もみくちゃの追いかけっこ vol.12 ~牧場にいたころのボクは・・・~
2020.10.13 08:00
作/チームCOL
ゴールデンレトリバーの
ミノンちゃんは、
いたずらっぽい目でボクを見ると、
スイッチが入ったように、
一直線にダッシュした。
体が大きいから、
ゆったりしてるように見えるけど、
スピードは、うんと速い。
グラウンドのお散歩タイムは、
盲導犬のミノンちゃんが
自由に遊べる唯一の時間
なんだって。
ミノンちゃんのあとを追って、
ボクも地面をけりあげた。
すると、ウィル君がすばやく
ジャンプして、ボクの背中に
飛び乗ってくる。
じゃれ合うウィル君とボクの
あいだに、モモちゃんまでが
わって入ってきて、
「アウアウアウアウ~!」
って吠えはじめた。
もう、なんだかもみくちゃだ。
少しはなれたところで、
ひとりボール遊びをしている
黒毛のハルちゃんだけは、
素知らぬ顔をしてるけど、
ちゃっかり横目でボクたちを
チラチラながめてる。
じゃれ合ってるあいだ、ボクは
ついこの前までいた牧場での
ことを思い出していた。
たくさんの犬や猫や馬たちと
いっしょにいたけど、ぜんぜん
相手にしてもらえなかった。
こんなふうに
みんなでじゃれあったり、
はしゃいだりして遊んだことなんて、
思い返せば一度もなかったなって。
いつもおびえて
ビクビクしてばっかりいた。
だけどね、
ここにはいろんな人や犬がいて、
なんだかちょっとおもしろい。
これからちょっとずつ、みんなと
仲良くなれたらいいな~。