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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

地球は動く5-ガリレオ異端審問所呼出し

2020.09.13 09:18

1632年2月ガリレオ・ガリレイは主著となる「天文対話」を出版した。この書は彼が禁止されていたはずの地動説を説き、ヴァチカンの逆鱗に触れることになる。しかし彼は楽観的だった。遡る22年、自分の弟子が教えたバルベリーニ枢機卿が教皇ウルバヌス8世となった。ガリレオはこれを「奇跡的変化」と呼んだ。

ガリレオは、自分の研究を書いた「贋金鑑識官」を教皇に献呈し、教皇も食卓で朗読させて愛読した。すっかりOKと思ったのだ。しかし出版に手間取るうちに状況は変わっていた。30年ガリレオを後援していた公爵チェシがペストで突然死。32年には教皇の側近で支持者だったチアンポリが左遷される。

「天文対話」はやっとのことで、フィレンツェで出版された。ここの異端審問官は、実質トスカナ大公の配下で、大公からのプッシュで検閲は甘かったようだ。9月7日、トスカナ大使が「この本は検閲を通った」と言ったところ、教皇は「チアンポリとガリレオは余を騙した」と怒ったのである。

そして3人の特別委員会が設置され、委員会はガリレオが地動説を絶対的なものと主張している、と結論し、急転直下ガリレオは、ローマの異端審問所に召喚されることになった。