[ 見どころ ] 接近戦に持ち込みたい松永、距離を保ちたい清水
10月3日(土)後楽園ホール
日本スーパー・ウェルター級タイトルマッチ
王者・松永宏信(横浜光) vs 挑戦者・清水優人(木更津グリーンベイ)
松永=1987年9月30日、愛知県出身の33歳(試合時)。横浜光ジム所属。右ファイター型。戦績:17戦16勝(10KO)1敗
清水=1988年1月23日、千葉県出身の32歳。木更津グリーンベイジム所属。右ボクサー型。戦績:20戦14勝(5KO)4敗2分
この試合は3月7日に予定されていたが、新型コロナウィルスの感染拡大の影響で先延ばしになり、約7ヵ月の延期のすえ実現する運びとなった。距離を詰めて接近戦を仕掛けたいサウスポーの松永、恵まれた体格を生かしたボクシングに活路を見出したい清水。序盤から距離をめぐる攻防が展開されそうだ。
松永はデビュー7戦目に現世界ランカーの別府優樹(久留米串間&別府優樹)に2回KO負けを喫したが、それ以外はきれいに白星を並べてきた。16年10月には韓国遠征で地元選手に12回判定勝ちを収めてWBOアジアパシフィック王座を獲得(当時はJBC未公認)。18年6月にはタイで元世界ランカーを4回TKOで下している。こうした貴重な経験を含め目下10連勝(7KO)で、このところ5連続KOと勢いを増している印象だ。この階級では身長173センチと小柄だが、細かく立ち位置を変えながら相手の懐に潜り込んで連打を浴びせる好戦的なボクシングを身上としている。
対照的に挑戦者の清水は王者を10センチ上回る183センチの長身ボクサーで、距離をキープした戦いに定評がある。ただ、慎重な面がマイナスに作用するケースもあり、4敗のうち3度は僅少差で相手に軍配が揚がる接戦だった。ふたつの引き分けと合わせ、惜しいところで勝利を逃してきた印象がある。今回は16年4月に続く2度目の日本王座挑戦となる。一度は惜敗したチャールズ・ベラミー(横浜光)に雪辱を果たし、元日本王者の新藤寛之(宮田)との挑戦者決定戦を制して大舞台に辿り着いただけにチャンスを生かしたいところだ。
ファイター型の松永が揺さぶりをかけながら飛び込むチャンスをうかがうものと思われる。一方、懐の深い清水は左ジャブを突いて距離を保ちたいところ。どちらが自分の得意とする距離に持ち込むかが勝負のカギといえる。挑戦者が前に出ながら突き放すような左ジャブを打ち、相手が入ってくるところを右アッパーで迎え撃つことができれば勝機は広がりそうだが、それを簡単に王者が許すとも思えない。(原功)