映画 「奈緒子」への想い(監督 古厩 智之様)
九州に豪雨が来て、ずっと雲が垂れ込めた夏だった。
壱岐を舞台にした映画「奈緒子」のために島を訪れた。
駅伝の映画。
若い役者たちは芝居してる時間より走ってる時間のほうが長いくらい。
毎日曇って青空も見えない…。
郷ノ浦に泊まって島中を走った。芝居以外でもトレーニングでも走った。
そんな日々を繰り返すうちに、壱岐が、壱岐をモデルにした「波切島」が、身体に染み込んで行く気がした。
島の人たちは声をこちらにかけたりはしないけど「ああ撮影してるな」とこちらを静かに見ていてくれた。郷ノ浦のコンビニの人とは役者もスタッフもすっかり顔見知りに。
合宿シーンの勝本では港を満たす朝の静かな空気に心静まり…。
晴れた日、大浜で初めて青い海を見て、その濃い青に息を呑んだ。
湯ノ本近くの浜では夕方に車が並び、思い思いの夕方の時間を過ごす島の人たちを見て。
大陸風のお盆も驚きだった…。
島の時間を、島の人と過ごすことが出来て。
波切島=壱岐を心の内に持つことが出来た。
そんな壱岐で、星空のもとで「奈緒子」を上映していただけること。
この上なく嬉しく思います。
壱岐のみなさま、あの夏はありがとうございました。
古厩 智之(FURUMAYA TOMOYUKI)
1968年生、映画監督。『のぼる小寺さん』が新作。『ホームレス中学生』、『武士道シックスティーン』、『サクらんぼの恋』など。TVでは、裏社会物『銀と金』、怪獣特撮『MM9』、グルメ『サチのお寺ごはん』、欅坂46『徳山大五郎を誰が殺したか』などを手がける。
※今回、古厩監督に壱岐星空映画村のTwitterをフォローいただき、そのご縁から映画への思い出メッセージをお願いした所、快くメッセージをお寄せいただきました。古厩智之様、ありがとうございました。
写真は台風10号後の大浜(石田町)の写真と壱岐ふれあい広場(芦辺町)にある『壱岐雄介』のイラストがある自販機です。大浜は映画中の合宿中で、ふれあい広場先にある芦辺大橋は物語序盤の駅伝大会のシーンに出てきます。まるで映画の中で力走する三浦春馬さんのようです。(実行委員会撮影)