音楽との出会い
夜中にふと目が覚めてラジオをつけると、えもいわれぬ懐かしいような美しい音楽が流れてきた。古い、SP版レコードのような少しくぐもったやさしいバイオリンの音。
曲が終わると、アナウンサーが曲名や由来を述べた。1900年代初頭の録音だという。音と音の間をつなげた演奏が絶妙で現代の演奏者にはないと、かなりの音楽好きであろうアナウンサーは感動しながら褒めたたえていた。
半分眠りながら演奏者が「クライスラー」とだけ記憶して、そのうちまた眠ってしまった。
後日インターネットで調べると「ロンドンデリーの歌」というアイルランドの民謡で、クライスラーは1800年代後半に生まれたバイオリニストであり作曲家だった。
ネットでCDを探していると、YouTubeにクライスラーの演奏曲がアップされていたのでさっそく聴いた。
なんと豊かで温かい音色だろう。
この演奏を、実際のコンサート会場で聴いてみたい。けれどクライスラーはすでに亡くなっているので、かなわぬ夢・・・・・・。
考えてみたら、当時はまだ録音技術があまり発達していなかった。その時代の人たちが残してくれたから、今の時代にクライスラーの演奏を聞くことができた。時を超えて、共に豊かな音楽を聴くことができた。
残してくれた当時の人々に、そして現代に受け継いでくれた人々に感謝したい。
クライスラーについてインターネットで少し調べてみた。ウィーンに生まれ、幼少のころからかなりの才能を発揮していたよう。
けれども第一次世界大戦で召集を受け重傷負う。第二次世界大戦ではユダヤ系の彼はアメリカに移住し、生涯ヨーロッパには戻らなかった。
移住後間もなく交通事故で重傷を負う。視覚や記憶に障害が出たものの音楽的な感覚は障害から逃れ奇跡的にカムバックしたけれど、後遺症によりほどなく引退したという。
いく度も厳しい状況を乗り越えて、すばらしい音楽を伝えてくれた。
今も世界のどこかで誰かが豊かな音を奏でているだろう。音楽との出会いに期待する。
そして世界中、誰の上にも降り注いでいる、風や草の音、太陽や海、自然界の音楽にも耳を傾けていたい。
<参考>
「ロンドンデリーの歌」(Londonderry Air)
フリッツ・クライスラー(Fritz Kreisler)
*アマゾンで検索する場合はカタカナ「フリッツ・クライスラー」よりも、アルファベット「Fritz Kreisler」の方がヒットしやすいようです。
<エドガー・ケイシーのリーディング>
音楽とは「生命を与える流れ」であり、魂と心をより偉大に解釈することによって、体を無限なるものに合わせる瞬間の基礎となる。(2708-1)
・泰・