夜のグラウンド vol.9 ~暗がりに光る目~
2020.09.25 08:00
作/チームCOL
「はっちゃんが、まさか
こんなに元気に遊ぶなんて!」
ママの目が、さっきから
まん丸になってみたり、
ほそ~い山なりになってみたり、
いそがしい。
地面を歩くのでさえこわがる
ボクが、まさかウィル君と
あんなに元気に走り回るとは
思ってもみなかったみたい。
ぼくたちの仲良しっぷりに
おどろいたウィルパパとママは、
ふたりで相談して、夜のお散歩も
いっしょに行くことにしたんだって。
夜ごはんを終えたあと、
ママに連れ立って、
真っ暗な公園に入っていく。
ゆらゆらとお月さまが
映りこんでいる
池の横を通り過ぎて、
グラウンドに近づいてみると、
なんだかにぎわっている様子。
ウィル君とウィルパパ以外にも、
だれかいるみたい……。
なんとなくこわくなって
立ち止まると、
ママの背中を見上げた。
ママはふり返ると、
「だいじょうぶよ~。はっちゃんの
新しいお友だちがいるのよ。
お友だちになれるかな?」
そう言って、ゆっくりと
グラウンドの中へと入っていく。
数本の電燈がところどころ、
ほんのりとグラウンドを
照らしている。
「こんばんはー!」
ママが元気よく声をかけると、
ウィルパパの声がした。
「はっちゃ~ん! こっちこっち」
ウィルパパが手招きすると同時に、
暗がりからいくつもの光る目が、
ママとボクをジッと見ていた。