想像力をかきたてるオールドヴァイオリンの魅力
こんにちは！
オールドヴァイオリン専門店
㈱ダ･ヴィンチヴァイオリン
山口保行です。
2015年7月7日にスルガ銀行さんで「オールドヴァイオリンの魅力」について講演させていただきました。当日は時間の制約もあり、十分にお伝えできなかった魅力を少し掘り下げていこうと思います。
私の大好きな映画にウッディ・アレン監督の「ミッドナイト・イン・パリ」があります。アカデミー賞脚本賞他、受賞多数です。
小説家になりたいハリウッド映画脚本家ギルが真夜中のパリで1920年代のパリにタイムトラベル（タイムスリップ）するお話しです。1920年当時のパリには本当にすごい芸術家たちが一堂に会しておりました。例えばピカソ、ダリ、ジャン・コクトー、ヘミングウェイ、フィッツジェラルド夫妻、マン・レイ、ブニュエルなどその後大活躍する若き天才達が日々切磋琢磨する一方で毎晩のようにパーティーを繰り広げていたのでした（この様子はヘミングウェイの死後発表された「移動祝祭日」という回想記に記されています）。
その時代のパリに憧れていた主人公ギルは、タイムスリップして前述した憧れの芸術家達に会い（これが全員雰囲気があって似ている！）、楽しみつつも自分の作品を批評してもらえるという夢のようなストーリーです。ロマンスだけでなく、分かる人にはわかるであろう、それぞれの芸術家の作品、逸話が随所に散りばめられて話が進んでいきます。
あなたも有名な演奏家や名だたる作曲家にレッスン受けることができたら・・・。どんなに素敵なことでしょう。考えただけでもワクワクしてきます。
ではなぜ主人公ギルは1920年代にタイムスリップできたのでしょうか？「映画だから」なんて現実的なことを言うとしらけますのでご注意を。
それはギルの憧れる芸術家達が活躍した1920年代のパリという時代への純粋で強い思いが彼の望みを叶える役割をしたのです。「思えば叶う」「信じる者は救われる」というと言い過ぎかもしれませんが、とても幸せな時間を過ごせるのは確かだと思います。
この話をオールドヴァイオリンの世界に移してみましょう。
オールドヴァイオリンの魅力を感じれる方は、「200年以上前のヴァイオリンってすごい！」「どんな人たちが演奏したのかな？」「ずっと大事にされてきた、運が強い楽器なんだ」等いろいろと思いが出てくるでしょう。
今はそのように感じられなくても、実際にオールドヴァイオリンに触れたり、バロック・クラッシックの演奏会に行く、映画鑑賞や文学、歴史などの文献資料にあたることで、「この時代はこんなことがあったのか」「こんな人が活躍していて、こういう繋がりがあるんだ」等、自分で学ぶことやお話しを聞いたりして自分の想像力を駆使して数百年前の魅力を味わうことができるのです。
現在も使用でき、楽器自体も手に入り、資料も豊富にあって、こんなに楽しめるのはオールドヴァイオリン以外に見当たりません。
最後に、ネタばれしてしまうので是非ＤＶＤなどでご鑑賞いただけると嬉しいのですが、実はこの映画「いつの時代も昔は良かったという人達がいる」という皮肉が描かれています。
オールドヴァイオリンを愛する私が1700年頃のイタリア・クレモナに行って本物のストラディヴァリに会ったらどうするでしょう？ストラディヴァリ本人からヴァイオリンを購入しても良いですね。でもそのヴァイオリンを現代に持って帰ったらどうなるでしょうか？
そう、私が譲り受けた本物のストラディヴァリは1700年当時のコンテンポラリー（新作）ヴァイオリンなので、そんな新作イタリアンヴァイオリンを持っていても現代では誰も本物と信じてもらえないという結果になるでしょう。300年経って超一流のディーラーや鑑定家が間違いなく本物だろうという評価を受けてやっと本物と認識されるのです。
今日もありがとうございます。
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