モダンヴァイオリンとは
こんにちは!
オールドヴァイオリン専門店
㈱ダ・ヴィンチヴァイオリン
代表の山口保行です。
昨日「オールドヴァイオリンとは」という記事で時代と特徴を書きました。本日はオールドヴァイオリンに続く「モダンヴァイオリンとは」を簡単に説明いたします。
年代的には、1800年初頭~1900年代前半に製作された楽器と考えて間違いないかと思います。それに加えて近現代のヴァイオリン製作の巨匠の一人として活躍されていながらこの数十年で亡くなられた製作者の楽器も含めてモダンヴァイオリンということがあります。この場合、若い時期(つまり古い楽器)に製作された楽器は価値(値段)が高くなる傾向がございます。
その理由は
①数が少ないという希少性(まだ売れていない時期)
②若い時は情熱に燃えて頑張って製作している形跡が見られる
つまり「力作」として評価が高くなる
③後年、有名になると弟子が増え、すべての製作過程に関与していない
もしくは、弟子の作品が本人作として売られている可能性を否定できない
という理由が考えられるからです。この考え方はオールドヴァイオリンの価値判断にもそのまま適用されます。もっともオールドヴァイオリンですと更に別の価値判断が入りますのでもっと複雑です。
モダンヴァイオリンに話を戻します。モダンの開始時期が1800年初頭としているのは単にオールドヴァイオリンの時代の後だからではなく、その特徴に変化が表れていく時期だからです。
どのような変化か?というと、イタリアの巨匠「ニコラ・アマティ」が1684年没、ドイツの巨匠「ヤコプ・シュタイナー」が1683年没ですので、1700年以降はヴァイオリン製作はこの二大巨匠の弟子もしくは孫弟子からの指導となり、巨匠の影響力が弱くなってるのが作品に現れてきたからです。巨匠たちが亡くなった後、さらにヴァイオリン需要が増し、製作者の評判が高くなった代表があのアントニオ・ストラディヴァリです。二大巨匠の影響が弱まり個性的になっていく過程で、ストラディヴァリや他のイタリアの製作者たち(例:ガルネリ、ガダニーニ等)の影響が作風に現れている、もしくはストラディヴァリらを模倣(コピー)した楽器が増えてくる時期、これがモダンヴァイオリンの時代です(もちろん例外はあります)。
一般的なストラディヴァリモデルの特徴としては、楽器の「ふくらみ」が二大巨匠ほど膨らんでいないこと、f字孔が巨匠達のそれと比較してシャープになってきていることです。
分かりやすいのでここでは「ふくらみ」を比較してみましょう。まずストラディヴァリモデルのふくらみです。
次にシュタイナーモデルのふくらみです。
いかがでしょうか?ふくらみとf字孔の段差の違いは一目瞭然かと思います。
そして、「ふくらみ」の違いこそヴァイオリンの量産体制にはうってつけだったのです。どいうことかと申しますと、ふくらみが少ない分、表板と裏板をつくるのにストラディヴァリモデルですと「板が薄く」作れます。つまり1本の木からより多くの楽器が作れる=儲けられるから量産しやすいのです。クラッシック音楽はバロックから古典、さらにロマン派へと規模も大きくなり発展していく激動の時代ですね。
国別ですと、
イタリア:1800年代前半はまだ個性的な製作者が多かったのですが徐々に変化が見えストラディヴァリ型になっています。1900年代は師事した師匠の影響やストラディヴァリをベースとした独自のモデルを追及しているように感じます。ガルネリモデルも多いですね。ただドイツやフランスのストラディヴァリモデルとは作りが根本的に違い、イタリアの特徴的な作り(ふくらみ)を有しています。艶のあるニスが多いです。
ドイツ、オーストリア:ミッテンバルトという町ではシュタイナーの影響を受けたクロッツ一家他が頑張って手工製作を続けてはいました。しかし時代の流れでマルクノイキルヒェンという町などではストラディヴァリモデルの量産の体制が出来ました。現在もドイツ製のヴァイオリンは艶を抑えたマットな感じニス、剛健な形状をしている楽器が多いですね。オーストリアでは音楽の都ウィーンの楽器もシュタイナー型からストラディヴァリ型になってきました(ウィーンフィルでも使用されているガイゼンホフなど)。
フランス:1800年代後半にはミルクールという町で量産体制が確立されました。戦後はパリ、ミルクールで細々とヴァイオリン製作が行われて現在に至ります。パリの楽器はヴィヨーム代表されるようにストラディヴァリ型の手工製が多かったものの、パガニーニ(ガルネリ・デル・ジェスを使用)との関係もあったためガルネリモデルも多く製作されました。
注意:手工製との違いを出すため量産の楽器は「モダンヴァイオリン」と言わないことも多いので、その時代に作られた楽器と理解していただけると良いかと思います。
まとめますと、モダンヴァイオリンとは1800年初頭~1900年代前半に製作された手工製のヴァイオリンで、ストラディヴァリの影響を受けた、もしくはコピーモデルのヴァイオリンが多いということが言えます。一方でクラッシック音楽(ヴァイオリン演奏)がヨーロッパ世界に爆発的に広がり、一般の人々が演奏するようになった時代にその需要に応えるべくヴァイオリンの量産体制が確立した時期と言えるでしょう。
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