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我が三大辛味体験記③

2020.10.07 08:05

最後の激辛体験は、やはり唐辛子。

その日は音楽関連の仲間10人ほどでアジアンレストランで食事をしていた。様々なエスニック料理が並ぶ中に、ちょっと目立つお皿があった。大きめの唐辛子が山のように盛りつけられていたのだ。普段見慣れている唐辛子の三倍くらい長さがあるだろうか。皮も分厚めでしっかりしており、表面はつやつやと緑に輝いている。これはどうやって食べるのだろう?とちょっと謎に思った先、隣にいた年上のサークル仲間、Kさんが唐辛子を手に取った。そのまま、ガリっとかじりつく。私は驚いて「唐辛子って、生で食べるんだね。」と聞いた。


実家に住んでいたころは、ご近所の方が作った野菜をよくいただいた。キャベツ、玉ねぎ、じゃがいも、唐辛子も、もちろん。大抵は調理していた。しかし考えてみれば、ピーマンはサラダにするとき生で食べる。よく似ている唐辛子も生で食べられないことはないだろう。私はKさんに「苦くはない?」と聞いた。彼女は「全然苦くない。私は大好き。でも辛いのが苦手な人にはどうかなぁ…」と語尾を濁した。辛いのが苦手ですって?「辛いの大好き!」と私は即答えた。以前、お隣の奥さんがよくくださった唐辛子には何本かに1本の割合でピリッと目が覚めるような辛いものが入っていたのを思い出した。家族がそれにあたった時には全部私が喜んでもらって食べていたくらい、私は唐辛子の辛さが好きだった。だったら、ぜひ挑戦しなきゃとばかりに大皿から生の唐辛子を3本ほど取り皿に移す。Kさんは控えめにこれは韓国の唐辛子なので、日本のものとは辛さが違うよと教えてくれた。でも、唐辛子にはちがいないんでしょう?だったら大丈夫。


私の様子を見ていた、Mさん(Kさんの隣に座っていた)が「やめた方がいいんじゃない…」とポソッとつぶやいた。「この人(Kさんのこと)の“辛くない”は当てにならないよ。」Mさん曰く、Kさんは尋常なく辛味に強いそうで、普通の人の感覚ではありえないものを涼しい顔をして食べるそうだ。「でも私も相当強いよ!」と私は言った。やめろと言われても挑戦するのがスパイシーフードチャレンジャーなのさ。とか適当なことを言いながら、長くて固めで、表面がつやつやの緑に輝く唐辛子をバリバリと一気に食べた。なんだ、全然大した事ないよ、と言おうとした瞬間、異変が起きた。突如顔が高熱に侵されたように熱くなり、涙がぶわっとあふれ、鼻はつまり、口中は大爆発。体中から火炎が噴き出ているような。あの時の私は本気で火炎呪文ベギラマ(ドラクエ)くらいの炎は吐けるかと思ったくらいだ。辛い。もう、たまらなく辛い。そして痛い、しかも熱い。私の異変を見たKさんとMさんは「ほら、言わんこっちゃない…」と思っていたに違いない。彼らは心優しいから何も言わなかったけどさ。


先日友人から韓国の唐辛子をいただいて、あの時の唐辛子の衝撃を久々に思い出した。あれからしばらく時間がたっているのに、やはりこの辛さには完敗だった。ただ、「くう~辛い~」と思っても、嫌いにはならないのが面白いところ。ということは、古今東西、辛味やスパイスは体に元気を与えてくれるものなのだろうと思う。まあでも、過ぎたるは及ばざるがごとし。


ということで、我が人生における三大辛味体験記はこれにて完了です。


Be ambitious, boys and girls!

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