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KAZESORA〜風空〜

InterFM897

2015.11.02 11:05

Today… George Williams with KAZESORA

今日も秋晴れ。澄んだ空の下、風空編集部が向かったのは天王洲アイルのInterFM897。
平日の夕方、毎日3時から放送されている看板番組「Ready Steady George!!」のジョージに会うためだ。

KAZESORA 〜風空〜 No.6 ※こちらの記事は2015年11月2日の記事です

「スピーカーから手が出るほどリスナーの心を掴み、勢いある番組を届けたい」

 インタビューが始まってすぐ、どのように番組を作っているか尋ねた際に、ジョージが伝えてくれたことだ。ミーティングルームに置かれた、オーディオのスピーカーを見つめて、“手が出るほど”と、ゆっくりと、力を込めて。

 私たち風空編集部は、その一言を聞いてジョージのことがまた、好きになってしまった。その姿勢や、真剣ながらもラジオの中と同じ、気さくな笑顔に。そして、私たちもこの「風空」という冊子から手を出すことができて、読者の心を掴めたらいいのに。

 本誌「風空」を創刊し始めた2年前のこと、編集長の勝又がかけたラジオのチャンネルは天王洲を意識してInterFMに変えたばかりだった。でも、すぐにその選曲の良さに、ひとめぼれ。いつか、風空で取材しようと心待ちにしていたのだった。

 インタビュールームへ入ってきたジョージは、初めまして、でも、今日はよろしく、でもなく、「Hi 元気?」と言って座った。ラジオの中の、あの声で。

 ジョージがラジオに興味を持ち始めたのは、幼少期。当時、イギリスの田舎に住むようになったばかりで、日本語が流れるラジオ番組を聴く母の姿が今も忘れられないという。そこには、日本を懐かしむ心が見え、祖国を離れた寂しさを紛らわせる彼女の“生命線”のように子どもながらも感じていた。

「ふと、母の好きなクラシックの番組からチャンネルを変えてみると、驚くくらい体が熱くなるロックがかかっていて、新しい世界を小さなラジオの中に発見したんだ」

 母だけでなく、自分もラジオに夢中になった。中学生になる頃には、自分のDJテープを作って友人に聴かせるようになり、何か悲しいことがあれば、ずっとラジオの隣で過ごしていた。

「外ではみんな明るく振る舞うけれど、誰もがこうして、家では悲しくってラジオの隣で泣いているのかもしれない」

 母親の、そして、子ども時代の自分の“生命線”となったラジオ。

「今は泣いていても、スピーカーから手が出るほど伝えていけば、一瞬でも笑ってくれるような気がするんだ。そう思ったら、よい話し手として、つまり、職人として伝えていかなきゃいけない」

『Ready Steady George!!』を聴いていた風空編集部は、番組の中の明るくて陽気なジョージのイメージに慣れていたけれど、そこにはこちらに真剣に伝えてくれるジョージがいた。そして、風空編集部のオフィスで、いつも番組から元気をもらっていたことに、改めて気づかされる。

「職人っていうと気難しい感じがするかもしれないけれど、要はリスナーに『ジョージと一緒に飲みに行きたいな』って思ってもらえたら嬉しい。音楽って、聴きたいときに聴きたい音楽を聴きたい。本もそう。読みたいときに読みたいものを読みたい。僕はそれが叶うように音楽をかけるし、こういう手に取れる媒体にもがんばって欲しいね。“触って読む”って好きだよ!」

 ジョージには、いつもストレートな言葉があって、表も裏もないありのままのジョージがそれを話している。

 17歳から他局で番組を持ち、様々なラジオ番組やテレビでの経験を経て、InterFMに移り約20年。今年は関東エリアの新たなFM局として“InterFM 897”とステーション名もリニューアルし、さらに多くの人々に発信をしていく。

「天王洲は昔、倉庫街だった。それが今、運河沿いのめまぐるしい開発や、オリンピックに向けてどんどん整備が進んでいる。まだまだ変われるし、可能性が大きい街だよ。僕らも追いつかなきゃ」

 ジョージはスタジオがある天王洲まで、自転車やバイクで通うという。

「走っていても、本当に気持ちのいい街だよね。この冊子に『風空』ってタイトルをつけた気持ち、よくわかる」

 そろそろ、番組の放送が今日も始まる。 

「今年から“InterFM 897”と名前を変えて、また新たに“The Real Music Station”をモットーに発信していくから楽しみにしていて!」

 スタンバイするというジョージと別れ、天王洲アイルの運河沿いを帰る途中。放送が始まった『Ready Steady George!!』で、私たち風空の取材をジョージが紹介してくれている。イヤホンからも手が出てきていて、私たちはやっぱり、心を掴まれてしまった。

【PROFILE】

George Williams ジョージ・ウィリアムズ

オルタナティヴロックのDJ、VJとしてTV、RADIO各局に出演。パンクバンドでアルバムリリースのほか、雑誌におけるコラム連載やモデル出演も行っている。日本とイギリスのハーフ。

『Ready Steady George!!』 Mon.-Fri. 15:00 - 18:00

ジョージがシャウラと一緒に元気を届ける3時間のトーク&ミュージック番組。ジョージお馴染みのアーティストをゲストに迎え、ここでしか聴けない話や、最新情報を届けている。

取材協力 | InterFM897

1995年阪神淡路大震災の際に、在日の外国語圏の人々に、震災情報が十分に行き届かなかった反省をもとに、同年大阪と東京に「有事の際に外国語放送を行うこと」を付帯条件に周波数が割り当てられ、翌年4月1日に開局した『InterFM』。

2015年6月30日より新しい周波数89.7MHzで放送を開始し、2015年10月1日より関東エリアの新たなFM局として『InterFM897』とステーション名を変更。音楽が主役の“The Real Music Station”として新たなスタートを切った。

https://www.interfm.co.jp

KAZESORA 〜風空〜 No.6

2015.11.02.の記事です。

Direction & Design:Shigekazu Katsumata 勝又シゲカズ BTTB inc.

Text:Eri Sakuma さくまえり

Photographer:Soichiro Kosuga 小菅聡一郎