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月に一度、満月の日にだけ連絡をとる私たち

2020.09.30 21:43

「今日の満月、綺麗ですよね。

僕、月が好きなんですよ。」




私の大切な友人がそう言った。





友人と会ったその日は

ちょうど春の満月だった。


新年会で賑わう池袋の夜を

満月が煌々と照らしている。





友人の言葉を聞いた私は

正直おどろいた。


今まで満月が好きな男性に

出会ったことがなかったし、

私は月が好きな人は

「女性的」という偏見を持っていた。



また、

夏目漱石が「月が綺麗ですね」を

「I love you」と表現したように

男女が月を眺め合うなんて

恋愛に発展する関係だと思っても

仕方のないようなものだった。





しかもその友人とは

入社式で会ってから初めての食事。


「ずいぶんと

踏み込んだ話をなさる」

と私は驚いたのだ。





聞くところによると友人は、

「月を見ている人と
繋がってると思える」

から月が好きらしい。



私も小さい頃から夜空に浮かぶ

神秘的な月が好きだったので

話が盛り上がった。



友人と月の話をして以来、

満月のたびに連絡を取るようになった。




「今日の満月、綺麗だよね」




お互いが住む所から見える

満月についての連絡、

というよりは報告。



私は岐阜県に住んでいて

友人は九州に住んでいる。



月に一度、

満月の日だけ連絡を取り合う仲。



遠距離恋愛でも

どちらかの片思いでもない。


哲学でいうところの

フィリア(友愛)だろう、


私たちは

お互いの幸せを祈っている。






もし今後、

月が好きな友人が

好きな人に告白するとき、


「月が綺麗ですね」


と言うだろうか。




このご時世にはキザな告白だけど

そう言って欲しい、と私は思う。




それまでは友人の練習台として

「今日の満月、綺麗だよね」

を聞かせて貰おうと思う、


これは完全に私の勝手な希望だが、

許してほしい。







今日は中秋の名月、

明日は満月。


今月も、大切な友人を思い出す。




そしてあと何回、

「今日の満月、綺麗だね」

と聞かせて貰えるのか、


そんなことを私は思っている。







満月の日にだけ連絡をとる、

友人との明日を控えて。




※私の儚い恋心を表した文章のようですが

あくまでも友愛を表現しておりますm(_ _)m