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【番外編】レフトアローンの真実~九州ジャズもん・江越氏の憂鬱~

2020.09.30 16:17

私に届いた一通の手紙。以前「九州ジャズもん」としてご紹介した福岡・久留米ジャズ・クラブ代表の江越(エゴシ) 秀明さんからで、同封されていたのはご自身で書かれたエッセイの原稿数枚。

江越さんと言えばそのジャズに対するひたむきな情熱・探求心、溢れんばかりのヴァイタリティで有名な方ですが(詳しくはこちら)、内容がとても興味深かったので、今回はそのエッセイをご紹介いたします。

題して「レフトアローンの真実~九州ジャズもん・江越氏の憂鬱~」

レフトアローンは、今更書くまでもありませんが、ベツレへムというジャズ・レーベルを代表する名盤であり、その1曲目のタイトル・チューンはマル・ウォルドロン(P)、ジャッキー・マクリーン(AS)という名プレイヤーの顔とも言うべき名演・名曲。

江越さんもこの曲がお気に入りのようで、機嫌良く1枚にまとめられたのが、下記の原稿。

「レフトアローンはビリー・ホリディも気に入ってよく歌っていた。でも残念ながら録音はなく、本人の演奏も聴いてみたかった」とのくだりを何気なく読んでいましたが、この後の論点は、そもそもビリー・ホリディはこの曲を歌ったことがあるのかどうか。

ちなみにこれは、当時一般的に売られていたレフトアローンのレコードの解説文。

この他、色んな文献にも「レフトアローンはビリー・ホリディが歌っていた曲」と書かれてあり、日本の勤勉なジャズ愛好家にとっては周知の事実。

一体、何が起きた?!何を怒っている?!何?何?!

いきなりの噴火モードに混乱されたと思いますが、その経緯は次の原稿で明らかになります。

ちなみに、スイング・ジャーナル1982年5月号マル・ウォルドロンの対談記事はこちら。

尚、この記事で、ヨーロッパに移ったのは1965年で、フリーっぽいことをやっていると語るマル・ウォルドロン。

あの記念すべきECMの1枚目であるFREE AT LAST(1969年)との関連性も含め、実に興味深く読ませていただきました。(しかもその対談相手は、ピアニストの今田勝さん!)

この原稿を書き始められてからここまで、どのくらいの時間を費やされたのかわかりませんが、どうにも腹の虫がおさまらない江越さん。       

その真実究明の手を緩めないまま、いよいよ現時点でのまとめに入られます。

よくこれだけ情報を集められたと感心しましたが、増えれば増えるだけ収拾がつかなくなるのも情報ということで、録音年月の謎(注)等、疑念が疑念を呼び、結局闇は深まる一方。

レフトアローンの真実は如何に?

江越さんがこのJAZZ百景という本にまとめ上げられる時、どのように結論づけられるのか、楽しみに待ちたいと思います。

【個人的な感想】多くの人が言っているから正しいとは限らない、情報源が一人のガセネタでそれを多くの人が拡散しているだけかもしれない、権威のある人の発言だからといって鵜呑みにしてはいけない。。。これは近年、ネット情報の取り扱いでよく言われることですが、どうやらレコード全盛期の時代にも同じことをあった模様。

「歴史は繰り返す」がこんなところにもあり、苦笑するのみ、でした。


【感謝】この記事の案を練っていた昼休み、たまたまA・Iさんのインスタ(アドレス:randy_rhoads0511)を拝見したところ、何とタイムリーなことにレフトアローンのジャケット写真が。。。思わず、使わせてくださいとお願いしてしまいました。今回も色々ご便宜を計っていただき、ありがとうございました。


(注)レフトアローンの録音年月の謎については、中山康樹さんが「ジャズの名盤入門」の中で答えを書いておられますが、果たしてこれも事実なのかどうか?

ご存知の方がいらっしゃったら、コメント欄でご教示いただけると幸いです。


【2020.10.3追記・予告】江越さんにこの原稿を渡すためにお会いしてきたのですが、大事件勃発!何と、遂にレフトアローンの真実が解き明かされました。。。ビリー・ホリディはこの曲を歌ったことがあるのかどうか。詳細はまた江越さんがお書きになられるとのことですので、しばしお待ちくださいませ。


【2020.10.6追記】江越さんから早々にこの原稿をいただきました。

さて、レフトアローンの真実。とくとご覧くださいませ。

何と、ビリー・ホリディは聴衆の前でなかったにせよ、1度だけにせよ、この曲を歌ったことがある?!

これはかなりのジャズ通ネタと言えるでしょう。。。またマルがテキトーなことを言っていなければ、ですが。笑

でも、もしかするとマルという人は根っからジャズ・マンで、即興性を重んじ、人を楽しませるためなら多少ムリでもその場の盛り上がりを重視する人、イタズラ好きな人だったかも?その結果、その時々の聴衆(インタビュアー、読者)の喜びそうなこと、驚きそうなことを言っただけかも?真実はやっぱり闇の中?

せっかく百景を目指しておられた江越さん、残念ながら半分ちょっとでご終演ですが、これもジャズ。

もしこの記事を読まれた後、江越さんとお会いになられる方は是非この感想をお伝えくださいませ。気を取り直してまたあと40数景ほど、書き始められるかもしれませんので。


【参考】九州ジャズもん列伝【Vol.2】


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