「役に入り込む?」のこと。
栃木での2日間の撮影と、4日間の滞在が終わり、東京に帰っております。
正直、なかなか過酷な時間でした。
でも、頑張った。
頑張るのは、当たり前だけど、
それはそれとして、頑張ったよ。
僕も高校演劇からはじまり、8年くらい演技をしてきたけれど
そんなにやってきたのが信じられないくらいに
未だに演技ってよくわからん
だけど、今日の現場を経験して気づいたことは
役を演じるとき、大きく2パターンあって
ひとつは、段取りとか見せ方とか表現方法を自分なりに計算しながら、演技するときと
もうひとつは、
その気持ちに入り込んで、自分の操縦士になったような感覚になって、頭では、ほとんど何も考えず、ただ体の動きだけを操作して、その役を演じるときと
あるなあと思いました。
ゾーンに入るって言うのでしょうか
とんでもない驚異的な集中力がその瞬間働いて、体が乗っ取られたような感覚になるときがあるんです。
それが今日でした。
あと、ちょうど先日オンエアされた「俺たちはあぶなくない」で演じさせていただいたUber Eatsの兄ちゃんの役。
この2回だけ。
これは、入り込もうと思っても、入れるものではなく
その、とんでもない集中力が働いたとき、突然その瞬間が訪れる。
ちなみに、今回の栃木での撮影は、時代劇で、槍を持って出撃するようなシーンがあったのですが
本番、走ってる最中、泥が自分の目元にかかったあたりで、まるで自分の中の何かが燃えるように、アドレナリンが一気に上がって
「殺してやる!」という気持ちになりました。
いままで、私生活でも、役でも、そんな気持ちになったことはありませんでした。
初めてでした。
そこからは、その殺気に身を任せるだけ、でした。
不思議な瞬間です。こわいくらいに。
だけど、ヒートアップしても、操縦士の自分はあくまで冷静なのです。
周りに危険がないかとか、次の動きの段取りはどうだったか、とか、ものすごく冷静に見ているのです。
自分がふたりいるような感覚です。
役に入り込む、それこそが、役者だ。
という価値観もあるでしょうが
僕は常に入り込みすぎないように注意しているのです。
ライブなどでも。
周りが見えなくなるのがこわいからです。
入り込むことで、独りよがりになったり、あるいは、自分がどう映っているかを考えなくなったら、それは良くないことですし
悪い意味で俳優気分になって、自分の演技に酔いしれちゃったりしたら、それはもう最悪です(笑
だから、入り込む瞬間が、必ずしも正解とは限らないなと思うわけです。
常に、自分はこの人物を"演じているんだ"という感覚を必ず持っていないと
ホントにイタいひとになりそうだから。
なんか、
最近まで、自分にしかやれないことってなんだろうって考えていたのですが
それはそれで大事だけど、
"誰でもできるようなこと"がちゃんとできることも、ものすごく大事だなと思いました。
本当に日々勉強です。
本当に、謙虚ぶるわけじゃなくて、
本当に分からないことだらけです。
だから、「芝居ってのはさあ〜」なんて語れる立場では全然ないんですけど
ただ過酷で大変だっただけじゃなくて、
ひとつでも多くのものを得て、持ち帰って、自分の血肉にしていきたいものです。