【練習法】自然にポールを曲げる!練習の流れ7ステップ!
『A Learning Sequence of Pole Vaulting』
--- "The Pole Vault -A Violent Ballet", p.146より
最も悩まされるポイントの一つ。選手にポールを曲げさせる方法。
何年もの間、コーチたちは選手に下の腕を固めてポールをパンチすることで、ポールを“力で曲げる”ことを教えてきました。
私は、もっと「自然にポールを曲げる」方法があると思います。この自然な方法とは、曲がらないポールを立てる動きと、ポールを曲げて立たせる動きのギャップを埋めます。
この「自然にポールを曲げる方法」を習得する際に、まずは、短いポール(女子:12ft 、男子:13ft)を使用することが最善策です。そして、選手は6歩〜12歩で跳躍を繰り返し実践することで、「自然な方法」の習得を行います。
これら全ての歩数を実践するにするには、4〜6本の短いポールのセットが必要になります。
また、驚くコーチの方もいるかもしれませんが、助走が短く(6〜10歩)、そしてポールの上部から1フィート(30cm)以上低い位置を握っている場合は、体重よりも5〜10ポンド小さいポールを使用しても問題ありません。
Here are the steps we use to teach how to vault with a pole.
#1
ポールをボックスに突っ込み、踏切の姿勢をとります。踏切位置は、ボックスの端から2足長にしましょう。上の握りは、踏切足の爪先から垂直な線で結んだ位置になります。
ポールを持ち上げて、踏切位置から助走方向に大股で6歩下がり、さらに1足長を追加します。ここが6歩助走のスタート位置になります。
#2
グリップ幅は「肩幅」のスタンス、そして下の肘をわずかに内側に絞り、そして手首は返すようにしてポールを支えるようにして保持します。ポールの角度が40〜45度になるように保持します。
踏切足の逆足をロックバック(ステップバック)したところから、助走を行います。踏切、スイングを行い、背中から着地します(この時、爪先が進行方向にまっすぐ向いているようにします)。
これはオールドスタイルの、スイングドリルです。 スイングする際に、肘をポールの内側に曲げ込まないでください。スイング中、肘は自然に、ポールの外側へと動くようにします。
・肘を曲げる動きは引く動作です。下の腕の肘をそのままにしておきます。
・選手の踏切が「近過ぎる」または「真下」で踏み切った場合は、助走位置を下げさせます。
・選手は、「fiber chin – fiber-nose – fiber-head – collapse elastic – full extension」の順に突っ込み動作を習得します。下の腕を曲げることは、選手がポールの動きと繋がるための方法です。徐々に選手とポールの空間を広げ、全身が伸びるようにしていきましょう。
・常に、両腕を使って跳躍しているかを確認しましょう。(両手が選手の頭上にあるかどうか)
・下の腕が曲げて跳ぶことを選手には伝えたいと思っています。この動きが跳躍する際のエラスティックな動きを生み出します。
#3
ポールが非常に速く立ち、スイングできない場合は、グリップを指3本(助走を半足下げる)または握り1つ(助走を1足下げる)上げます。
#4
何度か繰り返した後、そこから大股で2歩下がり8歩助走にします。
握りを1つ上げ、さらに1足分後ろに下がります。8歩助走でのポール保持は45〜50度になるようにします。
・8歩になると、より高く突っ込みができ、より高くスイングができるようになります。
・私は、「ポールを垂直に(真上に)押す」という言葉を使うことで、選手に、踏切で全身が伸展している動き(Hollow)、さらにより速いスイングを促します。
#5
8歩での跳躍を何度も繰り返した後、次に大股で2歩後ろに下がり、10歩助走にします。さらに握りを1つ上げ、1足分後ろに下がります。
10歩助走でのポールの保持は50〜55度になるようにします。また、ロックバック、跳躍まで行います。
・10歩になるとポールが少し曲がり始めます。選手はポールを「曲げようとする」ことなく、助走のスピードとグリップ位置が高くなったことで、ポールがわずかに曲がるようになります。
・選手は、両腕が頭上でエラスティックに伸展するのに、十分な高さの突っ込みをする必要があります。これにより、踏切後に、全身が伸展し、お尻(腰)が前方に進み、よりパワフルなスイングを生み出すことができます。
・ポールがさらに曲がり始めたら、スイングのタイミングに合わせて、ポールを押し返すように力をかける(リアライン)ように指導します。
・下の腕でポールにかけている力を抜く、肘を曲げる、腕を引く動きは、必ずポールが立つ動きを止めます。そして、早い段階で、腰から体が屈曲し始めます。
#6
10〜12歩助走では、ポールがさらに曲がるようになり、選手は“Popドリル”を行えるようになります。これは、“エラスティックとリアライン”の動きにより、垂直に速くスイングすることを目指した練習です。倒立した時に、ポールの曲がりが伸展し、体は空中へと「Pop(弾かれ)」ます。
#7
ゴムバーでの跳躍を通して、体を引き上げながらターンすることを学びます。この時、アップライトは最大まで遠く(80〜100)にします。
・常にまっすぐの正しい姿勢になるようにします。股関節と肩を繋いだ線が垂直になっている必要があります。重心を上げ、腰を上げ、膝を上げ、つま先を上げましょう。
・ポールの先端は積極的に、スムーズに落とし(Active Drop)ます。突っ込みが始まる踏切2歩前には、ポールの先端が目の高さになることを目安にします。ポールの先端が低くすぎる、またはポールを降ろすタイミングが早すぎると、姿勢が崩れ、助走が失速します。一方で、先端を降ろすタイミングが遅すぎると、リズム(ピッチ)が下がります。つまり正しいタイミングでポールを降ろすことができなければ、助走はずれたように感じます。
コーチは、常に正しいポール保持、ポールの角度、姿勢、ポールの動きを要求します。信じられないかもしれませんが、選手は今回紹介した「6〜10歩での跳躍」のセッションを数回行うことで、「ポールを垂直方向に動かす」方法を学ぶことができ、その結果、ポールが曲がるようになります。
これが「曲がらないポールでの跳躍」が非常に重要であり、それが、論理的で自然に、ポール速度を加速させることを学ぶための「最初のステップ」である理由です。
私たちは選手にnarrow grip(狭いグリップ)でのドリルとhand-shiftでの跳躍を行わせています。これらのドリルを行うことで、選手に、両腕が伸びることで快適に跳べるということを感じさせることができます。
選手の経験や能力に関係なく、踏切時の体は常に「股関節が開き(伸展し)動きをリードしている」必要があります。narrow gripと hand-shiftの跳躍は、踏切後の大きく力強いスイングの感覚を生み出すことにも役立ちます。
(Translate: 榎)
より詳細な内容、コーチバトラーによるイラスト付きの解説は、本書中にて!!
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