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皮膚と平衡感覚

2020.09.29 23:13

皮膚緊張があると、平衡感覚を失ってしまう例があります。

昨日の例は、まさにそんな感じです。


それではアトピーなどの皮膚疾患も平衡感覚を失うかというとそうではありません。皮膚にも様々な機能が備わっているので、1対1の関係ではなく、1対多の関係になります。

複雑になれば、多対多の関係になるでしょう。


1対1の関係を見つけると鬼の首をとったように言うのは、あまりにも愚かですが、そう思ってしまう気持ちもわかります。特に若い時や初心者は、そういう気持ちになっていいんじゃないかと自分の経験を踏まえて思います。

しかし、長くやっていると、それ以外の例がでてきます。多対1の関係になると、複雑なものだと感じます。多対多の関係になると何が何かわからなくなります。


そういう時は、シンプルに簡素なものに戻ると上手くいくことがあります。昨日の例は正にそんな感じです。1対1の関係にあると思える例ですが、実は多対多の関係にあります。複雑な要因が絡み合っている訳です。だから同じことをしたとしても同じ結果になるとは限らない。次ぎに同じことをしても同じ結果になるとも思えません。それが臨床の現場です。ただ、経験を積むと、そんな関係にある人や状態の人であっても、一言で現状を打開するきっかけになることがあります。


それが、術者の一言です。とてもシンプルです。

その一言は、どんな治療よりも効果があったりします。人の心は、そんなことでしか動かないのではないかと思います。


術者の一言は、音楽や文学と同じ作用があります。それは、物理法則ではない何かです。若い時は、勉強したことを人にひけらかしたくなります。私もそうでした。

しかし、それでは人は動かないし、それで動いたとしても、長続きはしません。やはり人は、その人の中に流れる何かに反応します。存在と言えるかもわかりません。


それを物理や科学で特定したとしても臨床に応用できるとは限らない。


そのことに気づいてしまうと、世の中は事実で成り立っているとは言えないと思えるし、そうでないとも言えない。とも思えます。

本当に混沌とした世界なんだと思います。確実なものは何もない世界で成り立っているんだと実感します。しかし、確実な世界があると思い込ませる考え方が科学です。これも趣があります。科学を趣があると思えたら科学の先に見える世界が見えてきます。


そんな混沌とした世界にも一定の方向性というのは必要です。その一定の方向性というのは一見間違っているように見えるかもわかりませんが、それしか選択肢がないという場合もあります。実に面白いなと思います。


最後の一言は、「大丈夫、なんとかなる」なのかもわかりません。


その先に見える世界だけが真実なのかも知れません。無味無臭の世界と好味好臭(対語がわからなかったので)の世界が混じり合った世界って、実は凄く面白い。