#小林よしのり - #コロナ TVが主犯で最大の悪
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小林よしのり氏 今回のコロナ騒動はTVが主犯で最大の悪
9/2(水) 7:05配信
第2波がピークを越えたと言われ、感染者も重症者も減りつつある今、それでも「油断はならない」「また次が来る」などと危険を煽る声は止まない。我々はいつまで恐怖に怯え続ければいいのか……。
その状況を「テレビによる洗脳だ」と断罪した『ゴーマニズム宣言SPECIAL コロナ論』(扶桑社)が発売早々ベストセラーになっている。
著者の漫画家・小林よしのり氏と、コロナ以降のネット世論をチェックしているネットニュース編集者で新著『恥ずかしい人たち』(新潮新書)でもコロナに関して意見した中川淳一郎氏が緊急対談した。
中川:今のコロナ騒動は、将来振り返ったとき、史上最大のバカ騒ぎだったと思い出されるのではないかと思っています。私も最初はかなり怖がっていたんですが、途中から「みんな怖がり過ぎじゃないか」と思ってきて。小林さんはかなり早い段階からコロナ騒動に批判的でしたよね?
小林:昔からインフルエンザのことはめちゃくちゃ怖がっているんですよ。インフルにかかって高熱が出ても、漫画は毎週締め切りが来るから描かなきゃいけないから。それで、コロナが怖い怖いと言うけど、インフル以上なのか、それ以下なのかで考えようと思って、インフルの感染者数や死者数を調べてみた。
そしたら、毎年国内で1000万人以上が感染して、直接的な死因で死ぬ直接死が3000人くらい、インフルで持病が悪化するなどして死ぬ関連死が1万人以上いることがわかり、すごい威力だなと。
一方のコロナはどうか。公表されている死者数は関連死の数で、今でこそ1208人(8月25日時点)まで増えましたが、それでもインフルの1万人に比べれば全然少ない。コロナは感染者も死者も桁違いに少ないんです。それでなんでこんな大騒ぎしているのかと。
中川:毎日、テレビは「今日の感染者は何百人」と騒ぎ立てていますが、インフルはそんなレベルではないと。
小林:冬期の半年くらいの間に1000万人が感染するので、単純に平均すれば1日に感染者は5万人以上、死者は50人以上出ている計算になる。だけど、マスコミはインフルで騒がないから、今まで誰も何とも思わなかったわけでしょ。
中川:テレビがコロナパニックを煽って国民を“コロナ脳”にしているから、こんな騒動になっているということですね。
小林:今回のコロナ騒動はテレビが主犯であり、最大の悪だった。テレビがなぜ嬉々として「ステイホーム」と繰り返していたかというと、みんなが自粛して家にいれば視聴率が上がるからでしょう。
中川:なるほど。ただ、「広告が入らない」という声は業界関係者から聞きましたが、確かに視聴率は上がりましたね。
小林:今のテレビの視聴者層は高齢者が主体だから、高齢者にとって危険な未知のウイルスなんてものが出てきたら、恐怖を煽れば煽っただけ視聴率がどーんと上がる。麻原彰晃は、信者をサティアンの中にステイホームさせて、「地獄に落ちるぞ、地獄に落ちるぞ」と洗脳したが、テレビがやっているのは同じこと。
「地獄になります」
中川:それで視聴率を爆上げしたのが『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)。昨年の平均視聴率は9%台だったのが、今年の5月頃には朝の時間帯のワイドショーで1位になり、視聴率は最高で14%を超えたそうです。
小林:白鴎大教授の岡田晴恵が「今のニューヨークは2週間後の東京です。地獄になります」と煽り、テレビ朝日の玉川徹が「政府の対応は遅すぎる」と吠えるという“恐怖の伝道師”の連携ができていて、視聴者は「よくぞ言った」と喜ぶわけですよ。
中川:モーニングショーには最初の頃、尾身茂さん(政府の分科会会長)が出ていたんですが、彼は研究者だから、まだわかっていないことは断定せず、「一概には言えません」みたいに曖昧にしか答えない。おそらく番組スタッフが「テレビ映えしないな」と思って、岡田さんに交代させた。彼女は尾身さんよりもはっきり言うからハマったんですね。
視聴者の不安を煽るのもうまくて、「(今は夏の)南半球でも流行が始まりました」「だから、夏になってもコロナは終わりません」と言って、「次に怖いのは、秋と冬の第2波です」と続ける。視聴者はずっと不安に駆られたままになって“コロナ脳”になっていく。
小林:だけど、岡田は最初、「コロナウイルスは高温多湿と紫外線が大嫌いですから、(暑くなれば)下火になると思う」って言っていたんだよ。確かにアメリカの研究者が実験して、コロナウイルスは紫外線で死ぬという結果が出たんだけど、実験で使ったのは人間にも危険なほど強い紫外線ですからね。結局、夏になっても流行は収まらず、この予測は当たらなかった。
中川:岡田さんも玉川さんも、「海外ではこうしているから、日本もこうすべき」という“海外出羽守(ではのかみ)”の典型ですね。
小林:日本では死者が極端に少ないというデータをなぜ無視するのか。グローバリズムに毒されているんだ。
中川:やたらとPCR検査をやれと主張しているのもこの番組です。
小林:玉川は「全国民に週一回、PCR検査をすべきだ」と主張していた。他の出演者にいくらなんでもそれは無理だと否定されても、「できる方法を考えるんです!」と声を荒らげていたので呆れた。もはや“PCR真理教”ですよ。最近、本人は「国民全員検査なんて言っていない」と否定したが、わしはモーニングショーを全部録画しているからな(笑い)。
中川:ノーベル賞の山中伸弥教授(京都大学)まで参戦してきて、「PCR検査を増やせ」と主張している。
小林:山中教授には困ったもんだね。天才なんだろうけど、感染症は専門外だから。
中川:でも、みんな権威に弱いから影響力は大きかった。山中教授は以前からNHKの番組に頻繁に出ていて、意外と目立ちたがりなんですかね。
小林:iPS細胞の国からの研究費も止まってしまったから、資金集めのアピールなんじゃないか。困った専門家と言えば、“8割おじさん”の北大(現在は京大)の西浦博教授もいたね。
中川:何も対策しなければ42万人が死亡するという試算を発表して、世間を震え上がらせました。
小林:あのロジックはおかしい。第1波が収束した時点で死者数は1000人にも達せず、予測は大はずれだったが、国民が頑張って自粛したおかげで死者数を減らせたと言えば、誰も反論できない。
彼は懲りずに「第2波で10万人が死亡する」と発表したが、第2波もピークを越えそうなので、これも大はずれになるでしょう。専門家が発した数字がこれほど軽いとは思わなかった。
中川:彼らの言い分は「最悪のケースを想定しておいて、当たらなくてもそれは国民にとってはいいこと」なんでしょうが、それなら何を言っても責任を取らなくてよくなる。
小林:わしなんか爆発的に感染が広がったら「責任取れ」と言われるから、感染者数の推移を毎日気にしまくっているのに。
中川:新聞に出てくる専門家と、テレビに出てくる専門家は、あまりかぶらないんですよね。もちろん全員ではないが、新聞に相手にされない人がテレビに出てくるんじゃないかと。
小林:テレビは煽る専門家しか出さないからね。そしてテレビに出たい専門家は、より煽る発言をしていくようになる。
●こばやし・よしのり:1953年、福岡県生まれ。漫画家。『東大一直線』『おぼっちゃまくん』などの代表作を発表後、思想漫画『ゴーマニズム宣言』を開始。スペシャル版として『戦争論』『台湾論』『天皇論』などが次々とベストセラーに。最新刊は『コロナ論』。
●なかがわ・じゅんいちろう:1973年、東京都生まれ。博報堂で企業のPR業務に携わり、2001年に退社。NEWSポストセブンなどネットニュースの編集に関わる。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『縁の切り方』など。最新刊は『恥ずかしい人たち』。
※週刊ポスト2020年9月11日号