あなたも分かる!オールドヴァイオリンの鑑定(Cカーブ編)画像解説あり
こんにちは!
オールドヴァイオリン専門店
㈱ダ・ヴィンチヴァイオリン
山口保行です。
シリーズでお送りしている「オールドヴァイオリンの鑑定」。楽器を特定するにはヴァイオリンのアウトライン(輪郭)を意識する必要があります。そこで今回は「Cカーブ」に目を向けてみましょう。
ヴァイオリンのアウトラインを印象付けるのが人間のウエスト(Waist)部分に相当する「くびれ」(左右の凹み)です。楽器を正面から見て一番横幅が狭くなるところです。
左右の凹みがある部分、f字孔の外側にCの形をしているラインがCカーブです。くびれを生んでいるCカーブ、実はf字孔と非常に関係が深いのです。
ヴァイオリン製作者は、事前に設計図を書いたり、木枠(内枠、外枠)や表裏板を使用して直接木材に線を書いて全体のアウトラインを決めて製作を開始しますが、f字孔はCカーブから近いのでヴァイオリンの輪郭(横幅、Cカーブ)によって、fの大きさ、形、配置に影響が出ます。(注:ガルネリモデルなどf字孔のパターンを決めてから製作する場合も多いです)
このようにf字孔にも影響するCカーブですが、どのような種類があるのでしょうか?鑑定のポイントと絡めて画像で比較していきましょう。
<あなたにも分かる!Cカーブ鑑定のポイント>
f字孔とほぼ同じように考えるのが一番わかりやすいです。fではなくCですから、Cの形、長さ、角度、広がり等がどのようになっているか、「Cの始まりから終わり」を見てゆくのです。
一定の法則があるので解説していきます。
①典型的Cカーブ
このパターンは簡単です。アルファベットの「C」と覚えましょう。具体的にはコーナーと呼ばれる先端が突出し、Cは内側を向いています。そのためこのパターンは半開きしている口のような形をしています。
フレンチ モダンヴァイオリン Gustave Gillaume 1926
まさにCの形をしてます。Cに勢いがあります。
イタリアン コンテンポラリーヴァイオリン Luca Primon 2000
典型的なCカーブです。カーブがなめらかです。
フレンチ モダンヴァイオリン ALBERT CLAUDOT 1947
これも皆さんがよく目にするパターンです、キレイにまとまっています。
②開きぎみのCカーブ
こちらのパターンも簡単です。文字を囲むときに使う括弧(かっこ)と同じだと覚えましょう。()を逆に配置すると、
)(
☝このようにするとヴァイオリンのウエストみたいに見えます。
具体的にはコーナーの先端が丸みを帯び、突出していないため、Cが外側に開いています。そのため、こちらは①に比べて口を大きく開いているような形になります。
フレンチ オールドヴァイオリン Claude Francois Vuillaume ca.1780
①と比較すると違いがよくわかると思います。f字孔はシュタイナーモデル、括弧のようなくびれ、まさにオールドヴァイオリンの典型でしょう。
イタリアン オールドヴァイオリン ミラノ(Tstore)スクール ca.1770
こちらもf字孔が太目で幅広く、Cカーブの下が広がっていてオールドヴァイオリンらしさがあって私はとても好みです。
ここまでをまとめますと、
①は C
②は逆カッコ )(
です。次にCの角度から分けてみます。
③Cの縦線が垂直に近いパターン
Cカーブもf字孔も垂直に近いパターンです。シュタイナー型に採用されることが多いですが、ガルネリ型のようなf字孔をした楽器にも見受けられます。
ジャーマン オールドヴァイオリン ca.1800
ジャーマン オールドヴァイオリン Aegidius Klotz ca.1780
④下に向かって斜めに広がるCカーブ
斜めのf字孔のデザインとCカーブが連動しています。f字孔下カーブの角度(V)が鈍角で〇が大きめなストラディヴァリ型に多く見られるスタイルです(ごめんなさい、楽器が傾いたまま撮影してしまったので、顔を少し右に傾けて画像を見てもらえると嬉しいです)。
2本ともフランス ミルクールのJTL 工房(未調整)ca.1920
以上①~④この4種類を基本として、あとは「組み合わせ」だと考えれば良いでしょう。
ストラディヴァリ型のモダンヴァイオリン、コンテンポラリー(新作)ヴァイオリン、量産品は①典型C+③垂直ないし④斜めのCカーブのパターンが多いです。オールドヴァイオリン、オールドらしさの残ったモダンヴァイオリンには①典型Cも多いですが、②括弧+③垂直④斜めの組み合わせがよく見受けられます。
ふくらみ、スクロール、f字孔、Cカーブといろいろな形があって見ていて楽しいので是非過去の記事もチェックしてみて下さいね。
以上でCカーブ編は終わりますが、いかがでしたか?オールドヴァイオリンの鑑定(見方)を学ぶために、よくあるストラディヴァリ型だけでなく、いろいろな型のヴァイオリンで全体イメージ(色含む)をつかみつつ、個々のパーツ特有の形を覚え、各製作者の特徴を頭に刻み込んでゆく、そのプロセスが大事です。
写真集でも良いのですが、実物が良いのでまずはご自分のヴァイオリンでいろいろと確認されると良いかと思います。
今日もありがとうございます。
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