柘榴と俳句
https://www.mysai.net/cgi-bin/kaisetsu_disp.cgi?kisetsu_cd=3&kisetsu_kbn_cd=2&bun_ya_cd=07&bun_ya_kbn_cd=04&kigo_no=0020 【季語解説秋(仲秋)・植物【石榴】 ざくろ】 より
◇「柘榴」(ざくろ) ◇「実石榴」
果実はこぶし大のいびつな球形。秋に熟すると硬い果皮が裂け、多数の白い種子が桃色の果肉に覆われているさまが見える。食べると甘酸っぱい。
例句 作者
ひやびやと日のさしてゐる石榴かな 安住 敦 実柘榴の涙の粒に似しを食む 馬場移公子
実石榴にダリの亀裂の走りけり 西岡正保 石榴赤しふるさとびとの心はも 高浜虚子
露人ワシコフ叫びて石榴打ち落す 西東三鬼 海光や域趾の柘榴裂けむとす 奥野久之
寝ころぶや一顆の柘榴雲にふれ 太田鴻村 よく響く喇ひのラ音実柘榴へ 原子公平
実石榴を割れば胎蔵曼陀羅図 木内彰志
https://ameblo.jp/cornerstone1289/entry-11555445070.html 【石榴の花】より
クチナシの花が目立ち始めた。
梔子の例句
山梔子のやつるる刻の愛痛し 長谷川秋子 『菊凪ぎ』『鳩吹き』『長谷川秋子全句集』
山梔子の一花なれどもひたむきに 長谷川秋子 『菊凪ぎ』『鳩吹き』『長谷川秋子全句集』
淀殿の墓山梔子の白似合ふ 池田とみ子 秘めし忌や花梔子は雨ごもり 古賀まり子
今朝咲きし山梔子の又白きこと 星野立子 八重梔子書くために読む本の嵩 鍵和田[のり]子
梔子の香のうかがへる天守閣 進藤一考 あさきゆめ梔子の香が濃かりけり 平井照敏
口閉ぢて梔子の実の赤らみし 高場 ナツノ 梔子やできぬ約束してゐたり 浦川聡子
山梔子の実のつややかに妻の空 庄司圭吾 あさきゆめ梔子の香が濃かりけり 平井照敏
花梔子経消壺のあをあをと 柚木紀子 山梔子の賤しからざる旧居かな 清崎敏郎
山梔子の褪せどき老いの労りどき 加倉井秋を 『武蔵野抄』
山梔子や吹雪とこもる一顆あり 『定本石橋秀野句文集』
山梔子の実のみ華やぐ坊の垣 貞弘 衛 梔子の実より始まる立ち話 乙武佳子
梔子の実やをみならの小さき旅 宮地 淳 山梔子の実のつややかに妻の空 庄司圭吾
山梔子や築地の崩れ咲きかくし 麦 水 山梔子の火が晴天をまねきけり 平井照敏
山梔子の実にかかげ干す洗いもの 森田ひでよ 山梔子の実のつややかに妻の空 庄司圭吾
山梔子に提灯燃ゆる農奴葬 飯田蛇笏 山梔子のねばりつくごと闇匂ふ 森島幸子
梔子に横顔かたき修道女 三宅一鳴 梔子の実にある朱や霙降る 龍男
梔子の匂ひをくぐる静けさよ 岩田由美 顎剃る至近山梔子はありぬ 中田剛 珠樹
山梔子や家をはなるること二日 中田剛 珠樹 城ちかき山梔子の花凋みたり 中田剛 珠樹
錆びてより山梔子の花長らへる 棚山波朗 膵病めば梔子色に春の月 土岐錬太郎
梔子を一輪浅井忠の墓 岡田史乃 梔子の実にある朱や霙降る 永井龍男
山梔子の実の色にある日の詰り 永井龍男 山梔子の香に眠り落ち女どきなる 山田弘子
プールサイドに梔子の花載せ泳ぐ 能村登四郎 枯野の沖
我宿の山梔子しろし杜宇 松岡青蘿
花柘榴と石榴の花は区別される。
石榴の花は、石榴の実tとなる。花柘榴は八重咲きの実がならない石榴の花を指す。しかし石榴の花の6文字を嫌って、花柘榴の5音表記を用いている句は多い。
紹介している花石榴の句はどうしても八重咲きでないと意味が通らない句はないのではないか?
「花ざくろ」で検索
朱印打つ坊守も留守花ざくろ 前川きくじ 花ざくろ周防のうすく河面明け 古沢太穂
泪目に淡路島かげ花ざくろ 柴田白葉女
花ざくろ朝の井戸水にごりなし 柴田白葉女 『月の笛』
泪目に淡路島かげ花ざくろ 柴田白葉女 『冬泉』
花ざくろピカソ嫌ひは肉嫌ひ 大木あまり 火のいろに
佇ち眺む病みてゐし間の花ざくろ 三橋鷹女 怒りたき時は黙して花ざくろ 安斉君子
蔵町を戛々と馬車花ざくろ 山岸治子 口重の人と語れり花ざくろ 田村なゝを
花ざくろ夕日に後れとりにけり 長谷川双魚 手枕のしびれて熱し花ざくろ 櫛原希伊子
花ざくろ散り恍惚と水の紋 伊藤京子 花ざくろ美しと見て近づかず 吉野義子
塗り立てのペンキの塀や花ざくろ 室生犀星 魚眠洞發句集
ふるさとの路ならなくに花ざくろ 三好達治 俳句拾遺
花ざくろ北の古町時計鳴る 柴田白葉女 雨伝ふ幹の齢や花ざくろ 横山房子
「花石榴」で検索
川風の過ぎ人が過ぎ花柘榴 上井正司 夕暮の紙すべり合う花柘榴 田波富布
花柘榴裏山の空残りたり 森田緑郎
樹ごと微動し町工場の花柘榴 田川飛旅子 『外套』
花柘榴老人のゐずなりし家 岸田稚魚 『萩供養』
二つ釣りし簾の透間花柘榴 高浜虚子 花柘榴落ちつつ強き日をまとふ 古川白雨
花柘榴また黒揚羽放ち居し 中村汀女 花柘榴燃ゆるラスコリニコフの瞳 京極杞陽
花柘榴すでに障子の暮色かな 加藤楸邨 花柘榴雨きらきらと地を濡らさず 大野林火
花柘榴情熱の身を絶えず洗ふ 中村草田男 二つ吊りし簾の透間花柘榴 虚子
墓碑名はアリヨーシャと読め花柘榴 西村和子 窓 花柘榴すでに障子の暮色かな 加藤楸邨
五月雨にぬれてやあかき花柘榴 野坡 山鵲のゐて花柘榴そばへたり 石原舟月
蔵の燈がぼんやり見えて花柘榴 八木林之介 青霞集
若者には若き死神花柘榴 中村草田男(1901-83)
花柘榴雨は銀杏にあがりけり 泉鏡花 樹ごと微動し町工場の花柘榴 田川飛旅子
花柘榴大雨に明けて白き空 内田百間 妻の筆ますらをぶりや花柘榴 沢木欣一 往還
水色は遠方の色花柘榴 桂信子 新緑 花柘榴の花の点鐘恵山寺 金子兜太 遊牧集
http://yasumasa.jp/2008/09/03/post_297.html 【実ざくろや妻とは別の昔あり】
池内友次郎(1906~91)より
実ざくろが秋の季語。石榴、柘榴も同意の季語です。西公園の散歩の道すがら、石榴の実が落ちていました。握りこぶしほどの大きさで赤らんでいて黄色の斑点があります。皮は厚く、熟すると割れて、中の種をのぞかせます。
昔から種が多いのをなぞらえて、子孫の多く残すことを願ったとも言われています。甘酸っぱい味も格別です。
この句は、結婚した相手の家族と虚子を父に持つ作者の家族を石榴になぞえて、「別の昔」と詠っています。不思議にこの季語が生きていますね。
作者いけうち・ともじろうの紹介は、2007年3月7日を参照。
(出典:「合本現代俳句歳時記」角川春樹事務所、2004年刊)
・政治家はいまこそやることがいっぱいあるのに、自分の飯の種に奔走しています。それを政局といいます。国民には関係ないことです。
http://www.longtail.co.jp/~fmmitaka/cgi-bin/g_disp.cgi?ids=19981125,19990920,20010902,20060824,20070210,20080614&tit=%92r%93%E0%97F%8E%9F%98Y&tit2=%92r%93%E0%97F%8E%9F%98Y%82%CC【池内友次郎の句】より抜粋
実ざくろや妻とはべつの昔あり
池内友次郎
石榴(ざくろ)の表記は「柘榴」とも。夫婦して、さて季節物の何かを食べようというときに、必ずと言ってよいほど話題になる食物があるはずだ。「子供のときは家族そろって大好物だった」とか、逆に「こんなもの、食べられるとは思ってなかった」とか。そういうときに、私も作者のような感慨を覚える(ことがある)。石榴の場合は、おそらくは味をめぐっての思い出話だろう。一方が「酸っぱくて……」と言えば、片方が「はじめのうちだけ、あとは甘いんだよ」と言う。石榴を前にすると、いつも同じ話になるというわけだ。ま、それが夫婦という間柄の宿命(?)だろうか。私は「酸っぱくて……」派だけれど、子供のころに野生に近い石榴しか知らなかったせいだと思う。この季節の梨にしても、小さくて固くて、ほとんどカリンのようなものしか食べたことがなかった。たしかに「妻とはべつの昔」に生きていたのだ。石榴といえば、とても恐い句があるのをご存じだろうか。「我が味の柘榴に這はす虱かな」という一茶の句。虱は「しらみ」。江戸時代、柘榴は人肉の味に似ていると言われていたそうだ。(清水哲男)
https://blog.goo.ne.jp/kakan02/e/6ba06c650f31b4b05b11eff7a9274f67?fm=entry_awp
【俳句日記/高橋正子】 より
★紫陽花を剪りて雨の匂いせり 正子
梅雨時の紫陽花は雨のお友達ですね!!。この紫陽花は雨との措辞により、深くて吸い込まれそうに青いブルーと想いました。剪り採る時の微かに残る雫がはっきりと眼に浮かび、匂い立つような紫陽花の美しさが想われます。(桑本栄太郎)
○今日の俳句
川風を受けて淡きや合歓の花/桑本栄太郎
「風に乗る」は、風に乗って運ばれる、移動するの意味が含まれるので句意がわかりにくい。合歓の淡い花の咲く枝が川風を受け、煽られている様子は、優しさのなかにも合歓の花の強さが見える。(高橋正子)
●朝方まで雨が残る。のち晴れ。
林誠司さんの「俳句アトラス」から、出版第1号となる加藤房子氏の句集『須臾の夢』が送られてきた。
製本が堅牢で、斬新な装丁。他社より安価。信之先生は、来年4月『高橋信之全句集』を俳句アトラスから出版の予定。
まだ青き空の夕焼け子の家へ 正子
梅雨月の下弦は空に滲むなり 正子
夕焼けの茜にモネの絵を重ね 正子
○花柘榴
[花柘榴/横浜日吉本町]
★水色は遠方の色花柘榴/桂信子
★軒下の破れ櫃に散る柘榴かな/高浜虚子
★泥塗つて柘榴の花の取木かな 鬼城
★古宿や青簾のそとの花ざくろ 蛇笏
★格子戸に鈴音ひびき花柘榴 蛇笏
★草の戸の真昼の三昧や花柘榴 茅舎
★朝曇る柘榴の落花掃きにけり 麦南
★柘榴咲く市井にかくれ棲みにけり 淡路女
★花柘榴また黒揚羽放ち居し 汀女
★花柘榴なれば落つとも花一顆 草田男
★世はハタと血を見ずなりぬ花柘榴 草田男
★花柘榴情熱の身を絶えず洗ふ 草田男
★恋ふ難し石榴の花は実の先に 不死男
★花柘榴雨きらきらと地を濡らさず 林火
★とはにあれ柘榴の花もほほゑみも 楸邨
「紅一点」という言葉がある。男性の中にただ一人いる女性の意味だが、これは漢詩から来ている。その紅が柘榴の花である。中国人好のみの色と思う。小さいながら強烈な色だ。花柘榴も秋にはルビーのような実を結ぶ。ガクのようなところはチューリップ型の筒状となって、皮となる気配を見せている。柘榴の花も落ちる。柿の花も落ちる。二つの花を集めて遊んだ。柿の花は蔕を二つ合わせて麦わらを通して水車に、柘榴の花は、チューリップのようなところを集めるだけ。
★花柘榴そこに始まる上家の路地/高橋正子
ザクロ(石榴、柘榴、若榴、学名: Punica granatum)とは、ザクロ科ザクロ属の落葉小高木、また、その果実のこと。庭木などの観賞用に栽培されるほか、果実は食用としても利用される。ザクロ科(学名: Punicaceae)は、ザクロ属(学名: Punica)のみからなる[4]。また、ザクロ科の植物は、ザクロとイエメン領ソコトラ島産のソコトラザクロ(Punica protopunica)の2種のみである。葉は対生で楕円形、なめらかでつやがある。初夏に鮮紅色の花をつける。花は子房下位で、蕚と花弁は6枚、雄蕊は多数ある。果実は花托の発達したもので、球状を呈し、秋に熟すと赤く硬い外皮が不規則に裂け、赤く透明な多汁性の果肉(仮種皮)の粒が無数に現れる。果肉一粒ずつの中心に種子が存在する。原産地については、トルコあるいはイランから北インドのヒマラヤ山地にいたる西南アジアとする説、南ヨーロッパ原産とする説およびカルタゴなど北アフリカ原産とする説などがある。