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妄想列島

少年彩里水の不思議冒険譚 -不思議の国の入り口47-

2020.09.16 10:00

47 夜明け



「う、うん!んん!」


彩里水は咳払いをすると、みんなをまとめながら少し格好付けて言った。


「では、この塔脱出作戦はオレと白兎、キップとクップ、キャンドーさんの2人と2体、そしてベドくんとドッベくん、チェイスさんの3体の合計7名のチーム白水で実行する!」


「まあ作戦考えたのはオレだけどな!」


白兎がすぐに指摘する。


「う!まあそうだね・・・。と、とにかく、夜が少しでも明けてきた瞬間から縄を下ろして下に向かう。後は従業員棟に入って従業員のフリをして気付かれないように庭園まで出る。これでいいんだよね?白兎。」


「おう。その先は誰もどうなってるかわからない。オレと彩里水の目的地はそこを出たらオールワン遊園地へ向かうこと。そしてキップとクップはそこまで無事にいられたらそこでまたそれぞれの道を考える。」


「・・・ところで、キャンドーは城の外まで出たらどうする予定?」


彩里水が尋ねる。


「うーん。考えていませんでしたが、私はせっかくですので白兎さんと彩里水さんの目的地までお供しましょうかねぇ・・・。」


「そっか!心強いよ!」


「だな!」


2人にそう言われてまた涙腺が緩みかけているキャンドーに彩里水は声をかける。


「あ、泣いてる時間はないよ、キャンドー。きっともう少ししたら夜が明ける。それまでにやることがあるよね?白兎。」


「・・・そこはオレなんだな、彩里水。」


彩里水は頭をポリポリと掻きながら言った。


「や、だって、そりゃあ細かい作戦とか考えられんのはおまえじゃん。」


白兎は笑いながら答える。


「ははっ。まあなっ。・・・で、1番最初にクリアしなきゃなんないことがある。それは、あのトランプの3たちはオレと彩里水の動きにはかなり敏感だってことだ。」


「うん、オレもそれが気になってる。この部屋で白兎かオレが少しでも変な動きをしようもんならかなり早めの反応だもん。オレらが窓の外に出るときにトランプの3たちの目をどうごまかすかだよね。そこで見つかったら何も始まらないもんね。」


「うん。オレたちがベッドに入ってるように見せかけてそのまま寝ていると思わせ続けられることが1番だけど・・・。」


「だな。オレもそれを試すしかないと思う。あのトランプの3たちの反応はイマイチ良くわかんない。もしかしたらちょっとしたフェイクに騙されてくれるかもしれないし、オレたちの動きにはかなり敏感なのかもしれない。本当は1回ぐらい予行演習したいけど・・・。」


言いながら白兎は窓の外を見る。

夜空にはいつの間にか月の姿も星の姿もなくなり、活動していたたくさんの生き物たちの姿もほとんど見えなくなっていた。


チュンッチュチュチュチュンッ


「この声は、夜明けを知らせるアケノスズメの声です!」


鳥の鳴くような声が聞こえると、キップ、クップ、キャンドーは緊張した面持ちで彩里水と白兎に告げた。


「この声がしてから徐々に空が白く光を帯び始め、太陽が顔を出します。ここから太陽が顔を出し切るまでの間が塔を降りるまでの勝負と言っていいでしょう。」


「・・・試す時間はないみたいだな。」


白兎が言うと、彩里水は気を引き締めて全員に声をかける。


「よし、じゃあみんな、スタンバイはいい?」


「はい!」


「おう!」


一同は彩里水のかけ声に同時に答えた。


つづく