TENNOZ × PEOPLE #07
KAZESORA 〜風空〜 No.7 ※こちらの記事は2016年4月18日の記事です
楽器の周りに、奏でる音色に集まって
天王洲アイルを“音楽のある街”へ
天王洲アイルから演奏の楽しさを伝えるヒト
飯嶋高志
楽器倉庫「Studio GVIDO(スタジオ グイド)」 支配人
“音とともにくつろげる空間”
Studio GVIDOが完成しました
2015年秋、寺田倉庫本社の改装が完了した。エントランスから装いを新たにし、さらには、倉庫内にも変化が起きているようだ。
「Studio GVIDOへようこそ。ここは楽器専用の倉庫です。隣には、レコーディングスタジオとリハーサルスタジオの両方の機能を兼ね備えた、音楽スタジオもご用意しました」
とは、Studio GVIDOの支配人を務める飯嶋さん。本社の改装を機に、楽器専用の保管サービスの立ち上げに加えて、音楽スタジオの併設を企画。完成を待って、支配人に就任したばかりだ。
S・M・Lと3種類の楽器倉庫に、リペアルームを併設。重たく大きな楽器や、コレクションされた複数の楽器をコンディション良く保管できることはもちろん、ストレージ内は自由にカスタマイズ可能。さらには、専用コーディネータによるデザインの提案までできるという。
「大切な楽器をディスプレイ感覚で保管できます。眺めるだけでも、ワクワクするでしょう。楽器を手にしたら、すぐに隣のスタジオで演奏もできる。これって、楽器好き、音楽好きにはたまらない環境だと思ったんです」
そう話す飯嶋さんも学生時代から音楽に夢中だ。中学・高校時代は吹奏楽部、大学時代から社会人にかけてはギターを手に、多くの音楽仲間とセッションをしてきた。
「忙しい仕事の合間に、ふと楽器を手に演奏し、また仕事へ戻っていく。そんな空間があれば、もっと音楽の楽しさは広がるはず」
こんなスタジオがあったらいいなと感じるままに、企画を立ち上げたという。
「もちろん、ハイスペックな音響設備も完備しています。その場の雰囲気でセッションを楽しめるレンタル用の各種楽器もご用意。さらに、バーカウンターを設置し、お酒やお料理を囲んでのパーティーも可能です。ただの音楽スタジオではなく、音とともにくつろげる空間を楽しんでいただきたいです」
すでに著名なミュージシャンが見学に来ているというStudio GVIDO。天王洲アイルの倉庫の一角にある“音とともにくつろげる空間”はすでに音楽業界で話題のようだ。
アート、ワインとシナジーを生み
音楽が天王洲アイルをにぎやかに
「寺田倉庫の持つ保存・保管のノウハウは、美術品やワイン業界から定評をいただいてきました。単に保管するだけでなく、アートを楽しむ空間や、ワインを味わうイベントなど、倉庫内で生まれる付加価値の重要性も長年考えてきたことでした。そこに、何かシナジー効果を得られる、新たな保管品はないものかずっと探していました」
入社間もない二年目に配属となった広報部で、社史編纂に携わるうち、寺田倉庫のスピリットを一から学んでいったという飯嶋さん。
「創業当初、まだ保管庫といえばチルドルームか普通の倉庫しかなかった時代のことです。家電メーカーの在庫を、錆びたり箱が歪んだりという劣化を防いで保管できないものか相談があったのだそうです。当時の資料を調べていくと、それなら家電専用の湿度管理ができる保管庫を開発・提供したのです。これには、家電メーカーさんの方が驚いたとか」
いつも顧客の「あったらいいのに!」という気持ちに応えてきた寺田倉庫。
「美術品、ワインと保管してきて、何かリンクできるものという思いと、自分が大好きな音楽に関わる事業をやってみたいという夢が、ここでリンクしました」
本社の改装に伴う新規事業を考えるプロジェクトに、自らが「あったらいいのに!」と描いてきたアイデアをぶつけたという。
「社史の近年の資料で、88、89年頃の天王洲アイルは、“ウォーターフロント”と話題になり、今より活気があったと知りました。自分が働く街を、その頃のように活気づけるには、新たに話題となる何かが必要だと感じていたんです」
近くにはテレビ局やラジオ曲も多い湾岸エリア。このスタジオでラジオの公開収録や小規模なコンサート、ライブなども企画し、“音楽のある街”にしていきたいという。
倉庫の中で、静かにスタートしていた新事業。ここから奏でられる音楽に、天王洲アイルを訪れてくれる人がきっと増え、にぎやかさを増すだろう。
リラックスして演奏を楽しめるよう、居住性にもこだわっている。まるで、海外のレコーディングスタジオのような、くつろげる空間にデザインされている。「企業の音楽部の方など、仕事帰りに仲間と手ぶらで来て演奏するなんてこともできますから、平日の過ごし方も広がりますよね!」(飯嶋さん)
写真右上:すでに多くの音楽関係者が訪ねてきている。壁には、誰もが知る、あの有名ミュージシャンのサインもすでに20名を超えている。「プロの目から見ても『うちにもこんなスタジオが欲しい』と言ってもらえた時には、鼻が高いですね」(飯嶋さん)
写真右中:ミキサーにはローランドの「M-480」と「S-1608」が用意され、簡単な収録も十分に行なえる環境。
写真右下:スタジオ内にはハイクオリティなチェンバロ(MARC DVCORNET A PARIS 2009)やピアノ(STEINWAY&SONS)も完備。
PROFILE | いいじま たかし
1987年生まれ。寺田倉庫へ2012年に新卒入社。倉庫内の現場作業や広報部での社史編纂を経て、現在、プレミアム天王洲グループ 事業企画チーム 楽器チームリーダー であり、Studio GVIDO 支配人。
取材協力 | 寺田倉庫「Studio GVIDO(スタジオ グイド)」
0120-93-4203
品川区東品川2-6-10 寺田倉庫本社ビル3F
営業時間 / 10:00~22:00(倉庫利用のみの場合は18:00まで)
定休日/ 土日を除く祝祭日および年末年始
りんかい線「天王洲アイル」駅 B出口から徒歩約3分
東京モノレール「天王洲アイル」駅から徒歩5分
http://http://studio-gvido.terrada.co.jp
KAZESORA 〜風空〜 No.7
2016.04.18.の記事です。
Direction & Design:Shigekazu Katsumata 勝又シゲカズ BTTB inc.
Text:Eri Sakuma さくまえり
Photographer:Soichiro Kosuga 小菅聡一郎