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あつをの一服

土の記(上・下)

2020.09.17 06:32

高村薫さんの「土の記」を読みました。

どんな物語かと言うと、めっちゃ簡単に言うと、

老いたにわか農夫の果てのない物思い、です。

特にこれと言った物語があるわけではなく、

起承転結というのも、かなりあやふやな感じ。

なのだけど、

ものすごい作品だと思いました。

高村薫さんは大好きな作家さんで、

「李歐」を読んで好きになりました。

単行本になっているものはほぼ読んでいて、

その中でも「太陽を曳く馬」で、ものすごい衝撃を受けた。

で、そこまでではないんだけど、

でも、この「土の記」はすごい。

主人公の伊佐夫の行ったり来たり、

飛んだりする思考の中に引きずり込まれて行く感じ。

激動と平穏の間には薄い膜があって。

その膜が破れないように行ったり来たり。

読んでると、見えないなにかものすごい圧力にずっと晒されている感じ。

描かれているものは平穏な?日常ではあるんだけど。

とても、面白かった。

ぜひ読んでみて欲しい。

あ、ただ、本を読み慣れていない人には厳しいかも、です。


あつを