月がとても明るかった
今夜は中秋の名月である。
お月見はほとんどしたことがない。特にここ数年は、趣味のキャンプにたまに出かける時を除き夜空をゆっくり見上げることがない。仕事を終えて慌ただしく帰る際、ごくまれに「あ、満月だ」とか「今日は三日月かな?」と気づくくらい。今回もひとりの生徒に教えてもらわなければ、お月見という概念すら忘れていた。
聞けば彼女は毎年家族でお月見をしているらしい。団子をいただいて、美しく満ちた月を愛でるそうだ。そういえば、昨年だったか一昨年だったかちょうど同じ時期に彼女にススキを何本か貰った。おうちにも飾っているの、というススキを私も飾らせてもらった。部屋がいっぺんに秋らしさで満ちた。季節を感じる生活をするって本当に素晴らしいと思う。
最近はどこもかしこも夜を暗いと感じることがなくなった。よほどの田舎町に行かない限り、電灯やネオンの光に溢れているからだ。人口の光はあくまで強く、夜空にまたたく星や月を霞ませているが、実は月は結構明るい。
小学校6年生の秋、近所の小学生を10名ほど集めて劇団を旗揚げした。目標は地域の文化祭での公演だ。発起人だった私は脚本家と監督を買って出た。演目は「赤ずきんちゃん」。みんな、やる気でキラキラした瞳をしていた。申請して地域のコミュニティセンターで金曜と土曜の夜に練習をしたが、8時には帰宅するように管理人さんに促された。もっと練習したかった私たちは、グラウンドや公園、電灯の下などでセリフや演技を繰り返し、わざと遠回りして帰った。その時出ていた月が、明るかったと記憶している。ぼんやりした電灯と月の灯りで台本が読めるくらいには。
昔の人は月明かりで勉強をしたという。時代が変化しても、変わらずそこにあるものがある。月もその一つであろう。そして、変わらないものに気づいた時、人は懐かしさと肩の力が抜けるような心地の良さを経験する。それは明日への活力となる。
今夜はお団子を買って帰ろう。
Be ambitious, boys and girls!
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