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ボランティア経験を就職活動に活かすには?色んな観点から解説!

2020.09.15 07:44

「就職活動にボランティアの経験ってどのように使えるんだろう」

学生生活の中で、何かのボランティア活動を経験した方も多いでしょう。

その経験が就職活動、特に自己PRやガクチカ(学生時代に力を入れたこと)に活かせたらよいですよね!

でもいざ、ES(エントリーシート)を書いたり、自己分析を行ったり、面接で話したりとなると、その経験で何を得られたのかを言語化するのは難しいです。

今回の記事では、就職活動を見据えた上で、ボランティア経験をどのように言語化していくのか考えていきます。

ぜひ今後の自己分析の参考にしてください!


目次

  1. 最近の学生ボランティアの傾向
  2. ボランティア活動で学べることは?
  3. 社会で必要とされていることとボランティアの関係
  4. まとめ


1.最近の学生ボランティアの傾向

「公益財団法人日本財団学生ボランティアセンター(Gakuvo)調べ」

この2017年の調査によると、ボランティアへ興味が「ある」と答えた学生の割合は60%を超え、実際にこの1年間で活動に参加した割合は30%弱となっています。

このように学生のボランティアへの興味・関心は近年高まってきており、この記事をご覧になっている方々もボランティアを経験した方が大半だと思います。

しかし、裏を返すと、ボランティアを経験した学生の母数はそれだけ多くなってきており、「ただボランティアに参加した」だけでは他の学生との差別化は難しくなってきているのも事実。

ある企業の役員の方も多くの学生がボランティアに参加した話をすることを不思議に思われているようです。

そのため、現在はボランティアに参加したことが差別化できるということよりも、ボランティアで何を学んだのかというより詳しい中身の話が求められてきています。


2.ボランティア活動で学べることは?

ボランティア活動はサービスを受ける受益者だけでなく、活動者にとっても様々な効果を得ることができます。

以下より、説明していきます。


(1)活動者の認知発達が期待できる

アスティンとサックスによると、3450人の大学生のデータから、参加学生には生活スキルやアカデミックスキルの向上が見られたということです。

また、道徳観や自尊感情、自己効力感の改善、協調性、リーダーシップのような自身の感情醸成の機会や仲間・関係者との問題解決を結果的に得ることができるようです。

ボランティアという性質上、共に行う仲間との関係性はサークルなどの関係性とは異なり、「自分が関わりづらい人とどのように関係性を築いたか」という経験は就活でも特に活かせます。

苦手な人と仕事を行う上でのストレス耐性を測る質問にもその経験が生きるでしょう。


(2)専門的な学習知識の獲得

マーカスの大学生対象の調査(1993)では、ボランティアを行った学生は他の学生と比較して、行ったボランティアに関連する専門知識への理解が向上したという結果が出ています。

例えば、障がい児に対するボランティアを行った学生は、障がいに対する専門知識が向上したという効果がありました。

その他にも、地方のお祭りの運営補助などで地域振興に関わった学生は、地域住民の「生」の意見を聞くことができ、大学での座学で学んできた知識をより深めることができるようです。

また、関係者の様々な声からより効果的な解決策を自身で考えて実行していくことになるので、情報収集力も鍛えられます。

このように、ボランティアでの関わりによって、より現場に近い現実的な知識を得ることができると共に、その知識を得るための情報収集能力や初対面の相手と関わるコミュニケーション能力が獲得できるのです。


(3)市民性の獲得

3番目に、ボランティアを通じて市民性を獲得することができると考えられます。

市民性とは「よりよい社会の実現のために、周りの人と積極的に関わろうとする意欲や行動力」のことであり、近年では学校教育でもボランティアを活用して社会とのつながり・市民性の獲得を促進しています。

この学習手法は一般的に「サービスラーニング」と呼ばれています。

ボランティアを行っていく上で、地域の一員であるという所属意識が芽生え、自分も必要とされているということが実感できるなど、自分の居場所が見つかるのです。

そして、ひいては「自分はどのように生きたいのか」という人生最大の命題に対してもヒントを与えてくれるかも知れません。

この考える時間をくれるのが、ボランティアを行う大きな意義の一つです。


3.社会で必要とされていることとボランティアの関係

今、社会で求められていることに「社会人基礎力」があります。

「社会人基礎力」とは、「前に踏み出す力」、「考え抜く力」、「チームで働く力」の3つの能力から構成されており、「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」として、経済産業省が2006年に提唱しました。


(1)前に踏み出す力(アクション)

前に踏み出す力とは、一歩前に踏み出し、失敗しても粘り強く取り組む力のことです。

より具体的に1つずつ説明していきます。


①主体性

主体性とは、物事に進んで取り組む力のことです。

自ら活動を作る、活動中に何が課題なのかを考え、改善させるなどの自発的な動き、取り組みが当てはまります。

参加するという選択をとった時点で、この部分はボランティアに参加している時点で、クリアできていると思いますよ!


②働きかけ力

働きかけ力とは、他人に働きかけ巻き込む力のことです。

他人を巻き込む力として、友達を連れて行ったことなども大きな働きかける力として考えられます。


③実行力

実行力とは、目的を設定し、確実に行動できる力のことです。

社会でボランティアをする上で、小さな目標を立ててコツコツと取り組んできたことはアピールになるのではないでしょうか。

そして、目標を立てる力もボランティアでは身につくと考えられます。


(2)考え抜く力(シンキング)

考え抜く力とは、疑問を持ち考え抜く力のことです。

より具体的に1つずつ説明していきます。


①課題発見力

課題発見力とは、現状を分析し目的や課題を明らかにする力のことです。

実行力にも繋がってきますが、当事者が抱える問題を見抜く力も身につきます。

例えば、災害救援のボランティアであれば短い時間の中で相手のニーズを見抜く力が必要です。


②計画力

計画力とは、課題の解決に向けたプロセスを明らかにし準備する力のことです。
一言で言うと、準備する力ですね。

活動に使う装備や交通手段、保険など様々な準備がボランティアには必要とされており、必然的に予見する力が養われます。

また、ボランティアでもリスクマネジメントを行います。

災害救援などの危険な現場では自らを守るためにも、起こりそうな未来を想像する力が求められ、養うことができます。


③創造力

創造力とは、新しい価値を生み出す力のことです。

新たな活動であったり、新しいイベントを考えたりとボランティアではゼロイチで創造する力が問われます。

お金ではない別の対価を考え、提供するなど新しい視点で物事を見るという力が身に付きます。


(3)チームで働く力(チームワーク)

チームで働く力とは、多様な人々とともに目標に向けて協力する力のことです。

より具体的に1つずつ説明していきます。


①発信力

発信力とは、自分の意見をわかりやすく伝える力のことです。

ボランティアでは、チームとして仲間と協力しながら取り組む時間が多くなります。

そこで、どのように自分の意見を共有し、他人と協調できたのかという点がポイントです。

ここで何を意識していたのか、言語化していくと強みが見えてくると思います。


②傾聴力

傾聴力とは、相手の意見を丁寧に聴く力のことです。

相手先の話を丁寧に聞く力であり、信頼形成の根幹となる部分です。この力は社会に出ても大きく活用できます。

例えば、ボランティアをさせていただく相手は高齢者、子ども、障がい者の方々など様々であり、相手に応じて適宜、変化することが身に付きます。


③柔軟性

柔軟性とは、意見の違いや立場の違いを理解する力のことです。

様々な相手がいる中で、柔軟に対応する力が身につくと考えられます。

ボランティアの中では見ず知らずの方とも一緒に活動していくことになるため、自分がやりにくい相手と一緒に活動することもあると思います。

そこで、どのように対応したかを整理していきましょう。


④情況把握力

情況把握力とは、自分と周囲の人々や物事との関係性を理解する力のことです。

見ず知らずの人と関わることが多いボランティア。

そこでは利害関係者の関係性など様々なことに気を配らなければなりません。

それにより、瞬時に関係性を把握する力が鍛えられているのではないでしょうか。


⑤規律性

規律性とは、社会のルールや人との約束を守る力のことです。

チームで動くには、規律を守って行動をしなければ信頼を獲得できません。

ボランティアでもルールを守り、当たり前のことを当たり前に行うことができるという最も大切な部分が身についていたのではないでしょうか。


⑥ストレスコントロール力

ストレスコントロール力とは、ストレスと発生源に対応する力のことです。

自己をコントロールする力は強くボランティア現場で求められています。

ストレス耐性を見る質問が近年の企業面接では増えていますが、困難な状況に陥った時にどのように対処したのか、という点は十分アピールできる点です。

以上より、ボランティアは、上記の3つの能力と12の能力要素の全てを満たしていると言えるでしょう。


4.まとめ

ボランティア経験を就職活動で活かすためには、「ボランティアから何を学び、何を経験したのか」を、例えば上記の社会人基礎力のように何か強みに当てはめて、独自の言葉で伝える必要があります。

それが結果的に就活での武器=自己PRやガクチカにつながるのではないでしょうか。

ボランティアのような非営利の活動も、企業の営利事業も本質的には他者に利益をもたらす「利他」の活動です。

そのような視点を大切にしつつ、就職活動を続けていくと企業の新たな側面を見ることができるかもしれません。