【静岡県】熱海(熱海市)
2020.09.19 07:18
伊豆半島の東岸部付け根に位置する熱海は、首都圏から気軽に訪れる事が出来る温泉地で、古くから「東京の奥座敷」として知られた。
背後の三方を山に囲まれ、正面に相模湾を望む地形で、海岸から斜面上に市街地が広がっている。
大正15年に国府津から伸びる熱海線の終着駅として熱海駅が開業するが、昭和9年の丹那トンネル開通で沼津まで延伸し、同時にそれまで御殿場経由だった東海道線が熱海経由に変更される。
それを境に関東からだけでなく関西方面からも訪問客が増え、熱海は温泉街として繁栄するが、駅は斜面の中腹上に位置し、坂を下って海岸へ続くような形で市街地が形成されている。
旧市街地は駅から坂を下った先の平坦地に広がり、東から糸川・初川・和田川と3本の川が流れている。
その糸川と初川に挟まれた中央町に戦前の私娼街からの流れを汲む歓楽街が広がっている。 戦後は進駐軍相手の特殊慰安施設(RAA)を経て赤線となり、74軒に約300名の女性が働いていた(『全国女性街ガイド』より)。
現在残っている赤線の名残りは、昭和25年に発生した熱海大火後の復興過程にできたもので、当時は「糸川べりに柳並木を植え、ネオンきらめく新宿風の色里に変わった」(前掲書)という。
【静岡県】熱海「中央町」(熱海市)201801
熱海中央町には、それと分かるファサードの建物が軒を連ねている一角があり、そこが旧赤線の中心と思われる。
【静岡県】熱海「熱海城からの市街地の眺望」(熱海市)20151
市街地南部の錦ヶ浦頂上に位置する観光スポット「熱海城」から市街地を展望できるが、海と山に囲まれ、斜面上に市街地が階段状に形成されている様子をうかがう事が出来る。