内田篤人のコトバ|『無理するところではない』という言葉があるじゃん、オレの嫌いな。
サッカー日本代表、そしてドイツ・ブンデスリーガ1部のシャルケ04のサイドバック、内田篤人選手のコトバ。
歴代のサッカー選手の中でも、トップクラスのイケメン。男のボクから見ても、ウッチーはイケメンだと思う。でもそれは、顔の話だけじゃない。
ボクは今の現役日本人選手の中では、ウッチーが一番好きな選手で。他の選手がインタビュー等で比較的優等生的な発言をする中で、歯に衣着せぬというか、かなりマイペースな発言をする彼のコトバには共感するところが多く、非常に強いプロフェッショナル性を感じられる。そんなところがとても好き、そんなところがイケメンなんだと思う。
UEFAチャンピオンズリーグという、サッカークラブにおけるヨーロッパの、ひいては世界の最高峰の戦いにおいて日本人最多出場記録をもつだけあって、「世界の戦い」の経験値で言えば、現役だけでなく過去を振り返っても日本人トップと言っても過言ではないと思う。事実、「自分たちのサッカー」ができずに終わったブラジルW杯において、もっとも「普段通り」の活躍を見せることができたのは彼だったと思う。
そんなウッチーが所属するドイツのシャルケというチームは、香川選手が所属するドルトムントと同じルール地方にあるチームで、両チームの戦いは「ルール・ダービー」と呼ばれ、互いにしのぎを削り合うライバルチームだ。
2015年2月末に行われたそのルール・ダービー。
結果は、シャルケが0-3と完敗だった。
その試合に怪我をおして出場した内田選手の、試合後のコメントが今日のコトバ。
けがはあまりよくないけど、死んでも出ようと思っていたから、今日は。
練習に復帰しないと試合(の出場は)ないと思っていたから。
『無理するところではない』という言葉があるじゃん、オレの嫌いな。
でも、『ここは無理しどきだろう』と思って頑張った
「無理するところではない」という選択。
それ自体を否定するつもりはない。
求められる成果を「継続的に」残せてこそのプロフェッショナルだから、中長期的に考えて無理をすべきではない、という判断は、極めて合理的なんだと思う。
でも、ボクも「無理するところではない」というコトバは好きではない。
というのも、このコトバは「ダメだったときの事前の言い訳」のように使われるケースがあったり、「手を抜いてもいい」という風に受け取られてしまう風潮があったりするように感じられるからだ。
別に無理をすることを推奨するわけでは決してないのだけれど、「無理しない」ことと「手を抜く」ことは大きく意味が違う。あるいは「無理しない」ことと「あきらめる」ということは大きく意味が違う。
手を抜いて得られる経験値は、諦めて得られる経験値は、そうでなかった場合と雲泥の差があるとボクは思っている。結果失敗に終わったとしても、最後まで本気で、最後まであきらめずに粘ってやりきった経験こそが、次のレベルに進むために必要な糧になるんだ。
そしてもうひとつ。
ボクは「キャパシティ」というのは革でできていると思っていて。
量にしろ、質にしろ、「今」できる範囲でだけ仕事をしていたら、キャパシティは広がっていかない。多少無理してでも詰め込んで、チャレンジすることで、革のようにキャパシティは徐々に広がっていくんだと思う。
「無理するところではない」なんて言い続けて、「無理のしどき」に無理の仕方を忘れた、なんてことのないように、多少無理だと思えるようなことにも、無理しなきゃ手が届かないようなことにも、定期的にチャレンジしていかないといけない。
自分をまだ成長期だと思うなら、成長させるのに必要な経験量が必要で。
そのために、まだまだボクは「無理のしどき」なんだろうと思う。