The Best Intentions in the ISLE
天王洲アイルと愛のある風景。
KAZESORA 〜風空〜 No.4 ※こちらの記事は2015年3月18日の記事です
スペシャルデートプラン in 天王洲アイル
春の香りを乗せた爽やかな風が
今日もやさしく頬を撫でる天王洲アイルで
妻は何回笑顔を見せてくれるだろう。
これは、一生懸命考えた僕のデートの話……。
「あなたは知人に“年に一回は家族で旅行します”って話をしているのをよく耳にするけど、あれは私の実家、里帰りであって、旅行ではないよ……」
と、妻に言われて気づいたこと、そう、僕は年末年始の帰郷を家族旅行と勘違いをしていた。そしてそれが旅行ではなく帰郷ということは、僕は結婚してからの6年間、家族をどこにも連れて行ったことがないことになる。
まずい、これが最近ちまたでよく耳にする“残念な夫”ってやつか!
もうすぐ妻の誕生日。ココぞとばかりに妻をデートに誘う。
「えっ? デート? あなたが? プランとか考えられるの?」(妻)
自信があるといえばウソになる。
でも僕には“天王洲アイル”というホームグランドがあった!
浜松町からモノレールに揺られて一駅。天王洲アイル駅を降りてまず初めに向かったのがベーガリー&カフェ『breadworks』。扉を開けるなりパンの香ばしい香りに包まれた妻の顔には早くも笑みがこぼれる※。種類豊富なパンの中からビアブレッドを手にして“ここのビアブレッドはオリジナルのビール酵母を使っていて、とにかく美味しいんだ”なんて得意げに一言。
水辺を望めながら優雅な朝のひとときを過ごし、次はライフスタイルショップ『SLOW HOUSE』へ。
妻が愛読する雑誌『KINFOLK』の編集長ネイサン・ウィリアムス氏がクリエイティブディレクターとして立ち上げた、『Ouur』の上質な衣類や暮らしを彩るテーブル周りの生活雑貨類が並ぶ店内で、宝探しのように買物を楽しむ妻。日々の生活を明るくしてくれそうなアイテムに囲まれて、きっとKINFOLKのような生活を想像しているのだろう。
お昼は『SLOW HOUSE』内のレストラン『SØHOLM』でランチ。
オーガニック食材を中心に、季節折々に鮮度豊かな食材を用いたジビエ料理や最高級キャビアを堪能。別々のメニューを注文して分け合いながら美味しい料理をシェアして楽しむ“ギャザリング”スタイルでランチタイムを明るく開放的な空間で気持ちよく過ごした。
お腹も心も満たされたところでボードウォークやボンドストリートなど天王洲アイル内をふらふらと散歩していると、『TERRA CAFE BAR』のお店の前に並んでいた新鮮な野菜に思わず手が伸びる妻。ここは世界中のあらゆるジャンルの「保存食」を集めたユニークなコンセプトショップとして僕も大好きなお店だ。
購入したエスカルゴのココットを壁一面に並ぶ電子レンジで解凍、その場で調理して、雰囲気のいい広々としたオープンテラスで食べながら一言
「普通のカフェじゃないでしょ!」
陽も暮れだし、ほんの少し寒くなってきたので『シーフォートスクエア』に移動した。ここは天王洲アイルの中核となる都市。CMやドラマでお馴染みの巨大な吹き抜け空間『ガレリア』には、教会をモチーフとしたイルミネーションが浮かび、やさしくて綺麗な明かりが日頃の疲れを癒してくれた。
次は一週間前に予約をしていたお店、シーフォートスクエアに隣接する第一ホテル東京シーフォート最上階、『鉄板焼 天王洲』へ。宝石をちりばめたように煌く天王洲アイルならではの夜景が眼下に広がるレストランで妻の誕生日を祝った。
黒毛和牛ステーキをはじめ、こだわりの高級食材が目の前の鉄板で「ジュ~ジュ~」っと華麗に焼き上がる臨場感と香ばしい香りに包まれながら贅を極めるディナータイム。
「こんなに綺麗な夜景も、こんなに美味しい料理も初めて」
と喜ぶ妻の横で、シェフのおもてなしに感動している僕がいた。
地上100mの夜景を堪能した後はクリスタルヨットクラブで東京湾をナイトクルーズ。船上から見る東京湾の夜景は、地上やタワーから見る光景とはまた違う非日常的な時間を演出できる。
潮風の匂いと、やさしい夜風に包まれながら「いつもありがとう」とさりげなく、妻への日頃の感謝を伝え、7年前に渡した婚約指輪をもう一度渡した。
「7年前のプロポーズ、当時住んでいたアパートの一室だったもんね……」(笑)
天王洲アイルを十分に堪能した一日。デートにずっと付きそってくれた娘も疲れ果てて眠ってしまった。
「寂しいけどそろそろ帰らないとね」
帰宅を心配ている妻に、ここで最後のサプライズ!
「実はホテルを予約しているんだ。」
想像をしていなかったのかビックリしながらも笑みがこぼれる妻。
予め予約をしていた第一ホテル東京シーフォートで贅沢に、そして優雅にスペシャルなデートを締めくくった。
「明日はお台場? 品川の水族館もここからだとすぐ近くだね!」
明日の想像を膨らませ、ゆっくり床についた。
“残念な夫”のレッテルをはられる前に、是非一度、天王洲アイルへーー。
KAZESORA 〜風空〜 No.4
2015年3月18日の記事です
Text & Design:Shigekazu Katsumata 勝又シゲカズ BTTB inc.
Photographer:Ryo Yonezawa 米沢リョウ BTTB inc.