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郷愁の風景

【京都府】橋本(八幡市)

2020.09.15 05:45

 京都市の南にある橋本は、かつて京都と大阪を結ぶ京街道の宿駅で、枚方や中書島とともに遊廓として繁栄してきた街だ。 

 昭和5年『全国遊郭案内』によれば 「淀川、桂川、宇治川の三川の合流に祖っているので、風景もよく、夏は涼しく、多数の廻船が出漁して、夜間の不夜城、川岸に絃歌のさんざめく辺りは実に別世界の感じがある。」 と記されている。 

当時の規模は貸座敷75軒、娼妓470人、芸妓30人という規模で、戦後も赤線として昭和33年まで存続していた(『全国女性街ガイド』によれば75軒に262名)。  

赤線が廃止されて半世紀経つが、橋本ほど遊廓の趣を色濃く残す町並みは他に少ないのではないか。

どの家も装飾が凝っており、住人達も大事に手入れしながら使っているのがうかがえる。 

もっとも、さすがに経年劣化によるのか、空き地も所々に見られる。


【京都府】橋本(八幡市)201801 

 淀川べりの土手には旧国道が通っていて、時折車が速いスピードで飛ばしてくる。  

そんな土手上から遊廓の裏手の家並みを望むことができる。 

左手には「旅館多津美」と書かれた看板が掛かっているのが見える。

「多津美」は現役の旅館で、宿泊した人たちがそのモダンな内装を紹介しているレポートをよく目にする。