はじめましてのごあいさつⅠ vol.10 ~はっちゃん、モモちゃんの洗礼をあびる~
2020.10.02 08:00
作/チームCOL
グラウンドの真ん中で、ボクは
緊張のあまり固まっていた。
暗がりから、いくつもの光る眼が、
だんだんとボクに近づいてくる。
ど、どうしよう……。
逃げたい。
電とうの明かりの下に現われたのは、
白い大きなラブラドールレトリバー
とボクより少し大きい、
黒い毛の雑種犬。
それから、小さな白いパグだった。
みんながボクのまわりに
集まってくると、クンクンクンクン
鼻を近づけてくる。
おしりをクンクン。
お腹をクンクン。
顔のまわりをクンクン。
ボクが何者か、調べてるみたい。
固まり続けるボクに、
ウィル君のパパがやさしく言った。
「みんな、はっちゃんだよ~。
はじめましてだね」
そして、みんなを紹介してくれた。
白いラブラドールのミノンちゃんに、
黒いモシャモシャの毛のハルちゃん。
それから、ボクよりも小さな体の
パグ犬、モモちゃん。
みんな女の子で、ボクより
少し年上のおねえさん。
ふいに、ウィル君が
軽快に走ってきて、
ボクのまわりでジャンプする。
ウィル君のおかげで、ちょっとだけ
緊張がほぐれてホッとした。
気がゆるんだボクは、
小さな体でチョコチョコ歩く、
パグのモモちゃんのおしりを
そーっとクンクンしてみた。
するとモモちゃんは、
「フギャッ!」
って叫んだかと思うと、
ボクのほうに向きなおって、
「ワンワンワンワンワンワン!!」
って、小さい体をぜんぶ使って
すごいいきおいで吠え始めた。
ボクは、
ひとたまりもなく撃沈した…。