『地下室の記録』byドストエフスキー/亀山郁夫訳
2020.05.29 14:21
人間がわざと、意識的に、自分にとって有害であり、愚かであり、愚劣きわまりないことを願う場合がひとつだけある、と。たったひとつ。それはほかでもない。自分にとって愚劣極まりないことを願い、賢いことしか自分に願ってはならないという義務に縛られずにすむ権利を確保する、そのためにである。p51
現代において、何かしら偶然の事情が重なってそうなるわけではなく、総じて、いつの世も、まともな人間は臆病者でかつ奴隷と相場が決まっている。これは、この地上に生きるすべてのまともな人間に通じる自然の法則である。p78
屈辱ってやつはーそう、あれは一種の浄化だ。あれは、いちばん鋭い痛みをともなう、病的な意識なんだ! p221