転職力(転職は掛け算)_第100号
本日は、「転職力」についてみていきたいと思います。小池(2015)は、「事務職における転職のための能力開発について」という論文で、「転職力」という言葉を次のように定義しております。
『中途採用に求められる能力は、それ相応の実力と他人を納得させる要素、現在の企業にいない人材であることである。どの組織においても自分の役割を見出して生き延びていく能力が必要である。これを「転職力」と呼ぶことにする。』
この「転職力」を以下のような数式で表現している。
転職力 = 経験力 × 努力係数(意欲・情熱・積極性・順応性) × 業界理解
転職力は掛け算となっていることに注意が必要です。
掛け算ということは、どこかに0(ゼロ)があると、答えは0(ゼロ)になるということです。つまり、経験力、努力係数、業界理解の3つの要素のうち1つでも0(ゼロ)があってはいけないということです。あったとすれば、転職力が0(ゼロ)になってしまいます。ということは、「転職できない」ということです。
職業訓練を受講される方は、キャリアチェンジされる方が多いです。販売職や介護職などから、事務職への転職を希望する方が多いです。
こういう場合、特に注意が必要です。キャリアチェンジのため、経験力が0(ゼロ)になってしまうからです。ということは、事務職への転職ができないということにもなってしまいます。
この点は、簡単に解決できます。書き方を工夫すれば問題ありません。事務職という職種は未経験かもしれませんが、事務的な仕事は多少なりとも、されていると思います。その点を伝えればよいのです。
また、もうひとつ注意が必要です。それは、キャリアチェンジを希望される方は、業種を決めていない方が意外と多いということです。「事務職であれば業種は問いません。」という方が結構多いです。
業種を絞らないということになると「業界理解」が0(ゼロ)になるということです。つまり、この場合も転職力が0(ゼロ)になってしまいます。
転職率が0(ゼロ)にならないように、自己の棚卸をしっかりしていただければと思います。