甘い香りの宇宙のほとりで。
Naoyaです。
今日は二十四節気の17番目、寒露です。朝や晩の冷えた空気の中、草木や花に朝露が宿るというのが寒露の由来。肌寒さを感じるときが多くなってきました。
街のあちこちで、金木犀の甘い香りがしています。自宅の窓を開けていると、部屋にまで甘い香りが漂ってきます。窓の近くに金木犀が咲いているわけじゃないのに、風が吹いているわけでもないのに、ふんわりと香ってきます。いつもの秋より香りが強く感じるのは気のせいでしょうか。今年の春は、野鳥の鳴き声も活発でした。コロナウィルスの影響で人間たちの外出が減って、自然が元気を取り戻しているようにも思えました。金木犀の香りの強さもそのせいなのかもしれない、と僕は勝手に推測しています。
うちの地元の土手沿いには巨大な金木犀の並木道があって、秋になると一斉にオレンジ色の小さな花が満開になります。濃い深緑の闇の中で、オレンジ色に輝く星たちみたい。それはまるで小さな宇宙や銀河のよう。最近、あまり使わないルートになってしまったため、今年はまだ見に行けていませんが、自転車で土手に近づくにつれて、その一帯は甘い香りに包まれます。
梅や桜、沈丁花など、日本には季節を告げる花々がありますが、特に香りで季節を感じさせる金木犀や沈丁花、梔子、茉莉花は大好きです。目で見て花の存在に気づくことって当たり前だったりしますが、目で見るよりも先に、香りでハッと花の存在に気づくことで感覚が研ぎ澄まされるように思えます。最近は目で見るもの、耳で聞くものよりも、嗅覚で感じるものを意識しています。
金木犀のことについて調べてみたら、金木犀というのは雌雄異株なのだそう。で、日本にある金木犀はすべてが雄。雌の金木犀はないそうです。日本の土壌に植えると、なぜかすべて性転換して雄になってしまう…なんていう怪しい情報もありましたが、金木犀は果実ではなくて、花や香りを楽しむことを目的として雄株が中国から渡来した植物で、雄株を挿し木で増やしているため、雄しかないというのが事実のようです。
ところで、2021年の「宇宙詠みチャート」の申し込みがスタートしました。今回で4年目。一年のサイクルの中でのルーティンになってきているので、あぁ、もうそんな時期なんだなぁと思っています。
今、文字校正の最中なのですが、今回の「宇宙詠みチャート」には、「これまでとこれから」という言い回しがいろんな箇所で目につきました。これまでを振り返りつつ、これからを見据える意識が特に必要なタイミングなんだなぁ、と。ここ数年続いてきたひとつの旅が2020年で終わって、また新たな旅が始まろうとしています。トランジットのとき。どこからともなく運ばれてきた金木犀の香りは、もう直ぐ次の列車が到来することを知らせるサインのように思えます。
巡る季節の途中、甘い香りの宇宙のほとり。ちょっと立ち止まってこれまでを振り返り、これからを見据えてみてください。ただの同じ繰り返しと捉えるか、ちょっとした変化に気づくことができるのかは自分次第です。