移行
2020.09.30 14:37
夏の記憶が抜け落ちている。ということに、肌寒さを感じるようになってから初めて気がつきました。
算数を始めました。まだ三分の一程度しか進んでいませんが、早くも躓きかけました。敵は小数の計算。それをどうにかクリアして、今は公倍数のページに差し掛かったところです。
算数ができなくとも生きてはいけるけど、好きな人たちの言葉を正しく理解したいなとは思う。
この間初めて太宰治の『富嶽百景』を読んだときに、「東京の、アパートの窓から見る富士は、くるしい。」という一文に激しく動揺してしまいました。書かれたのは八十二年前。当時を生きていた人たちが周囲に沢山いるというのに、この一文はものすごく遠くて、手が届きそうにもない。富士山をまだ一度も見たことがないので、それもおそらく関係している。
平仮名の「る」が好き。マンションじゃなくてアパートが好き。読点の打たれ方が好き。読点の裏には、目には映らない感情や光景がいつも静かに潜んでいる。最高の記号だと思う。