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「結婚のメリットは社会的評価」男をアクセサリーにする女たちの嘆き

2016.08.27 06:00

亭主関白な夫に尽くす嫁。男は外で稼ぎ、女は家で子育てをする。今の時代にそんな家庭図を描こうものなら、きっと世の女性から一蹴されてしまうだろう。

草食男子という言葉が散々取り沙汰されたのちに話題を呼んだ肉食女子。果たして「肉食女子」と呼ばれた女性たちは今、時代の移り変わりとともにどう変化しているのだろうか。その実態に迫るべくアルコールを片手に行われた取材で顕かになった恋愛に貪欲な女性たちの赤裸々すぎる本音。恋愛に対して消極的な私の心の声とともに心して刮目せよ。

今回協力してくれたのは下記2名。

女性1:Nさん

大手メーカーにて海外営業を経験したのちに転職、現在は非営利団体に勤務している。現在彼氏持ち。男性への絶対条件は顔とセンスの良さ。策士的恋愛を好む。

女性2:Oさん

大手アパレルメーカー勤務。休みなく働くキャリアウーマン。現在彼氏なし。無類のイケメン好き。好きになったらなりふり構わず突進する直球タイプ。

私にとって男は自分を色づけるためのアクセサリー

いくら恋愛に対して猪突猛進だと言っても、その種類はさまざま。手始めに彼女たちに自分の恋愛観や男性へのアプローチの仕方を聞いてみた。

N 「私は真正面から攻めるタイプではなくて、相手がどんな人かをまず分析して、人によってアプローチ法を変えてるかな。それと負け戦はしない。脈がないと思ったらその時点で別の人にシフトチェンジする」

O 「私は真正面から行くタイプ。ふたつのことを同時にできないから、どちらかに偏ってしまう。恋愛傾向を電車に例えると、各駅停車じゃなくて特急。好きになったら激突しちゃうような危険なタイプ(笑)」

N 「そもそも草食と肉食の違いって『積極的か否か』の問題じゃなくて、『追いかけることが好きか嫌いか』の違いだと思うんだよね」

猛スピードで追いかけられたら、男性は逃げてしまわないのだろうか。


―では男性に求めるスペックや理想像って?

N 「私は恋愛に目覚めた頃から今まで一貫して大事なのは顔。彼氏はアクセサリーだと思ってる」

O 「言うね(笑)。私はセンスの良さかな。雰囲気も身長も顔も大切でひとつに絞りきれないけど、とりあえず全部(笑)。とにかく自分のタイプであることが大事」

1に顔、2にも顔、3・4がなくて5にも顔。なるほど。


―経済力はなくてもいい?

N 「お金と地位は自分でどうにかするからそこまで気にしない。ヒモみたいな人と付き合ってたこともあったし、自分で稼ぎ続けたらいいだけの話」

―これまで彼氏が絶えたことは?

N 「社会人になってから1年半くらいフリーの時期があって、そのときはデートするような関係を3ヵ月続けるかセックスを3回したら終わりって決めていろんな人と遊んでた。それ以上続けるとのめり込んじゃうし、自分が楽しめなくなっちゃうんだよね」

O 「彼氏がいてもいなくても、常にちやほやしてもらう状態を大切にしてるよね」

N 「そうそう。すべて自己満足の世界で、1万円のトリートメントをすることと同じだと思ってる。常に女性であることを大切にしていたい」

たしかに女性である気持ちは忘れたくない。そこは見習うとしよう。


―これまでの恋愛で、捨てる側と捨てられる側のどちらが多かった?

N 「私から捨てることはないかな。だいたいフラれる(笑)。尽くしてる自分が好きだから私からは離れないけど、見返りを求めすぎるのかも」

最終的にフラれるなんて、ちょっと可愛いじゃないか。


―どんな見返りを求めるの?

N 「『これだけしてあげたんだからその分よこせよ』ってなる。お金とかじゃなくて、“私への忠誠心”をよこせと(笑)」

ひょっとして、愛されたくてたまらないんじゃないか?


―フリー期間はよく合コンをしていたと聞いたのですが。

N 「社会人3年目くらいまで合コンとかほぼ行ったことなかったんだよね。でも彼氏がいないときは焦りまくって、週1〜2回くらいのペースで合コンして、土日も2〜3人紹介してもらって昼と夜で別の人に会ってた(笑)」

貪欲さと体力に感服です。


―狙いを定めて落とせなかったことは?

N 「あるある。でもそれはすごい自分が好きになった人に限るかな。歴代の元彼は相手の方が私のことを好いてくれていて、この人なら私も好きになれそうだなって思える人。でも結局女は愛されることが1番幸せなんだと思う」

ほら、やっぱり愛されたいんじゃん。


―タイプじゃなくてもいいということ?

N 「そう。いろんな要素のバランスが取れていればいい。だれでもいいから愛されてる方が幸せっていうのは違うけど、このティファニーならずっと身に付けても酸化しなさそうっていう感覚(笑)」

仕事も恋愛も、常に選べる自分でいたい

私の心の声がうるさいという意見はひとまず無視するとして、恋愛において驚くほど積極的に行動する彼女たちは、仕事に対してもストイックだ。仕事ありきの生活を送るなかで、仕事と恋愛の関係性をとても冷静に見ているように感じる。


―仕事と恋愛は関係していると思う?

N 「大いに関係してると思う。昔の女性は働くこともできず福祉支援もなにもない時代に生きて、男性に頼ることでしか生活できなかった。けど時代が変わって女性が働いてお金を持ったことで、男性に頼る必要がなくなったのかな。

私の価値観として、『人生における選択肢をふたつ以上持っておきたい』というのがあって。男も仕事も服も、すべてにおいて常に選べる自分でいたい。北欧って男女平等社会って言われてるけど、女性の年収が高い夫婦の離婚率が高いんだよね。私から言わせれば、結局男性はプライドが高いから、女性が社会で活躍して高い給料をもらうことが楽しくないんじゃないかなって思うよ」

O 「SNSが普及したことでだれかとつながる行為が容易になったぶん、人が使い捨てられる時代になったんだと思うんだよね。寂しいっていう感情を抱くこともないだろうし、その分だれかと強く繋がるっていうこともなくなってる。だからずっと一緒にいたいとか結婚したいっていう感情も薄れてきてる気がする」

N 「でも私は都会特有の価値観だと思っている。地元に帰るとみんな結婚してるし、地域によって差が出るよね。都会にいれば深夜まで街で遊べるし寂しさを感じづらい。だからか都会で生まれ育った人って、人や物に対して使い捨て感覚の人が多いように感じるんだよね」

仕事も順調で都会で様々な刺激を浴びて生活しているぶん、男性に対して求める質もあがる。そのぶん、妥協ができなくなってくる部分もあるのではないだろうか。『男性は飾り』という言葉を話す一方で、結婚に対する焦りや諦めの感情をにじませたりもするから、とかく人間はややこしい。

―結婚願望はある?

N 「最近すごく結婚に対して焦りを覚えるようになってきた。今までは『リミットってなに?』って感じだったけど、30歳が近づいてきてやっぱり子どもを産めるリミットがあると思い知ったんだよね。福祉事業に携わるようになって、加齢による出産のリスクを知ったからかも。結婚はすごくしたいけど、できなかったら子どもは養子をもらえばいいかなって。それも1つの社会貢献だと思えば素敵だし。こういう問題は簡単に言えることじゃないけど、お金も愛も十二分に注げるなら、養子にかわいい子を迎え入れて好きな彼氏を持てばいいと思ったりもするんだよね」


―では結婚のメリットってなんだと思う?

N 「社会的評価かな。悔しいけど、日本に骨を埋めるなら結婚してないと仕事をしていても人間的に欠点があるのかなって思われがちだし、いろんな面においてマイナス評価につながる。社会から見たときの自分の評価が大切。彼氏に顔の良さを求めることも『カッコいい彼氏連れてるね』っていう評価が必要。結婚に対する焦りがあるかないかって、社会的に評価されたいかされたくないかだと思う」

どうしてここまで世間体を気にしてしまうのか。結婚していない女性であっても、社会的評価を得られる時代になってきているような気がするのだが。


―結婚しても仕事は続けていきたいタイプ?

N 「もちろん。家庭のことを大事にしたいので結婚後はフリーで働きたい。たとえば旦那さんが仕事に疲れて少し休みたいっていう状況になったときに、『2年くらい自由に海外とか行ってきていいよ』って言ってあげられる自分でいたい」

O 「そうだね。結婚しても自立していたい。子どもができてもそうだけど、人として常に魅力的でいたい」

自由にさせてくれるうえに結婚しても稼ぎ続けてくれるなんて、めちゃくちゃいい嫁じゃないか。


―そういう自分でいるために、パートナーに求める像ってどんなもの?

O 「一緒に高め合えるような向上心があること」

N 「柔軟に変わっていける人かな。女性は出産と育児があるから。前は総合職でカリカリ働いていたけど、やっぱりそういう仕事をしながら出産して育てるのって厳しいんだよね。変化する状況のなか彼氏彼女のどちらかが変わって、価値観が合わなくなって別れるっていうのはすごく多いし。人生に変化はつきものだから柔軟に対応できない人とは一緒にいられないですね」

大丈夫、見た目麗しい貴方たちならばきっと結婚できる。(無責任)

話し始めてから気付けば2時間が経っていた。彼女たちは男を付加価値と考え、高貴なアクセサリーを身に付けることで、自分が女性として他の人からどう見られたいかという他者からの視点を重んじているのだ。そして自分自身の価値を高めていきたいという野心も強く感じる。でも言葉と裏腹の強がりが含まれている気がしないでもない。恋愛の形や女性の生き方が変化しても、女性はどこまでも女性なのだと感じた。

美味しいご飯とお酒に気分を良くした彼女たちとの会話はボイスレコーダーを止めたあとも続き、夜更けとともに会話の内容はカオスな方向へと転がり続けた。静かなカフェの一角には終始甲高い下衆な笑い声が響き渡っていた。