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『ゲーテとの対話』by エッカーマン

2020.08.15 11:25


「世界は大きくて豊かだし、人生はまことに多種多様なものだから、詩をつくるきっかけに事欠くようなことは決してない。しかし、詩はすべて機会の詩でなければいけない。つまり、現実が詩作のための動機と素材をあたえるのでなければならない。ある特殊な場合が、まさに詩人の手にかかってこそ、普遍的な、詩的なものとなるのだ。私の詩はすべて機会の詩だ。すべて現実によって刺激され、現実に根拠と基盤をもつ。根も葉もないつくりものの詩を私は尊重しないのだ。」上p69 

 「不幸なのは、国家の場合では、誰一人として生活をたのしもうとする者もなく、みんながよってたかって支配したがることであり、芸術の場合では、みんながみんな創造されたものを享受しようとはせず、自分の手でまた創造しようとすることである。」 「さらに、全体の中へ入っていく厳しさもなければ、全体のために何か役に立とうという心構えもない。ただただどうすれば自分を著名にできるか、どうすれば世間をあっといわせることに大成功するか、ということだけをねらっている。こういうまちがった努力が、いたるところに見られる。」上p.230