると、日本では、山地小流域の浅層地下水の滞留時間は数年、洪積台地の浅層地下水は十数年である。これに対して、関東構造盆地で揚水されている被圧地下水のそれは、数十年ないし数百年と推定されている。東京湾岸の200~2000メートルの深度では2840~3万6750年の地下水がみつかっている。このような滞留時間が数千年から3万年ぐらいまでの地下水の年齢は、炭素の放射性同位体である炭素14をトレーサーに用いて推定される。この方法によると、アフリカのサハラ砂漠やアメリカ、テキサス州カリゾ砂漠の地下水の年齢は2万~3万年であり、氷期の、現在と異なる気候条件の下で涵養された水と考えられている。このように地下水の滞留時間は地表水に比べると著しく長いので、いったん汚染されると、元の状態に回復するまでには長い年月がかかる。

 湖沼水の平均滞留時間は、湖の規模や水文条件によって数年から数百年と差があるが、同一時の湖水の内部に、滞留時間が明瞭(めいりょう)に異なる水が存在する場合もある。この種の湖は部分循環湖とよばれ、下層に塩水が浸入した汽水湖や、下層水の塩分濃度が濃い塩湖に多い。たとえば、アメリカ、ニューヨーク州にあるグリーン湖は深さ18メートルに化学躍層(等密度な表層の混合層と密度成層が維持されている深層の停滞継続層との間に認められる、水温・水質の不連続な層)があり、深層水の塩分濃度は表層水の約2倍である。表層水の滞留時間は2年であるが、深層水のそれは4~30年と長い。日本でも、水深の深い池田湖では、深層に約10℃の水があり、数年に1回、寒い冬に表層の水温が10℃以下に低下したときだけ、表層水と下層水の混合が生じる。土壌水の平均滞留時間は1年未満と短いが、含水量の多い関東ローム層中の土壌水のように、地下水面へ到達するまでに数年ないし十数年かかる場合もある。[榧根 勇]

環境と特性

地球上の水は気圏、水圏、岩石圏を循環する過程で、それぞれの環境に応じた特定の水質をもつようになる。降水は天然の蒸留水であるが、大気中で各種の煙霧質(エーロゾル)やガスなどを取り込んでくる。たとえば、海岸付近の雨は内陸の雨に比べて塩分の含量が多く、大気汚染地域では降水中に汚染物質が多量に含まれる。大気汚染が原因と考えられる酸性雨は、北ヨーロッパや北アメリカで森林や湖沼生態系の破壊を引き起こしている。

 水はおそらくもっとも多くの物質を溶かす液体である。地下水は流速が遅く岩石との接触時間が長いため、局地的な地質条件を強く反映した化学成分をもっている。たとえば、二酸化炭素を溶かした水が石灰岩のような炭酸塩性岩石と接触すると、重炭酸カルシウム(炭酸水素カルシウム)を多量に含む硬水ができる。一般に地下水の陰イオン組成は、地下水の流動により滞留時間が長くなるにつれて、炭酸水素タイプから硫酸塩タイプへ、さらに海水の組成に近い水へと進化し、溶存物質の量も増加する。

 河川水の成分は、降水に含まれる成分、地表で溶け込む成分、および地下水から供給される成分からなる。河川水は一般に流下するにつれて溶存成分が増加し、また、都市排水や工場排水の混入によって水質が変化する。湖沼水の水質を決める大きな要因は、流入河川の水質である。リンや窒素を含む栄養塩類が多量に流入すると、湖の富栄養化がおこる。琵琶湖(びわこ)(滋賀県)の透明度は昭和の初めに比べると1980年(昭和55)には半分以下に低下した。この間に1961年ころからプランクトンの異常発生が目だち、その後、水道のカビ臭が発生し、1977年以来、毎年のように赤潮プランクトンによる赤潮が発生した。霞ヶ浦(かすみがうら)(茨城県)や諏訪湖(すわこ)(長野県)などの浅い湖の水質は、琵琶湖以上に悪化している。その対策としては、産業排水、合成洗剤、農薬、肥料、屎尿(しにょう)などの流入防止が必要である。内陸にあって蒸発量が流入量を上回る湖沼では、塩分は濃縮されて塩湖となる。西アジアの死海(ヨルダンとイスラエルの国境に位置する)とともに世界最大級の塩分濃度をもつ北アメリカのグレート・ソルト・レークは、いまから1万年前までは淡水湖であり、流出河川をもっていた。当時の湖水の体積は現在の500倍以上あったが、気候の温暖化で現在の状態まで縮小した。

 天然水の水質は、このような自然条件の変化のほかに、琵琶湖のように人間活動の影響によっても変化する。その機構はいろいろであるが、産業廃棄物や都市排水の放流のように、直接天然水中に物質が付加される場合のほか、海岸地下水の過剰揚水によって地下水が塩水化したり、河川上流での取水によって下流部の流量が減少し、その結果、海水の遡上(そじょう)を招く場合もある。[榧根 勇]

水資源

地球上には13億~14億立方キロメートルの水が存在するが、このうち人間にとって利用できる水は限られている。水はつねに循環しているから、鉱産資源とは異なり、再生可能な資源である。しかし、水によって滞留時間が異なるから、水資源の開発ではこの点を考慮することが重要である。地下水の総量は地表水に比べると非常に多いが、循環の速さが遅いので補給速度を無視して大量の揚水を行うと、地下水位の低下、地盤沈下、海岸地下水の塩水化などが生じる。

 水を資源として評価する場合、量とともに質も重要である。上水道用水としては、病原菌や毒物を含まないこと、異常な酸性やアルカリ性を呈しないこと、無色透明で臭みがなく、不快感や不安感を与えないこと、などが要求される。工業用水の水質は用途によりかなり異なる。たとえば、IC(集積回路)の洗浄用には非常に純度の高い超純水が要求されるし、ボイラー用水も高い純度が必要である。また食品などの原料用水には上水道と同じ基準の水が要求されるが、冷却用水などはそれほど厳しい水質基準を必要とせず、原子力発電所のように海水が用いられることもある。

 日本の年降水量は平均約1800ミリメートルで、世界の陸地の平均の2倍以上もあり、蒸発による損失も年間に600~700ミリメートルと乾燥地域や熱帯地域に比べて少ないため、水資源には恵まれている。日本の水利用は高度経済成長期に工業用水と生活用水の需要量が急増した。しかし1975年以降は、生活用水と工業用水をあわせた都市用水全体としては、ほぼ横ばいで推移している。農業用水も1975年以降約10億立方メートルの増加がみられるだけで大きな変動はない。しかし10年に1回程度の干魃(かんばつ)年には水資源が不足することもある。

 世界的にみると水資源はまだまだ不足しており、21世紀中に乾燥・半乾燥地域では深刻な水不足が発生すると考えられている。そのためユネスコでは、水文学の研究促進と水資源管理の向上とを目標に、国際協力事業として国際水文学計画(IHP)を1975年から実施し、2011年の時点で、第期計画(2008~2013)が進行中である。近年、地球温暖化によって地球の蒸発量は10%程度増加したと推定される。地球の降水量は蒸発量に等しいから、地球の降水量も増加したと推定される。蒸発は、広大な面積からゆるやかに起こる現象であるが、降水は、狭い範囲で集中的に起こる現象である。その結果、温暖化で、降水量の変動性は時間的にも空間的にも増大したと考えられる。変動がプラスに振れれば洪水、マイナスに振れれば干魃になる。人類は対応をせまられている。[榧根 勇]

水の科学史目次を見る

 水は生物の生存になくてはならぬ重要な物質である。そのため、人間の水に対する関心も深く、古くから多くの人々によって興味がもたれていた。[中原勝儼]

水の元素説――一元説と四元素説

紀元前6世紀ころ古代ギリシアの哲学者タレスは、水は宇宙のすべての基本となる元素であるとする一元論を考え、すべての物質は水が異なった形をとって現れるものであるとした。そのころの宇宙の構造についての考えでは、大地は大海に浮かんでいるものであるとされたし、また水はどこにでもあり、さらに雪、霰(あられ)、雹(ひょう)、氷などの固体、あるいは雨、露、霧などの液体、水蒸気などの気体になるなど、多くの変態を生ずることに基づく発想であったと思われる。前5世紀ころになって、エンペドクレスが、土、空気、火とともに水を万有の根本となる元素とする四元素説を提唱したが、このように水を元素とする考え方は、その後も続いて17世紀ころまで残っていた。たとえば、空気中に炭酸ガスのあることに気がついたベルギーのファン・ヘルモントですらも、植物が水だけで成長することを証明する実験を行っている。彼は、タレスの一元説を信じ、錬金術を信じていたが、その考えを実験的に証明しようとして、有名な「柳の実験」を行った。すなわち、乾かした土200ポンドを鉢に入れ、5ポンドの柳の若木を植え、土が風で飛ばないように鉄板をかぶせ、毎日如露(じょろ)で水をやって4年間育てた(葉が落ちると鉢の上で腐るに任せた)。そして最後に土の重量を測ったところ、200ポンドに2オンス足りないだけであったが、木の重量は169ポンド3オンスであった。彼は、柳の木が164ポンド3オンス増加しているのは、水が木になったからだと考えた(植物の光合成については当時まだ知られていなかった)。木は燃やすと灰が残る。灰は土である。すなわち、水が木や葉となり、木は燃えて煙と土とになる、という考え方である。[中原勝儼]

元素説の否定

水が元素であることに対して否定的な意見をもったのは、16世紀のドイツの鉱山家G・アグリコラであり、それを確かめたのはフランスのラボアジエである。18世紀の後半ころはまだ四元素説の信奉者が多く、その四元素の一つである水が他の元素に転化するという考え方は、かなり広く信じられていた。たとえば、ガラス製の蒸留装置で水を蒸留すると、蒸留器の底にはいつも不溶性物質が残るという事実は、水から土ができるという証拠とされていた。これに対して、ラボアジエは有名な「ペリカン」の実験を行ってこれを否定した。ペリカンというのは、錬金術時代に用いられた実験器具で、蒸留器が同時に留出物の受器をも兼ねており、同じ物質が絶えず蒸留を繰り返されるようになっている装置である。ラボアジエは、1768年10月24日から翌年2月1日までの101日間密閉したガラス製ペリカンの中の蒸留水を熱し続け、その前後におけるペリカンと水の重量を測定した。その結果、ペリカンと水の総重量は不変であったが、得られた水を取り出し、蒸発乾固して残った土状物質の重量と、底にたまっていた土状物質の重量とを加えたものは、ペリカンの減量とほぼ等しかった。すなわち、問題の土は、ガラスが水に溶けたものであるということを示したのである。[中原勝儼]

水は化合物

ペリカンの実験では、水が元素ではないということが示されたが、その組成について知ることはできなかった。水の組成を初めて明らかにしたのはイギリスのキャベンディッシュであった。彼は1781年、彼のいう可燃性空気(水素)と脱フロギストン空気(酸素)との混合物の中で電気火花を飛ばすと、水だけが生成することをみいだした。もちろん、キャベンディッシュはフロギストン説の信奉者であったから、これをフロギストンで説明しているが、その後1784年ころまで正確な実験を繰り返し、水素2容積と酸素1容積とから水を生ずることを確かめた。しかしこれに対しラボアジエは、単体としての水素と酸素との反応によって水という化合物を生ずるという正しい説明を与えた。さらに、水を分解して水素と酸素とにする実験を行い、合成と分解の両面から、水が元素ではなく、水素と酸素との化合物であることを明らかにした。すなわち、1785年、赤熱した鉄の管(小銃の銃身を用いた)の中に水を通すと水素が発生することを示した(酸素は鉄と化合して酸化鉄を生成する)。このようにして、水の元素説は完全に否定されたのである。また、その後イギリスのW・ニコルソン(ニコルソンの浮き秤(ばかり)で有名である)らは、1801年ボルタの電池を用いて初めて水の電気分解を行い、陽極に酸素が1容積、陰極に水素が2容積発生することがわかったが、これはさらにフランスのゲイ・リュサックによってより精密に実証され、水は水素と酸素とから生じ、その組成は水素2に対して酸素1であることが明らかになった。[中原勝儼]

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 水はきわめて身近な存在であるが、同時にきわめて複雑な特殊な挙動を示す化合物である。以下、水の本性を考察してみよう。[中原勝儼]

水の組成

水は水素2、酸素1よりできている物質で、化学式H2Oで表される。天然の水を各種の方法で精製したいわゆる蒸留水は、この式に一致する。水はわれわれの周囲にきわめて大量にあり、豊富に使用でき、しかも精製も容易であったので、古くから多くのものの標準として用いられている。たとえば、水の沸点と氷点とを温度の標準にとり、この間を100等分して摂氏温度としている。すなわち、水の氷点が0℃であり、沸点が100℃である。また4℃の水1ミリリットルの重量を1グラムとしている。水は4℃、正確には3.98℃で最大の密度(0.999973g/cm3)となるので、これを標準にとっている(固体すなわち氷のときは、水素結合によって比較的すきまの多い構造であったのが、温度が上がるとそれらが切れてすきまが少なくなり、膨張による密度の減少を打ち消し合って密度が最大となる)。しかし、これらの物理的測定が精密になるとともに、純粋の水の組成が問題となり、詳しく調べられた結果、水素では同位体1HおよびD、酸素では同位体16O、17O、18Oの存在が確かめられ、天然の水は各種の重水と軽水の混合物であることがわかった。これらの重水は、つねに一定の混合比であるが、海水やマグマ水などでは通常の天然水よりやや重くなっている。[中原勝儼]

水の性質

蒸留水ないし純水は、無色透明で、無味、無臭の液体である。その物理的性質を表3に示す。

 水は次のようにわずかに電離している。

  2H2OH3O++OH-

このときの平衡定数K′は

で示されるが、解離はわずかであるため、水の濃度[H2O]は一定と考えられるので、K′[H2O]=Kと置くと、Kは温度によってほとんど一定となる。このときのlogKは 0℃:14.935, 10℃:14.5346, 20℃:14.1669, 30℃:13.8330 で、常温ではほぼ14である。このKを水のイオン積という。

 水はアルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素とは常温で、マグネシウムとは熱水で、また加熱した鉄とは水蒸気で反応して水素を放出し、金属の水酸化物または酸化物を残す。多くの金属の酸化物と反応して水酸化物となり、非金属の酸化物と反応してそれらのオキソ酸をつくる。また多くの無機物、有機物を溶解するが、無機物ではイオン結合性の強い無機塩類、有機物では極性の強い分子からなるもの、あるいは水分子と水素結合をつくりやすいものなどが、溶解性が高い。[中原勝儼]

水の構造

水蒸気中では、独立した水分子H2Oが存在し、図Aの(1)に示したような形をした二等辺三角形である。通常の氷の結晶中では、この水分子が水素結合によって無限に連なり、鱗珪石(りんけいせき)型構造をとり、鱗珪石SiO2のSiがO、OがHとなった構造をとっている。すなわち図Aの(2)のような分子が三次元的に連なっており、六つのOの輪がつながった構造となって、水の分子の間にはかなりの空間ができている。通常の水ではこの構造が崩れるため、氷のほうが水よりも軽くなるのである。この通常の氷をさらに冷やすと、零下70~零下160℃の間ではクリストバル石型構造となる。これは鱗珪石型と基本的には同じであるが、Oの位置がすこし変わっていて、鱗珪石型が六方晶系であるのに対し、これは立方晶系になっている(図B)。この氷はさらに低温では無定形に近い微結晶の集まりになる。氷はO-H-Oで三次元的に無限に連なった構造であるから、単結晶はいわば一つの巨大分子であるということができる。この水素結合によって連なった結晶であるため、氷はきわめて硬いのである。

 一般に固体は加熱によって融解するものであるが、氷も0℃で融解する。このとき氷の融解熱は6.01kJmol-1(337Jg-1)できわめて大きく、たとえばベンゼンやナフタレンなどのような有機分子からなるものの数倍である。また通常の物質とは異なり、融解するとき体積が減少する。これは、結晶が融解して液体となるためには、鱗珪石型の構造にみられる水素結合がまず切断されて、この構造が崩されなければならず、そのための熱量が必要であるためと、この骨格が崩れると、結晶における空間が少なくなってくるからである。しかし0℃付近ではまだだいぶ水素結合が残っていて、かなりの空間があり、さらに熱するとまた水素結合は切れて密度は大きくなり、膨張による密度の減少と競合し、3.98℃で最大密度となる(表4)。それよりもさらに熱すると膨張による密度の減少が勝って比重は減少する。普通の水は、この氷の結晶がところどころで切断されてできるものと考えてよく、いわば氷に近い擬結晶である。低温ではこの水素結合による水分子の会合が残っていて、(H2O)nであり、常温付近ではnが4ないし5であることがわかっている。[中原勝儼]

水と氷と水蒸気

水は1気圧のもとでは0℃で凝固して氷となる。ただきわめて穏やかに冷却するとき(過冷却という)は、零下10℃ぐらいまで液体のままにすることもできるが、このときはなにかの衝撃その他によって一瞬のうちにすべてが氷となる。これは、普通の氷すなわち氷といわれるもので、0℃以下2000気圧以内で安定なものである。このほかにも、高圧のもとでは氷、、、、、などが知られている。これらの多形の間の関係は状態図で示されている。

 また水は100℃で沸騰して水蒸気となる。しかし穏やかに加熱すると100℃を超しても沸騰しないことがある。このような状態は準安定状態であって、この過熱した状態でさらに熱すると、突然爆発的に沸騰して(突沸という)水蒸気となり、その気化熱で100℃に戻る。しかし、それより低い温度でも、ある値(たとえば10℃で水銀柱9.209ミリメートル)の水蒸気圧をもっていて、密閉容器中ならば、その容器内ではその圧力となるまで水蒸気を蒸発させる。したがって、密閉されていないで、大気に液面が接しているときは、大気中の水蒸気圧と等しくなるまで蒸発を続けるか、あるいは大気中の水蒸気が液化する。大気中の湿度が低く、その水蒸気圧以下のときは、水がなくなるまで蒸発して水蒸気となる。水蒸気は高温になると次のように解離し始め、

  2H2O2H2+O2

1気圧のもとでは表5のようである。[中原勝儼]

水の精製

水にはきわめてものをよく溶かす性質があり、天然に存在する水は多くの物質を溶かしている。雨は、空気中に浮遊する塵埃(じんあい)をはじめ、酸化窒素や二酸化炭素などを溶かしており、河川の水は、流れている間にカルシウム塩、マグネシウム塩をはじめ、各種の無機塩類および有機物を溶かしている。これらの水が自然に土壌、砂層などを通過している間に不純物が除かれ、清浄にされた泉や井戸の水でも、ある程度のカルシウム塩、マグネシウム塩などが溶けているのが普通である。カルシウムイオンやマグネシウムイオンが多量に溶解しているときを硬水といい、少ないときを軟水という。

 湖沼より流れ出た水あるいは河川の水が流れ込み、繰り返し蒸発濃縮されたのが海であるから、海はきわめて多くの塩類を溶かしている。世界の海洋表面の水中の塩分濃度は、現在3.3~3.8%であり、もっとも大量に存在するのが塩化ナトリウムである。そのため、これら天然の水はそのままでは飲用に適しないことが多い。天然水を適当に処理して人工的な目的に使用するために行う分析をアクアメトリーといい、飲料水の水源汚濁が問題になっている最近では盛んに行われている。

 研究あるいは医薬品の使用その他の目的のため、化学的に純粋な水を得るには、水を蒸留するか、イオン交換樹脂を用いて各種の陽イオンおよび陰イオンを除く方法をとるのが普通である。蒸留では、何回か繰り返す程度でほとんど純粋な水が得られるが、水は多くの物質を溶かしやすく、このとき用いる容器をもわずかに溶かすので、石英容器あるいはスズの容器などを用いてこれを防ぐ。それでも完全に不純物をとりきれないことが多いので、蒸留水に過マンガン酸カリウムを加え、再蒸留することも多く行われる。

 イオン交換樹脂を用いて塩類を除く方法は、水素型の強酸性陽イオン交換樹脂で除くべき陽イオンをH+と、水酸化物型の強塩基性陰イオン交換樹脂を用いて除くべき陰イオンをOH-と交換するので、この方法で精製した水を脱イオン水ということがある。また脱イオン水をも含めて蒸留水ということもある。このように蒸留水や脱イオン水は、ていねいにつくればかなり純粋な水が得られるが、それでもある程度の溶解物質が残るのが普通である。塩類を取り除くのには蒸留法よりもイオン交換樹脂を用いるほうが有利であるが、この場合には樹脂中の有機物がいくぶん溶け出していることが多い。塩類の除去の程度、すなわち純粋な水となっている程度は、塩類の溶解がわずかであるため、水の比抵抗を測って示すことが多い。一般に比抵抗10×104Ω・cm以上の純水は水電解用などに用いられ、比抵抗100×104Ω・cm以上のさらに純度の高いものは高圧汽罐(きかん)用水、原子炉用水などに用いられる。このような比抵抗100×104Ω・cm以上の純水は、溶液の電気伝導率測定に用いられる程度の純粋なもので伝導度水とよばれる。現在ではイオン交換樹脂を用いて1800×104Ω・cmの純水が得られる。[中原勝儼]

水溶液

水分子はその形からもわかるように双極子となっている。

すなわち、Oは二つのHと共有結合によってその原子価を満足させてはいるが、共有結合に使われていない二つの非共有電子対は、OとHとの結合方向とは反対側にあり、分子全体では電気的に中性であるとしても、O原子側は電気的に負、二つのH原子側は陽、したがって双極子をつくっている。このことにより水分子の誘電率はきわめて大きく、他の同じような液体と比べてもっとも大きい。また水分子のO-H結合は、電気陰性の強い原子で、しかも結合に使うことのできる軌道の余裕のある原子をもった分子とは、きわめて水素結合をつくりやすい。これらの理由から、非常に多くのイオンないしは分子と大きな親和力をもち、種々な物質と混ざりやすく、したがって多くの物質を溶かすことになり、もっとも優れた溶媒として知られている。たとえば、塩化ナトリウムNaClや臭化カリウムKBrなどのようなイオン結晶は水によく溶ける。NaClの結晶では、Na+とCl-とは三次元立方格子に並んでいるので、結晶中での結合力はNa+とCl-との間の静電引力が主たるものである。これを一対のNa+とCl-との間の静電引力で代表させてみると、その引力fは、

である。rはNa+とCl-の距離であり、この場合は2.81Å、eは電気量で、この場合電子1個の電荷に相当する。またε0は媒体の誘電率であって、この場合両イオン間にはなにも存在しないので、真空の誘電率になる。この結晶を水中に入れると、水分子の熱運動で、両イオン間に水分子がくると、水分子の誘電率εと真空の誘電率ε0との比、ε0/ε=1/80であることから、fは約80分の1となり極端に小さくなる。このため格子を保つことができなくなり、Na+とCl-が格子の外へ水に連れ出されることになる。このとき水分子は双極子であるから、Na+に対してはいくつかの水分子の負部分、すなわちO原子がNa+に配向して取り巻き、Na+を水中に支えることになる(図C)。陰イオンのCl-に対しても同じように水分子の双極子の陽部分が配向して水中に混じり合うことになる。この状態が水に溶けたという状態であると考えられる。このとき、たとえばNa+に配向(一定の方向をとって結合すること)する水分子の数は常温で4~6個であるとされている。これに対し、水晶SiO2や硫化亜鉛ZnSなどのような結晶では、Si-OあるいはZn-S間の結合はイオン性よりも共有性がかなり強くなっており、結合に静電引力の関与する程度が少なくなっているので、水分子で結合を弱めることができないため溶解しない。またショ糖の結晶は、ショ糖の分子C12H22O11がその-OH基による水素結合によって三次元的に連なったものであるが、水分子はこれらのショ糖分子には水素結合による親和力によって取り巻き、これを溶かすことになる。これに対し、ナフタレンやパラフィンが水にまったく溶けないのは、これらが炭化水素で水分子に対して親和力がないからである。

 液体でも同じようであって、たとえば石油(ガソリンや灯油など)あるいはベンゼンなどは水と混ぜても、分離した層となって混じり合わないし、溶けない。これは、水分子との間に水素結合をつくる相手の原子が存在しないし、親和力がないからである。これに対し、エタノール(エチルアルコール)CH3CH2OHは水と任意の割合で混じり合う。エタノール分子の-OH基は水分子ときわめてよく水素結合をつくりやすいからである。

 気体でも同じで、アンモニアNH3、硫化水素H2S、塩化水素HClなどのように水分子と水素結合をつくりやすいものはきわめてよく溶ける。これに対し、その傾向のきわめて小さいメタンCH4やエタンC2H6はほとんど溶けない。水素H2や窒素N2、酸素O2などがわずかに溶けるのは、水中の水分子のつくる水素結合の中に潜り込んでいるためである。[中原勝儼]

結晶水

水は、多くの物質をよく溶かすが、それらの水溶液からその物質の結晶を取り出すと、一定の割合の水を含んだ結晶が得られることがある。このときの水を一般に結晶水とよんでいる。一定の割合、すなわち化学量論的な一定比をとらない場合もあるが、それは結晶内での格子構造に本質的な変化がみられない沸石水(ふっせきすい)の場合とか、気体分子を氷の結晶格子中に閉じ込めたクラスレイト(包接)化合物の場合である。

 このように、一般に結晶水というときは化学量論的な一定比の水を含む化合物の場合をさすが、それらの構造および結合の状態から格子水、配位水、構造水などのように区別するのが普通である。[中原勝儼]

異常水

通常の水ときわめて異なった性質をもつ水をいう。高圧下の氷のように異常な性質を示す場合をいうこともある。よく知られているのは、磁化水とポリウォーターである。磁化水とは、水を磁界の中に置いて処理した水で、たとえば天然水を磁化させた水は浮遊選鉱に用いると効率が高いとか、ボイラー中での缶石沈殿が通常の場合と違うとかいわれている。ただし、このときの水がどのように違っているかということについては、はっきりしたことがわかっているわけではない。ポリウォーターは1965年ソ連の界面化学者デリャーギンB. V. Deryaginが初めてその存在を報告したものである。彼は内径100分の2ミリメートル程度のきわめて細い石英管中に、飽和水蒸気から水を凝縮させると、普通の水とはまったく性質の異なった「異常水」anomalous waterすなわち「水」を生ずるとした。彼によれば、「この水は比重が約1.4で、表面張力および粘性が高く、水蒸気圧が低い。また低温でも凍らず、普通の水と混ぜても、温度により2層に分かれたり、混ざったりする。分子量は普通の水の4~10倍で、700℃で蒸留できるが、800℃では普通の水となる」という。これに対し、多くの化学者が興味をもち、各種の検討が行われたが、不純物による誤認であることがわかった。[中原勝儼]

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 人間にとってその生命を維持するために不可欠な水は、また宗教的、象徴的にも重要な意味づけがなされている。[板橋作美]

神話と水

神話の多くが水の起源を物語っているが、その代表的な型として、次のようなものがある。まず、世界に水は最初からあった、あるいは水に覆われていた、とする神話がある。古代インドの神話では、世界創造以前、宇宙はただ水ばかりであった。そこから黄金の卵が生じ、1年後に卵からプラジャーパティ神が生まれ、さらに1年後、その神が発した3語から地、空、天が生じた。北アジアのブリヤート人の神話では、原初の世界は水で満たされていたが、水鳥が水底からとってきた土によって大地ができたという。南アメリカ、ボリビアのグァラユ人の神話では、同じく原初にはすべてが水であったが、ムビルといううじ虫が自分の意思によって人間となり、また大地を創造したとされる。

 これらとは逆に、地が先にでき、水はその地から生じた、あるいは分離したとする神話がある。アフリカのドゴン人の神話では、唯一神アンマは星、太陽、月をつくったあと、粘土を投げて大地をつくり、それと交わって精霊ノンモを生ませる。ノンモは水をも意味する。ブラジルのボロロ人の神話では、昔、地上に水はなかったが、太古の首長が原野をさまよい、疲れて休息するたびに、そこに湖や川が生じたといい、地界が陸と水界に分離したことを物語っている。また、水は天や地とほとんど同時につくられたとする神話もあり、『旧約聖書』はその一例である。中国の盤古神話(ばんこしんわ)の一つでは、天地が開かれていず、鶏卵のような状態のとき、主人公の盤古が生じ、それが死んで、呼吸は風、雲に、声は雷に、左目は太陽に、右目は月に、手足と五体は天を支える4本の柱や五つの名山になり、また血液は川となり、肌や肉は田土となり、髪や髭(ひげ)は星となり、皮や毛は草木となり、汗は雨となり、そして身体に寄生していた虫は人間となった。

 また、水は初めだれかに秘匿(ひとく)されていたが、それを奸計(かんけい)によって盗んだとする神話がある。アフリカのアザンデ人の神話では、老婆が隠していた水をトリックスター(道徳を無視し、秩序を乱すことを主要な役割とする神話的な人、動物)であるトゥレが巧妙に盗み出す。北アメリカの先住民の間には、水を飲み込んでいたカエルをだましたり笑わせて水を吐き出させた、という神話がよくみられる。

 そのほか、水に関する神話でよくあるのは、太古、世界は大洪水に襲われ、神的存在の助言によって生き残った人間から現在の人類が生じた、とするいわゆる洪水神話が、ノアの箱舟の伝承をはじめとして、ロシアのギリヤーク(ニブヒ)、中国のヤオ、アフリカのマンジャなど多数の民族に伝わっている。[板橋作美]

水と山の対立

水(川、湖、海)は、しばしば山や陸と対立するものとしてとらえられる。とくに東南アジアやインドには宇宙の二大原理としての水と山の対立の観念が強く、たとえばインドのアッサム地方のガロ人には山と川の争いの神話が、ベトナムには山と海の争いの神話がある。日本の海幸・山幸の神話もその一例である。この対立はときに男と女の対立に結び付き、ガロの社会では山は女と、川は男と結び付いている。ただし、ベトナムのように、逆に山は男性原理、水(川、海)は女性原理を表すこともある。日本の昔話の「お爺(じい)さんは山へ柴(しば)刈りに、お婆(ばあ)さんは川に洗濯に」という文句も、同様な解釈も可能であろう。アマゾン流域のデサナ人は、食物を男性的なものと女性的なものに分類し、両者を混ぜて料理することは姦通(かんつう)のようなものだと嫌う。山でとれる哺乳(ほにゅう)動物、鳥、アリ、特定の果実は男性的食物、魚、カメ、卵、畑の作物は女性的食物であり、また煮たものは女性的とされ、肉も水で煮ると女性的食物になる。ここにも山と川(水)の対立、およびそれと男と女の対立との結び付きがうかがえる。[板橋作美]

聖なる水、清めの水

汚(よご)れを落とすことができる水は、多くの社会で、抽象的な意味でも汚れをとることができると考えられている。すなわち、水で洗うことによって、さまざまな穢(けがれ)を清め(沐浴(もくよく))、清浄で神聖な状態にすることができるとされる。とくに流れる水、つまり川の水が用いられることが多い。『新約聖書』によればヨハネはヨルダン川の水で洗礼を始め、ヒンドゥー教徒はガンジス川で身を清める。日本の伊勢(いせ)の五十鈴川(いすずがわ)も同様の例である。水による清めの目的には、宗教儀礼を行う前、またその最中に、俗の状態から聖の状態に変えるための場合と、なんらかの理由で穢れた状態になったときに、それを普通の状態に戻すための場合がある。第一の例として、インドネシアのバリ島で、祭りの前に、祭りに使う道具類を清めることや、誕生、削歯、結婚などの通過儀礼の前に、祭司が水を振りかけて清めることがそうである。ヒンドゥー教、チベット仏教(ラマ教)の聖地であるカイラス(ガンディセ)山では、麓(ふもと)のマナサロワール湖で身を清めてから、カイラス山を回る巡礼の儀礼を行う。日本の水垢離(みずごり)もこの部類に入る。また日本の裸祭で水をかけるのも、一つには清めるためである。第二の清めの例としては、出産、月経、死、あるいは重大な罪を犯したことなどによる穢を払うためになされる。メキシコの高地マヤ人は出産後3日目に川で体を洗って清める。それまでは十字架に祈ることはできない。ニューギニアのアラペシュ人では、妻が出産後、夫は神聖な池で水浴して穢を落とす。アフリカのヌエル人は死者の持ち物は水で洗って清める。日本で、出産時に死んだ女性は、血の池地獄に落ちるといわれ、その場合、小川に4本の棒を立て、それに戒名を書いた布を張り、通行人に水をかけてもらうという流れ灌頂(ながれかんじょう)を行う。スラウェシ島のトラジャ人では近親相姦があった場合、水牛、豚、鶏を川の中で犠牲にし、血の混じった水中で、近親相姦を犯した当人だけでなく他の村人も皆水浴をし、近親相姦の穢を落とす。バリ島でも近親相姦は村全体を穢すと考え、浄化儀礼を行い、川の水で清める。また、水浴ではないが、ヌエル人の社会では殺人者は水を崇拝しなければならない。[板橋作美]

呪的な力をもつ水

生命をはぐくむ水は、農耕、豊穣(ほうじょう)、性などに関する呪(じゅ)的な力をもつとされることも多い。日本をはじめとして、豊作を祈願したり収穫に感謝する農耕儀礼は、しばしば水の神への崇拝を伴っている。鹿児島県徳之島では元旦(がんたん)の早朝に花米(はなしね)を川の水面に落としてその年の豊凶を占い、麦の収穫後、稲の収穫後に川に行って水神に供物をする。中国、雲南省のシーサンパンナのタイ族は正月に溌水節(はっすいせつ)(水かけ祭り)を行う。このとき、若い男女は好きな人に水をかける。日本では、結婚儀礼の過程で、あるいは翌年の正月に婿や嫁に水をかける「水祝い」という風習がある。これは、同時期に若者たちが性的な物体を新婚の家に運んでいく風習もあることから、タイ族の例とともに、水が性的豊穣を表していると解することも可能である。また、水、とくに神聖な川や泉の水が病気を治すという信仰も広くみられる。スコットランドでは牛のジステンパーを治すためにレンガという聖石を浸した水を飲ませた。ヨーロッパには病気治しの水の信仰が各地にみられ、とくに復活祭などの聖日に飲むと効き目があるとされる。

 水はまた魔除(まよ)けの力があると考えられる。ヨーロッパでは魔女は川を渡れないと信じられた。世界各地に、妖怪(ようかい)や死霊に追われた者が何かを投げ捨て、それが山や川に変形して難を逃れるという呪的逃走譚(たん)があるが、その際に投げるものはたいてい石と水と櫛(くし)である。これらの例は、水が分断の力をもつと理解することもできる。生者の世界と死者の世界を分ける三途(さんず)の川の観念も広くみられる。北アメリカのテムムニ・ヨクート人の神話でも、死んだ妻を追った男が、川の所で妻に、生者はこの川を渡れない、といわれる。決別の際に酌み交わされる水杯も同様に解釈しうる。さらに、水は占いにも用いられる。水面を凝視して占う方法、水中に何かを投げ入れてその浮沈で占う方法などがある。ポリネシアのタヒチ島では、盗難事件のとき、穴を掘って水を入れ、水面に映る姿から盗人を特定した。メキシコの高地マヤ人は、病気治療の儀礼の際、ヒョウタンの椀(わん)に水を入れ、トウモロコシの粒を投じて、その浮沈する数によって占う。また、裁判の勝敗、無罪か有罪かを水によって決することもある。スマトラ島のミナンカバウ人やボルネオ島のイバン人は水中にどちらが長く潜っていられるかで勝敗を決め、スマトラ島西側にあるニアス島の人々は水と灰の混合液の中からある物体を口で捜し出すことができるかどうかで無罪、有罪を決した。イギリスでは、魔女容疑者を水の中にほうり込み、浮かべば有罪、沈めば無罪とした。[板橋作美]

両義的な水

水は一方では穢を清めるなど善の力をもつとされるが、他方でそれとは逆の意味づけがなされることもある。バリ島では、海は清める力をもつが、同時に穢れた、恐ろしい、死と結び付くものととらえられる。アフリカのマンダリ人の社会でも、水は人間に恵みをもたらす反面、風邪(かぜ)、熱病、けが、死をもたらすものでもある。先に記したごとく、水はあの世とこの世など、異なる二つの世界を分けるものであるが、このことは見方を変えれば、両者を媒介し、交流させるものでもあると考えることができる。人間は水を通して神聖なものに接し、未知なこと、神意を知る。ガンジス川に遺骨を流したり、日本のお盆に精霊(しょうりょう)流しを行うのは、生者と死者、両者の世界が水を媒介として交流するのであろう。[板橋作美]

水の神

水が神格化される例は多く、しばしば水神(すいじん)は雨神、川や湖や泉の神、農耕神などと同一であったり、密接な関係があるとみなされる。また水神はカメ、ヘビ、カエル、魚、ワニ、カワウソなど、水生動物や水辺を好む動物の姿をとると考えられる。アジアでは想像上の動物である竜が雨神、水神として崇拝されることが多く、しばしばナガ(那伽)とよばれる。日本の河童(かっぱ)は水神信仰に関係していたと考えられている。なお、一社会の全員ではなく、そのうち特定集団が水と密接に結び付き、崇拝することもある。オーストラリア先住民には水をトーテムとする集団があり、またアフリカのヌエル人にも、一種のトーテムとして川を崇拝するリネージ(系族)や氏族がある。そのリネージの者は川を渡るとき、ビーズを川に投げ入れ、「祖父」と呼びかけてから渡り、その氏族は川に牛を捧(ささ)げ、ときどきその牛の乳を注ぐ。[板橋作美]

『高木貞恵著『水を主題とする一般化学』(1969・化学同人) ▽中沢弌仁・西原巧・堀和夫他著『水資源』(1978・彰国社) ▽A・K・ビスワス著、高橋裕・早川正子訳『水の文化史』(1979・文一総合出版) ▽榧根勇著『自然地理学講座3 水文学』(1980・大明堂) ▽高橋裕編『水のはなし・』(1982・技報堂出版) ▽日本学術振興会編『水』(1983・丸善) ▽I・V・ペトリャノフ著、坂口豁訳『水の科学Q&A』(1985・東京図書) ▽市川正巳編『総観地理学講座8 水文学』(1990・朝倉書店) ▽北野康著『水の科学』新版(1995・NHKブックス) ▽鈴木啓三著『水の話・十講――その科学と環境問題』(1997・化学同人) ▽長崎福三著『システムとしての「森・川・海」――魚付林の視点から』(1998・農山漁村文化協会) ▽水村和正著『水圏水文学』(1998・山海堂) ▽吉田敦彦著『水の神話』(1999・青土社) ▽丸山利輔・三野徹編『地域環境水文学』(1999・朝倉書店) ▽播磨裕・岡野正義編著『水の総合科学』(2000・三共出版) ▽武田育郎著『水と水質環境の基礎知識』(2001・オーム社) ▽新井正著『地域分析のための熱・水収支水文学』(2004・古今書院)』